日本の学校給食の歴史!いつから始まった?海外と日本の給食の違い

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学校給食は、日本の学校生活では欠かせないものとなっていますが、給食制度がいつから始まったかご存知でしょうか?

また、海外には給食がある国はあるのでしょうか?

今回は、日本の学校給食の歴史や、海外の給食との違い、メニューなどを解説します。

 

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目次

給食とは?

 読み方は「きゅうしょく」です。

「給」という漢字には、与えるや、配るという意味がありますので、「給食」は食事を与えたり、配るという意味になりますね。

一般的に給食は、幼稚園や小・中学校などの教育機関、児童養護施設や老人ホームなどの福祉施設、病院、工場などで特定の人たちを対象に食事を提供することです。

 また、学校で提供される給食のことを「学校給食」といいます。

 

日本の学校給食の歴史いつから始まった?

日本の学校給食の始まりは明治22年(1889年)です。

山形県鶴岡町(現:鶴岡市)の私立忠愛小学校で、貧困家庭の児童を対象に無償で昼食を提供したことが始まりといわれています。

このときのメニューは、おにぎり、塩鮭、菜の漬物でした。

その後、秋田県、岩手県、岡山県など日本各地で給食が実施されるようになり、大正12年(1923年)には児童の栄養改善のために国が奨励(しょうれい)するようになりました。

奨励とは、ある物事をよい事として、それをするように人々にすすめることで、このころの給食はまだ国からの支援などはありませんでした。

メニューは、五色ご飯、栄養味噌汁でした。

 

五色ご飯とは、里芋、ひき肉、ひじき、人参、いんげんの5種類の食材が使われており、品数が少なくても栄養が取れるよう工夫されています。

栄養味噌汁とは、多くの栄養を摂取できるように作られた具沢山の味噌汁です。

 

昭和7年(1932年)には文部省(現:文部科学省)により「学校給食臨時施設方法」が定められ、貧困児童を救済するため国庫から67万円を支出して、初めて国の補助によって学校給食が実施されました。

 

昭和15年(1940年)、文部省の「学校給食奨励規定」が定められました。

これは、貧困児童だけでなく栄養不良児、身体虚弱児も対象として、学校給食の内容を充実させるものです。

その後、第二次世界大戦が激しくなるにつれ、食料不足などを理由に学校給食は中止されました。

 

学校給食が再開されたのは、戦後の昭和20年(1945年)8月以降です。

児童の栄養状態が悪化していたことから、全国の児童約300万人に対して学校給食が提供されました。

このころのメニューは、脱脂粉乳と、パンと汁物(味噌汁、シチューなど)のうちどちらか1品が一般的だったようです。

脱脂粉乳とは、牛乳の脂肪分を除いたものから水分を除去し、粉末状にしたものです。

学校給食では、脱脂粉乳を水で溶かしたものをそのまま飲んでいました。

脱脂粉乳は保存性が高く、タンパク質やカルシウムなどが多く含まれており栄養価が高い食品です。

スキムミルクともいい、現在も調理用として一般的に使われています。

脱脂粉乳(スキムミルク)

脱脂粉乳(スキムミルク)

その後、脱脂粉乳、パン、おかず(汁物も含む)が一般的になっていきました。

戦後間もないころの日本は食糧事情がとても悪かったことを知ったアメリカの市民団体が、日本の子どもたちのために「ララ物資」を実行しました。

「ララ」とは、「日本難民救済会」と「日本救援紐育委員会」を母体とした日本向けの援助団体で、「ララ物資」は、脱脂粉乳をはじめとする日本への援助です。

ララ物資は昭和21年(1946年)~昭和27年(1952年)まで行われました。

また、ユニセフも昭和24年(1949年)~昭和39年(1964年)に脱脂粉乳などの食糧援助を行っています。

ユニセフとは、国際連合児童基金のことで、開発途上国や戦争や内戦で被害を受けている子どもの援助などを行っています。

昭和29年(1954年)には、「学校給食法」が制定され、学校給食は教育の一環となり、学校で給食を実施する体制が法的に整いました。

高度経済成長期に日本が豊かになると学校給食の内容も変化していきました。

1960年代~1970年代前半に脱脂粉乳が牛乳に変わり、昭和51年(1976年)にはお米を主食とした米飯給食(べいはんきゅうしょく)が導入されました。

このころの給食はパンが主食で、月に一度か二度の米飯給食でしたが、次第に回数を増やし、現在は週に3回程度になっています。

平成17年(2005年)に「食育基本法」が制定され、国全体で計画的に食育(しょくいく)を推進するようになりました。

食育とは、食に関する知識や適切な食習慣を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むことです。

平成20年(2008年)には「学校教育法」が改正され、学校給食を通して児童の食育を推進するための項目が加わりました。

現在は、給食に地元の野菜を使って地産地消を学ぶ機会を作ったり、行事食や郷土料理で日本の文化を学んだり、外国の料理で海外について学ぶなど、食育を推進しながらバラエティ豊かなメニューとなっています。

