懐石料理とは?料理の順番やマナー、会席料理との違い

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日本には懐石料理といわれるものがありますが、あまり食べる機会がないだけに、料理の順番やマナーがわからない・・・という人も多いかもしれません。

同じ読み方で「会席料理」というのもありますよね。

懐石料理と会席料理は何が違うのでしょうか?

今回は、懐石料理についてわかりやすく解説します。

 

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目次

懐石料理とは?

読み方は「かいせきりょうり」です。

懐石料理とは、茶道の茶事(ちゃじ・ちゃごと)で提供される料理のことです。

茶事とは、食事やお茶でお客様をもてなすものです。親しい人だけ小人数を招いて開催されます。

 

懐石料理は、茶事の際に「濃茶(こいちゃ・濃厚な抹茶)」「薄茶(うすちゃ・一般的な抹茶)」の前に提供されます。 

空腹のままではお茶の味が楽しめないということで、濃茶の前に懐石料理で空腹を満たします。

 

茶事のおおまかな流れは以下の通りです。

①寄付(よりつき・待合室のような部屋)で身支度を整えます。

②蹲(つくばい・茶室の前に設けられた手洗い場)で口と身を清めます。

③茶室に入ります。

④茶会の亭主(主催者)が挨拶をし、釜に炭を入れます。

⑤懐石料理をいただきます。

⑥主菓子(おもがし・主に餡で作られた和菓子)をいただきます。

⑦一旦茶室を出て庭で休憩します。

⑧茶室に戻り、茶事のメインとなる濃茶(こいちゃ)をいただきます。

⑨薄茶(うすちゃ)をいただきます。濃茶よりも薄く、さらりと飲めます。

⑩退席

茶事のひとつである「初釜」で詳しく解説しています、以下をご覧ください。

関連:初釜の意味と時期とは?着物と持ち物どうすればいい?初釜の流れ

 

懐石料理の歴史とは?

安土桃山時代(1573年~1603年)に、お寺で修行をする僧侶たちが食べていた質素な料理がルーツといわれています。

茶道と縁の深い禅宗の僧侶たちは、食事は一日に一回と決められていました。

空腹になると体温が下がるため、僧侶たちは温石(おんじゃく)を懐に入れて暖を取り、空腹をしのいでいたそうです。

温石とは、軽石や蛇紋岩(じゃもんがん)などを火で加熱したものや、温めたコンニャクなどを布に包んだ暖房器具のことです。

温石

空腹をしのぐために温石を懐に入れるので「懐石」となり、僧侶が食べる質素な料理や、空腹をしのぐ程度の軽い食事を「懐石料理」と呼ぶようになったといわれています。

また、、修行中の僧が客人をもてなしたいが食べさせるものがなく、せめてものおもてなしにと寒さや空腹をしのぐために懐に入れていた温石を渡し、客の懐に入れてもらったというという説もあります。

千利休

千利休

懐石料理という言葉が使われ始めたのは江戸時代(1603年~1868年)からで、千利休が茶道を確立したころに広まったといわれています。

僧侶たちの質素な料理を、千利休は庶民にも親しみやすいようなものに変化させました。

 

あくまでもお茶が主役であり、茶道の心である「わびさび」を料理で表現しています。

お茶を引き立てるような料理が求められ、お茶を味わうことに差支えのない量で提供されます。

 

わびさびについての詳細は以下をご覧ください。

関連:『わび』『さび』の意味とは?違いがわかりますか? 

 

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料理の順番、食べるときのマナーは?

料理の順番や、マナーや作法について説明します。

お店や流派によって料理の内容に多少の違いがあります。

 

折敷

懐石料理は、一汁三菜が基本です。

まず、最初に折敷(おしき・足のない膳)が出されます。

折敷には飯椀、汁椀、向付(むこうづけ・刺身や酢の物)が乗ります。

 

まず、ご飯と汁をいただきます。

蓋を上向きに返し右に置き、飯椀の蓋の上に汁椀の蓋を重ねます。

このとき、飯椀、汁椀、置いた蓋が一直線になるように置きます。

口を付けるのは汁が先で、その後は交互にいただきます。

 

