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【春の俳句30選】有名な春の俳句一覧 名作俳句の作者・季語・意味とは?

      2017/09/27

厳しい冬の寒さが終わり、色とりどりの花が咲きはじめる春。鳥たちが元気に春の訪れを歌い、春風が人々の心をも優しく包んでくれるような気持ちになります。

そんな春に詠まれた俳句の世界はどのようなものなのでしょうか。今回は、春に詠まれた俳句30句を紹介します。

 

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俳句とは

俳句とは5・7・5のわずか17音に季語を詠み込んで表現する、世界でもっとも短い定型詩です。

俳句のきまりは、5・7・5の17音とすること(17音を超えるものを「字余り」17音に満たないものを「字足らず」という)、季節を表す言葉「季語」を詠み込むことを基本としています。

また、句の途中や句末に、句を切る働きをする「切れ字」(主に「や」「かな」「けり」など)を置くことにで、俳句に深みや広がりを与え、読者は想像をふくらませながら味わうことができるのです。


春の季語について

季語とは、俳句で季節を表すために詠み込まれる言葉で、「春」「夏」「秋」「冬」「新年」の5つに分類されています。

また、季語は旧暦によって定められており、大まかに1月から3月を春、4月から6月を夏、7月から9月を秋、10月から12月を冬として考えるため、今の季節と少しずれが生じることもあります。

春の季語の代表的なものと言えば、まず、古くから日本人に愛されてきた「桜」があります。

また「菜の花」や「すみれ」「チューリップ」など色とりどりの花々、「うぐいす」や「つばめ」などの鳥、そして、「入学」や「卒業」といった行事も春の季語であり、誰もが春をイメージしやすいものばかりです。

それから、「杏」は夏の季語ですが、「杏の花」は春の季語となっているのも興味深いですね。

 

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春の俳句30句

 
『しほ(お)るゝ(る)は 何かあんずの 花の色』
 

作者:松永貞徳

季語:あんずの花

意味:あんずの花がしおれているのは、何か心配事があるからなのでしょうか。

 

 
『山路来て 何やらゆかし すみれ草』
 

作者:松尾芭蕉

季語:すみれ草

意味:山道をずっと歩いていると、道ばたに咲いているすみれの花に何となく心がひきつけられました。

 

 
『梅が香(か)に のつと日の出る 山路かな』
 

作者:松尾芭蕉

季語:梅が香

意味:早春の朝、山路を歩いていると、どこからか梅の香がしてきました。それに誘われるかのように、大きな朝日が突然姿を現しましたよ。

 

 
『草の戸も 住み替は(わ)る 代ぞ 雛の家』
 

作者:松尾芭蕉

季語:雛

意味:住み慣れたあばら家も、主の代わる時がきました。新しい主のもとで、ひな人形を飾って華やいでいます。

 

 

 

 
『春の海 ひねもすのたり のたりかな』
 

作者:与謝蕪村

季語:春の海

意味:うららかな春の日を浴びた海面には、白波が、春の日永を一日中物憂げにゆったりとうねりながら、浜辺に寄せては返していますよ。

 

 
『高麗船(こまぶね)の 寄らで過ぎゆく かすみかな』
 

作者:与謝蕪村

季語:かすみ

意味:海上にはかすみが立ち込めて、その中から見慣れぬ異国の船がゆっくり姿を現しました。船は美しく彩色されて、どうやら高麗船らしいです。間近に見たいと思いましたが、そのまま岸に近づきもせず、再びかすみのなかに消えてしまいました。

 

 
『白梅に 明くる夜ばかりと なりにけり』
 

作者:与謝蕪村

季語:白梅

意味:白梅の花が咲き始め、その高雅な香りがこの病床まで匂ってきます。これからは夜ごと、その白梅のあたりからほのぼのと夜が明けていくのです。

 

 
『ゆく春や おもたき琵琶の 抱きごころ』
 

作者:与謝蕪村

季語:行く春

意味:晩春の物憂い気持ちで琵琶を弾くと、その琵琶がいつもより重たく感じられることですよ。

 

 
『菜の花や 月は東に 日は西に』
 

作者:与謝蕪村

季語:菜の花

意味:大地には見渡すかぎり、黄色い菜の花畑がひろがっています。目の覚めるほど鮮やかな菜の花の色にかげがさし、長い春の一日も暮れようとする頃、東の空には白い月がのぼり、西の空には赤く燃えながら夕日が沈もうとしているのです。

 

 

 

 
『我と来て 遊べや親の ない雀』
 

作者:小林一茶

季語:雀の子

意味:親からはぐれてしまったかわいそうな子すずめよ、こっちへおいで。親のない私と一緒に遊びましょう。()

 

 
『雪とけて 村いっぱいの 子どもかな』
 

作者:小林一茶

季語:雪どけ

意味:長かった冬も終わりに近づき、雪どけの季節になりました。待ちかねていた子どもたちは、いっせいに外に飛び出して、春の日を浴びて遊んでいますよ。村にこんなにも子どもがいたのかと驚くばかりです。

 

 
『野に出(い)でて 写生する春と なりにけり』

作者:正岡子規

季語:春

意味:野に出て、写生をする暖かい季節になったことですよ。

 

 
『菫ほどな 小さき人に 生まれたし』
 

作者:夏目漱石

季語:すみれ

意味:うららかな春の日ざしをあびながら、すみれが咲いています。この世にこれほど美しく、しかも、これほど小さいものがあったのでしょうか。もし、生まれ変わるなら、このすみれのような、小さい人間に生まれたいものです。

 

