
誰かが亡くなった時に「鬼籍に入る」と言いますよね。
しかし、なぜ亡くなることを表すのに「鬼」という漢字が使われているのでしょうか。
そもそも「鬼籍」とは何を意味するのでしょう。
この記事では、「鬼籍に入る」の読み方や意味、由来、使い方の例文をご紹介します。
「鬼藉に入る」の読み方
読み方は「きせきにいる」です。
「入る」を「はいる」と間違える人が多いですが「いる」と読みます。
また、
過去形の「鬼籍に入った」は「きせきにいった」
尊敬語の過去形の「鬼籍に入られた」は「きせきにいられた」
と読みます。
「鬼藉に入る」の意味とは?
「鬼籍に入る」の意味は「亡くなる」や「死亡する」です。
「鬼籍に入る」の由来とは?なぜ鬼?
「鬼籍に入る」は仏教が由来の言葉です。
仏教で「鬼籍」とは、亡くなった人の名前や死亡年月日などが記される帳簿を指します。
寺院に保管される「過去帳(かこちょう)」や、閻魔大王が持つとされる「閻魔帳(えんまちょう)」のことです。

過去帳
「過去帳」とは、先祖代々の亡くなった人の名前、死亡年月日、亡くなったときの年齢などを記した帳簿で、寺院や仏壇に保管されます。
先祖代々の情報が記されているので、自分のルーツを知ることができます。
過去帳に記入するのは寺院の僧侶や、遺族、故人と縁のある人、仏具店などが書くこともあります。

「閻魔帳」とは、閻魔大王が死者の生前の行いを記す帳簿のことです。
死者が生前にどのように生きてきたのか、良い行い・悪い行いが全て記されています。
過去帳に記入するのは、閻魔大王や、地獄の役人などといわれています。
仏教では、人が亡くなった後、十王(じゅうおう)と呼ばれる10人の裁判官によって、閻魔帳をもとに生前の罪を裁く裁判を行うといわれています。
十王についての詳細はこちらをご覧ください。
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閻魔はサンスクリット語の「Yama(ヤマ)」または「Yama-rāja(ヤマ・ラージャ)」が由来です。
「ヤマ」という音に「閻魔」という漢字が当てられました。
- 「ヤマ」は、「縛る・抑える・平等にする」
- 「ラージャ」は、「王」
という意味があります。
インド神話では「ヤマ」は人類の祖先となった最初の人間です。
そして、最初に死を迎え、死後の世界の王となりました。
この「最初の死者」としての経験から、死者を縛り・抑え・平等に裁く司法の神格が与えられたのです。
この「ヤマ」が仏教に取り入れられ、地獄で死者の罪を裁く裁判官である閻魔大王として定着したのです。

閻魔大王は人が亡くなった後に生前の行いを裁く存在であり、地獄の主でもあります。
また、「鬼」というと、日本では妖怪や怪物をイメージしますが、「鬼籍」の「鬼」は、そうした意味ではなく、死者を指しています。
中国では、人は亡くなった後に肉体を離れ「鬼」になると考えられており、「鬼」は死者そのもの、あるいはその魂・霊を意味します。
つまり、「鬼籍に入る」とは、「過去帳や閻魔帳に死者として記録される」という意味になり、「亡くなる」や「死亡する」ことを遠回しに表現する言葉なのです。
「鬼籍に入る」の使い方の例文
「鬼籍に入る」は、かしこまった場面やビジネスシーンなどで主に使う言葉です。
人が亡くなったことを遠回しに表現する言葉で、目上の人に使っても失礼には当たりません。
「逝去する」や「亡くなる」に言い換えることができます。
家族や友人など親しい間柄の人との会話の場合は「亡くなる」や「他界する」などを使うのが一般的です。
使い方の例文をご紹介します。
最初に説明しましたが、正しい読み方は
- 「鬼籍に入る(きせきにいる)」
- 「鬼籍に入った(きせきにいった)」
- 「鬼籍に入られた(きせきにいられた)」
となります。
しかし、「入る」を「はいる」と読み、
- 「鬼籍に入る(きせきにはいる)」
- 「鬼籍に入った(きせきにはいった)」
- 「鬼籍に入られた(きせきにはいられた)」
という誤読が一般化しています。
ビジネスシーンでは誤読しないよう気を付けましょう。
「〇〇さんが鬼籍に入って(いって)もう10年になりますね。」
「自分も、同年代が何人も鬼籍に入る(いる)ような年になりました。」
「〇〇さんが鬼籍に入られた(いられた)とうかがい、突然のことで大変悲しんでいます。」
「〇〇様は先日、鬼籍に入られ(いられ)ました。」
「弊社社長が突然鬼籍に入り(いり)、社内が混乱している。」
「〇〇さんは若くして鬼籍に入る(いる)ことになり、さぞ無念でしょうね。」
「〇〇さんは志半ばで鬼籍に入って(いって)しまった。」

「鬼籍に入る」がどのような言葉なのかわかりましたね。
日常会話では使うことがほとんどないですし、かしこまった場面やビジネスシーンでも「亡くなる」や「逝去された」などと言い換えることができるので、「鬼籍に入る」はあまり馴染みのない言葉でもあります。
そのため「入る」を「はいる」と間違えて読んでしまう人が多いのも仕方のないことなのかもしれませんね。
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