ここでお酒をすすめられますので、杯を右手に持ち、左手を下に添えてお酌を受けます。

受けた杯は一度元の場所に置き、一同揃ったところで乾杯します。

 

お酒に口を付けてから、向付(むこうづけ・刺身や酢の物、なますなど)をいただきます。

向付の右隣に酒杯を置きます。

お酒は懐石中に3回ほど出されます。

 

椀盛

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汁椀が引かれ、椀盛(わんもり・煮物など)が出されます。

このとき、箸を休めて軽く会釈をします。

もしご飯のおかわりが欲しい時は、ご飯をひと口残しておきましょう。

 

椀盛は向付のあちら側(膳の外)に置かれます。

蓋は椀盛の右側に置き、食べ終わったら蓋をします。

椀盛も滴がたれないように器を持っても問題ありませんし、具によっては懐紙を使います。

 

焼物

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一汁三菜の最後に焼物が出ます。

これは大皿や鉢で人数分を持っていることが一般的で、取り箸が付いているので次のお客さんに「お先に」と声をかけて、空いた向付の器に取りましょう。

 

進肴・強肴

一汁三菜はここで終わりですが、さらに、進肴(すすめざかな)または強肴(しいざかな)といわれる料理が出されることが一般的です。

食事の最後には小さめの吸い物が出されます。

これは口の中を清める意味があり、「箸洗い」「すすぎ汁」ともいわれます。

 

八寸

料理が一段落すると、「八寸(はっすん)」といわれる酒肴が出されます。

海山の二種の肴が盛られていて、茶会の亭主が一献し、海の肴、山の肴をすすめます。

 

湯桶

懐石の締めくくりである「湯桶(ゆとう)」が出されます。

湯桶には湯とともに「湯の子(ご飯のおこげ)」が入っており、汁椀には湯のみを入れ、飯椀に少量残して置いたご飯で湯漬けをし、最後は全部飲み切ります。

汁椀には元通り蓋をし、飯椀には蓋をひっくり返して乗せ、箸は膳の手前に揃えます。

 

懐石料理はこれで終了です。

また、懐石料理の順番の覚え方について検索する人が多いようですが、特に覚え方はありません。

 

懐石料理のあとに「濃茶」「主菓子」が出されます。

懐紙はお菓子をいただくときにも必要ですので、絶対忘れないようにしましょう。

服装は特に決まってはいませんが、派手な色使いや、露出の多い服、ジーンズ、素足などカジュアルすぎる服装は避け、ワンピースやスーツ、着物などがよいでしょう。

大きなアクセサリーや指輪は、食器を傷つける可能性があるので避けましょう。

また、料理の匂いを壊してしまうような香の強い化粧品は避けましょう。

会席料理との違い

会席料理

会席料理とは、人と人が会う席で出される料理で、宴会や会食など、お酒と一緒に楽しむときに提供される日本料理です。

「懐石料理」と同じ読み方の「会席料理」ですが、なにが違うのでしょうか?

 

目的が違う

懐石料理は、お茶を楽しむための料理です。

会席料理は、お酒を楽しむための料理です。

 

見た目や量が違う

懐石料理は、派手な飾りを避け、少量です。

会席料理は、華やかな見た目で品数が多いです。

 

会場が違う

懐石料理は、狭い茶室が会場です。

会席料理は、料亭や宴会場などが会場です。

 

料理の順番が違う

懐石料理は、ご飯と汁物が最初に出され、お茶の前にすべての料理が提供されます。

会席料理は、お酒のあとに料理が提供され、ご飯と汁物は最後の方に出されます。

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懐石料理というと、かしこまった堅苦しい席だと思ってしまうかもしれませんが、大切なのはその場にいるみんなで楽しく過ごすことです。

初めての懐石料理で、厳しいマナーを気にしてばかりいたら、緊張して味もわからなくなりそうですよね?

マナーを全く知らないままというのは問題ですが、完璧に覚えるには経験も必要です。

基本的なマナーを覚えたら、リラックスして楽しみましょう!

 

関連:お茶会の作法 これだけ覚えておけば安心

関連:初釜の意味と時期とは?着物と持ち物どうすればいい?初釜の流れ

 

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