 

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給食のご当地メニュー

日本各地に、その土地でしか食べられていない給食がありますのでいくつかご紹介します。

 

ふかひれスープ(宮城県)

高級食材として有名なサメの背びれ、尾びれを乾物にした「ふかひれ」が、給食に出ます。

宮城県気仙沼市はサメの水揚げ量が日本一で、サメの水産加工業が盛んです。

 

キムタクご飯(長野県)

「キムチ+たくあん=キムタク」です。

細かく刻んだキムチ、たくあん、ベーコンを炒めて薄口しょうゆで味付けし、温かいご飯に混ぜて作る料理です。

漬物離れが進む子どもたちに、おいしく漬物を食べてほしいという気持ちから長野県塩尻市の栄養士が家庭料理として考案しました。

長野県塩尻市の家庭料理としてだけでなく、給食のメニューになっています。

 

ゼリーフライ(埼玉県)

ゼリーをフライにしているのわけではなく、素揚げした衣のついていないコロッケの一種です。

蒸して潰したジャガイモ、下茹でしたねぎ、にんじん、おからを混ぜ合わせ、小判型にして油で揚げたものを、ウスターソース、中濃ソース、みりんを混ぜ合わせたオリジナルソースにくぐらせて完成です。

小判型に成型することから「銭フライ」と呼ばれるようになり、いつしか訛って「ゼリーフライ」になったそうです。

埼玉県行田市のソウルフードと言われるほど市民から人気があり、給食でもメニューになっています。

 

茹でズワイガニ(富山県・石川県)

冬の味覚であるズワイガニが、一杯丸ごと給食に出ます。

年に一度だけ、小学6年生だけ、中学3年生だけなど地域によって異なりますが、ズワイガニ漁が解禁後に富山県や石川県の給食のメニューとして登場します。

カニの剥き方、ほぐし方などを学ぶ機会にもなっているそうです。

 

海外の給食と日本の給食の違い

学校給食があるのは、日本だけではありません。

具体的に何カ国あるのかはわかりませんが、海外にも小中学校に給食がある国は数多くあります。

 

海外と日本の給食の違い

学校給食があるのは、日本だけではありません。

具体的に何カ国あるのかはわかりませんが、海外にも小中学校に給食がある国は数多くあります。

いろいろな国の給食と、日本との違いをご紹介します。

 

アメリカ

アメリカでは、給食にするか、お弁当を持参するか自由に選択できます。

また、教室ではなくカフェテリアで食べることが一般的です。

カフェテリアとは、カウンターに単品ごとに並べられた料理の中から好きなものを自由に選んだ後、テーブルに座って食事をするスタイルのお店のことです。

メイン料理が複数あってその中から選び、牛乳、サラダ、果物がセットになるのが一般的なメニューです。

日本の場合は全員メニューが同じですが、アメリカでは自分が食べたいものを購入するようになっています。

お弁当を持参していても物足りない場合は、給食のメイン料理や果物だけを単品購入するということも可能です。

アメリカの学校にはスナックタイムがあります。

スナックタイムとはおやつの時間という意味です。

学校によって異なりますが、午前中や午後どちらかでスナックタイムが設けられています。

スナックタイムは、パン、牛乳、果物、ヨーグルトなどが提供される場合と、児童がおやつを持参する場合があります。

 

イギリス

アメリカと同じようにカフェテリアで食べることが一般的です。

給食にするかお弁当を持参するかを自由に決められ、複数のメニューから自分で自由に選ぶことができます。

イギリスにはアメリカと同様のスナックタイムがあります。

 

