「まったり」とは?京都の方言から若者言葉へ!味覚から気分への意味の変遷

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昔はあまり見聞きしなかったけれど、最近は頻繁に見聞きするようになった言葉のひとつに「まったり」があります。

「今日はまったり過ごそう」とか「まったりした味」とか、普段から使っている人も少なくないでしょう。

今回は「まったり」について詳しく解説いたします。

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目次

「まったり」の意味とは?

「まったり」には2つの意味があります。

 

まったりの意味①

  • 味わいがおだやかで、こくのあるさま

 

まったりの意味②

  • ゆったりとしているさま。
  • のんびりと落ち着いた気分であるさま。

 

現在は②の意味で使われることが多いです。

 

「まったり」の語源や由来

「まったり」はもともと近畿地方(特に京都)の方言で、

  • 「まろやかでコクがある」
  • 「柔らかな味わい」

といった料理の味覚表現に使われはじめました。

語源は「またい(全い)」で「欠けるところがなく整っている」「完全である」を意味する言葉です。

この「またい」に接尾語である「り」がついて促音になり「まったり」となったと考えられています。

接尾語(せつびご)とは、他の語の下について、その語とともに一語を形成するものです。

促音(そくおん)とは、つまる音のことで「っ」のことです。

この味覚の「まろやか」「柔らか」といったニュアンスが、やがて

  • 「穏やか」
  • 「落ち着いている」
  • 「ゆるやか」

など気分を表す言葉として用いられるようになりました。

 

味覚から気分への意味の変遷

「まったり」の意味の変遷の経緯は以下のとおりになります。

江戸時代後期(天保ごろ・1830年代)にはすでに近畿の味覚を表す方言として成立していたことが記録されています。

1980年代になると、グルメ漫画『美味しんぼ』の中で料理のコクやまろやかさを表現する際に「まったり」という言葉が頻繁に使われるようになり、全国的に認知されるようになりました。

1990年代後半になると、若者の間で「のんびり」「ゆったり」「落ち着いた」さまを表現する言葉として使われるようになり、料理以外の雰囲気や気分を表す言葉として広まっていきます。​特に1998年から放送されたテレビアニメ『おじゃる丸』で主人公が「まったり」を気分表現として繰り返し使ったことにより、子どもや若者世代にも一気に浸透しました。

2000年代以降はインターネットでの使用も増え、癒やしやリラックスの表現として日常語に定着しています。

現在では「ストレスがなくゆったり落ち着いた状態」や「だらだらすること」を表すほか、若者の若干否定的なニュアンス(退屈、暇)としても使われています。

 

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「まったり」の使い方をわかりやすい例文で解説

それでは、「まったり」の使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。

 

味覚の意味での例文

「まったりとして、それでいてしつこくない。」

「このアイスクリームはまったりとした濃厚な味わいが特徴的だ。」

「このシチューはじっくりと煮込んで、まったりとした味わいに仕上げました。」

 

気分の意味での例文

「今日は何も予定がないから、家でまったり過ごそう。」

「温泉旅館でまったりした気分に浸っています。」

「ペットと一緒にまったり昼寝するのが、最高のリフレッシュ法です。」

 

「まったり」の言い換え、類語は?

「まったり」には2つの意味がありますが、それぞれ以下のような類語があり、言い換えることができます。

「まったり」には以下のような類語があり、言い換えることができます。

 

味覚の意味での類語

  • まろやか
  • 舌触りのよい

 

気分の意味での類語

  • 長閑(のどか)
  • ゆったり、ゆっくり
  • ダラダラ、ゴロゴロ
  • 退屈
  • 悠々自適(ゆうゆうじてき)
  • 寛ぐ(くつろぐ)
  • 羽を伸ばす

 

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「まったり」の反対語・対義語

「まったり」の類語の反対語・対義語は以下のとおりです。

 

味覚の意味での対義語

  • 堅い

 

気分の意味での対義語

  • 「早い」「速い」「速やか」
  • 「キビキビ」「てきぱき」「メリハリ」
  • 「没頭」「熱中」
  • 「忙しい」「多忙」
  • 「多事多端(たじたたん)」
  • 「緊張」
  • 「張りつめる」

 

「まったり」の使い方例文

 味覚の意味で使う場合の例文

「 私好みのまったりした味ですね。」

「このお料理はまったりとしていますね。」

「どういう風に作ればこれほどまったりと仕上がるのですか?」

 

 気分の意味で使う場合の例文

 今日はまったり過ごしましょう。」

「まったりとした時間が過ぎていく。」

「休みの日くらいまったりしたいね。」

「あの子は小さいころからまったりとした性格です。」

「上司はまったりした人で、声を荒らげるのを見たこともないですよ。」

「せっかくの長期休暇をまったりと過ごしてしまった!」

 

「まったり」を漢字で書くと

 「全い(またい)」が変化して「まったり」となったので、漢字では「全り」と書くのかと思いましたが、「まったり」の漢字はないようです。

ひらがなで「まったり」と表記します。

 

「まったり」を英語にすると

「まったり」には2つの意味がありますが、英語にするとそれぞれ以下のようになります。

 

味覚の意味での英語

  • rich(こくのある味、濃厚な味)
  • mellow(まろやかな)

 

気分の意味での英語

  • relaxing(リラックスする)
  • chill out, chill(落ち着く、くつろぐ、のんびるする)

 

  「まったり」という言葉がどういうものかわかりましたね。

もともとは関西地方で使われていて、全国に広がっても料理の世界でだけ使われていた言葉です。

それが漫画などを通じて全国に広まり、若者たちがいろいろな場面で使うようになったのですね。

若者言葉の多くは一時的なものですぐに廃れていきますが、「まったり」は日常的に誰もが使う言葉になりましたね!

 

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