 
『まさおなる 空よりしだれ さくらかな』
 

作者:富安風生

季語:枝垂桜

意味:まっさおな空、その空から垂れ下がって、可憐な花をほころばせている枝垂桜のなんて美しいことでしょう。

 

 
『チューリップ 喜びだけを 持っている』
 

作者:細見綾子

季語:チューリップ

意味:チューリップの花は一点の曇りもないような喜びだけを持っているようなそんな美しさがあるのです。

 

 
『菜の花が しあは(わ)せさ(そ)うに 黄色して』
 

作者:細見綾子

季語:菜の花

意味:今年もまた春がめぐってきて、菜の花が黄色い花を咲かせています。まるで春の喜びを、全身で表すかのように、幸せそうに黄色の花をさかせているのです。

 

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『来しかたや 馬酔木(あしび)咲く野の 日のひかり』
 

作者:水原秋桜子

季語:馬酔木

意味:奈良の野をめぐってきて、薄暗い三月堂に立ってみると、道中の光景が思い出されます。奈良の野には、あしびの花がきれいに咲き、あふれるような春の日ざしがふりそそいでいました。※句に「三月堂」という前書きあり。

 

 
『ちるさくら 海あおければ 海へちる』
 

作者:高屋窓秋

季語:さくら

意味:満開の桜の花びらが風に吹かれて散っています。海が深々と真っ青に澄んでいるせいでしょうか。淡いピンク色の花びらは、まるで海に吸い込まれていくように、はらはらと散っているのです。

 

 
『春風や 闘志いだきて 丘に立つ』
 

作者:高浜虚子

季語:春風

意味:丘の上で春の暖かな風を全身で感じながら、これからまた勇ましく闘おうと決心しています。

 

 
『遠足の おくれて走りて つながりし』
 

作者:高浜虚子

季語:遠足

意味:子どもたちの遠足の列が続いています。何があったのでしょうか。途中があいてしまっていましたが、しばらくして遅れた子が走り出し、後の子も続いてまた元の列にも戻っていきました。

 

 
『かげろふ(う)や ほろほろ落(おつ)る 岸の砂』
 

作者:服部土芳

季語:かげろふ

意味:春の日にかげろうがゆらめいて、岸の砂がほろほろこぼれ落ちていきますよ。

 

 
『校塔に 鳩多き日や 卒業す』
 

作者:中村草田男

季語:卒業

意味:卒業式の日、ふと時計台を見ると、いつもよりたくさんの鳩が集まっていることに気が付きました。鳩たちが卒業を祝ってくれているように感じたのです。

 

 
『雉子(きじし)の眸(め)の かうかうとして 売られけり』
 

作者:加藤楸邨

季語:雉子

意味:生きたままとらえられ、市場に売り出されているキジのひとみが、きらきらと光っています。美しく、元気な瞳がかわいそうに思えます。

 

 

 

 
『赤い椿 白い椿と 落ちにけり』
 

作者:河東碧悟桐

季語:椿

意味:赤い椿と白い椿と、二本のつばきの木があります。一方の木の下には、赤い椿の花が落ち、もう一方の木の下には白い椿の花が落ちて、赤と白の色鮮やかなかたまりとなって、ならんでいるのです。

 

 
『昼蛙(かわず) どの畔のどこ 曲ら(ろ)うか』
 

作者:石川桂郎

季語:昼蛙

意味:のどかな春の一日、田んぼでかえるがにぎやかに鳴いています。かえるの声に誘われて、田んぼのあぜ道を歩いていると、あぜ道はあっちへもこっちへも続いていて、どこをどう曲がったら良いのか迷ってしまいます。

 

 
『ゆさゆさと 大枝ゆるゝ(る) 桜かな』
 

作者:村上鬼城

季語:桜

意味:ゆさゆさと大きな枝がゆれている、そんな花盛りの桜の木であることですよ。

 

 
『しゃぼん玉 底にも小さき 太陽持つ』
 

作者:篠原梵

季語:しゃぼん玉

意味:しゃぼん玉は、日の光を受けて輝きながらふわりと空を飛んでいきます。よく見ると、どのしゃぼん玉も、その底に小さな太陽を宿しているのです。

 

 
『眼にあてて 海が透くなり 桜貝』
 

作者:松本たかし

季語:桜貝

意味:砂浜に打ち上げられた桜貝。その美しさは桜の花びらのようです。それを目に当てて透かすようにしてみていくと、その色の美しさは一層増し、それからだんだんとピンク色は薄くなり、むこうの青々とした海が透けて見えてくるように思えてきました。

 

 
『囀(さえずり)を こぼさじと抱く 大樹かな』
 

作者:星野立子

季語:さえずり

意味:大きな木が、枝をひろげてどっしりと立っています。木の枝にはたくさんの小鳥がやってきて、楽しく、にぎやかにさえずっています。大きな木は、その小鳥たちのさえずりをこぼさないように、優しく包むように立っていることですよ。

 

 
『外にも出よ 触るるばかりに 春の月』
 

作者:中村汀女

季語:春の月

意味:春の満月は、大きく重たく感じられ、今にも手が届きそうな感じがします。思わず「外に出てみなさい」と家の中にいる家族に声をかけてしまいました。

 

 

 

 

「春」と聞いてイメージする風景は、現代の私たちにとっても、満開の桜や、黄色い菜の花の絨毯と、彩りの少なかった冬の景色を一変させるような美しい自然ではないでしょうか。

紹介した春の俳句にもそんな風景が詠み込まれ、そして、それに突き動かされた人々の想いや感動が詰まっていました。作者に思いを馳せ、詠まれた背景を想像しながら、俳句を通して春の季節を楽しんでみるのもいいかもしれません。

 

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