中国

中国の給食は、食堂で食べるのが一般的です。

一旦帰宅して自宅でお昼ご飯を食べる児童も多くいます。

中国の給食は、朝食、午前のスナックタイム、昼食、午後のスナックタイム、合計4回提供されるのが一般的です。

朝食は、お粥やパンを主食としておかずやスープなどがあります。

午前のスナックタイムは10時ごろで、パンやシリアル、牛乳などがあります。

昼食は、パンやご飯などの主食、おかずが数種類、スープなどがあります。

午後のスナックタイムは15時ごろで、果物やヨーグルトがあります。

また、中国では中学生以上になると夜遅くまで学校で勉強する生徒も多くなるため、希望者には夕食も給食として提供されます。

 

フランス

フランスの給食は、カフェテリアで食べることが一般的です。

コース料理と同じように、前菜、主菜、副菜、デザート、パンで構成されています。

アレルギーや宗教上の理由で別メニューを特別に準備することはありますが、基本的に全員同じメニューです。

学校によって最初からテーブルに給食がセットされている場合と、自分たちでお盆に料理を取ってテーブルで食べる場合などがあるようです。

また、低学年のうちはテーブルに座ると、給食のスタッフによって料理がお皿に載せられていき、目の前に全部揃ってから食べ始めます。

前菜から順番に食べていくのが一般的で、給食によってフランスの伝統的な食事スタイルが身に付くそうです。

また、一旦帰宅して自宅でお昼ご飯を食べる児童も多くいるそうです。

 

韓国

韓国の給食は、食堂で食べるのが一般的です。

「クプシクパン」というステンレス製またはプラスチック製のランチプレートを持って配膳の列に並ぶと、ご飯やおかず、スープ、デザートなどをスタッフがよそってくれます。

韓国の代表的な食べ物であるキムチは必ずといっていいほど給食のメニューに含まれています。

韓国では給食のときに牛乳を飲むことはなく、希望者だけが午前中の休憩時間に牛乳を飲みます。

 

ロシア

ロシアでは、食堂で食べるのが一般的です。

ロシアは共働き家庭が多いので、給食は朝食と昼食が提供されます。

朝食は、パン、ヨーグルト、フルーツなど軽いものが一般的です。

昼食は、主食、主菜、スープなどが一般的です。

 

インド

インドでは給食を提供している学校は少なく、お弁当を持参するのが一般的です。

インドはさまざまな宗教の人が暮らしており、宗教上の食事制限などが多種多様のため、多くの児童が一度に同じメニューを食べる給食はとても難しいそうです。

 

ブラジル

ブラジルの学校は午前・午後の二部制のところがほとんどです。

午前中に学ぶ児童と、午後に学ぶ児童がおり、昼食の時間を挟んで児童が入れ替わる仕組みになっています。

そのため、午前中の児童には給食、午後の児童にはおやつを提供するようです。

給食のメニューは、主食、主菜、スープ、フルーツジュースなどの飲み物、おやつはパンと飲み物が一般的です。

 

ガーナ共和国

ガーナでは給食がある学校は少なく、一旦帰宅して自宅でお昼ご飯を食べる児童が多くいます。

また、貧困から昼食を準備することが難しくて昼食抜きで午後の授業を受ける児童もいます。

そのため、一部ではありますが、国連食糧農業機関(FAO)のサポートによって無料で給食を提供する学校があります。

 

スペイン

スペインでは給食は申込制になっており、家庭の事情でこの日だけ給食(毎週月曜日だけとか)という風に各家庭で決めることができます。

スペインは昼食の時間が遅く、14時以降が一般的です。

14時過ぎに学校が終わることが多いため、自宅に帰ってお昼ご飯を食べる児童も多くいるそうです。

アレルギーや宗教上の理由で食事制限がある児童が多いため、給食のメニューが複数準備されていて選択制になっている学校もあるそうです。

 

ペルー

ペルーの学校は8時から13時が一般的なので、昼食ではなく朝食が給食として提供されています。

メニューは、クラッカーや飲み物、フルーツが一般的のようです。

一部、朝食と昼食が給食として提供されている学校もあるそうです。

日本の給食の歴史がわかりましたね。

海外にも給食があることがわかりましたが、日本のように同じメニューを全員で食べることはほとんどないようです。

また、いずれの国も配膳は給食のスタッフが行い、児童が行うのは、日本だけのようです。

日本では栄養士が考えたバランスのよい給食を全員が食べられるようになっていますので、子どもたちの健康のためにも、今後も給食が続けられると良いですね!

 

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