
日常会話の中でよく聞く「やばい」という言葉は、いろいろな場面で使われています。
最近は本来の意味ではなく、別の意味での使い方も増えているようです。
この記事では「やばい」という言葉についてわかりやすく解説します。
「やばい」の意味
本来「やばい」は、自分にとって危険なことや、良くないこと起こることが予測される状況に対して使います。
たとえば「遅刻しそうでやばい!」というように使います。
1980年代ごろになると「やばい」は人や物に対して使われるようになり、「危険」「怪しい」「かっこ悪い」などの意味でも使われるようになりました。
たとえば「あの人はやばい!」というように使います。
このときまでは、いずれにしても否定的・マイナスな意味で使われていました。
ところが、1990年代ごろになると肯定的・プラスの意味で使われるようになり、「すごい」「最高」などの意味で使われるようになりました。
たとえば、「このケーキ、やばい!」というように使います。

「やばい」という一言でプラス・マイナスの感情を表すことができるため、最近、特に若者の会話の中で「やばい」という言葉が多用される傾向があります。
プラス・マイナスどちらの意味にも使うことができることから、状況を把握できないと、どちらの意味で使われているかわからない場合があります。
さきほどの例に上げた「このケーキ、やばい!」という場合、
- 「このケーキ、美味しくない」
- 「このケーキ、美味しい」
という2つの意味があり、まったく逆の意味になってしまいます。
話の流れ、話している人の表情や声のトーンなどで、どちらの意味で使っているのかを判断する必要があります。
「やばい」の語源や由来
「やばい」の語源や由来は諸説あります。
厄場が語源・由来という説

江戸時代(1603年~1868年)、牢屋や看守のことを「厄場(やば)」と呼んでいました。
犯罪者にとって厄場は関わりたくない存在です。
そのため、自分たちにとって都合が悪い状況、たとえば「犯罪がバレそう」「捕まりそう」になったときに隠語として「やば」と言うようになりました。
そのうち危険な状況や、良くない状況に「やば」が使われるようになり、いつしか「やば」が「やばい」に変化したといわれています。
これがもっとも有力な説です。
矢場が語源・由来という説
「矢場(やば)」とは、的に小さな弓で矢を当てて景品を狙う射的(しゃてき)をする場所のことです。
現在の射的は、景品がおもちゃやお菓子などで子どもでも楽しめるものですが、矢場の場合は子どもが遊べる場所ではありません。
矢場には「矢場女(やばおんな)」と呼ばれる女性店員がいたのですが、次第に私娼窟(ししょうくつ・無許可で売春が行われる場所)と化したそうです。
矢場は治安が悪く、その場にいるだけで犯罪に巻き込まれるような場所でした。
このことから「矢場=良くない場所=良くない物事」となり、危険な状況、良くない状況を「やば」と言うようになりました。
そして、「やば」がいつしか「やばい」に変化したといわれています。
古くからある形容動詞が語源・由来という説
古くから「やば」という形容動詞が存在しており、「危険」「良くないこと」などの意味がありました。
「やば」という形容動詞に「い」を付けて「やばい」という形容詞として使うようになったという説があります。
「やばい」の言い換え表現
ビジネスの場面では、同僚や後輩などよほど親しい間柄ではない限り「やばい」という言葉を使うことは避けたほうが良いですね。
危険なことや良くないこと起こることが予測される状況については、以下のような言い換えができます。
- 「危険」
- 「危ない」
- 「厄介」
- 「不都合」
- 「大変」
- 「物騒」
- 「困りました」
- 「深刻」
- 「問題がある」
- 「緊急事態」
- 「絶体絶命」
など
また、若者の間でよく使われている「やばい」は、否定的・マイナスの意味だけでなく肯定的・プラスの意味でも使われ、以下のような言い換えができます。
プラスの意味での言い換えは、
- 「美味しい」
- 「面白い」
- 「楽しい」
- 「素晴らしい」
- 「嬉しい」
- 「かわいい」
- 「かっこいい」
- 「素敵」
- 「強い」
- 「綺麗」
- 「すごい」
- 「感動しました」
- 「好き」
- 「似合う」
マイナスの意味での言い換えは、
- 「美味しくない」
- 「面白くない」
- 「辛い」
- 「悲しい」
- 「苦しい」
- 「つまらない」
- 「かわいくない」
- 「かっこ悪い」
- 「弱い」
- 「まずい」
- 「びっくりした」
- 「嫌い」
- 「怖い」
- 「似合わない」
などなど、キリがないほどたくさんの言い換え表現があります。
「やばい」の使い方の例文
本来の否定的・マイナスな意味での使い方の例文
(自分にとって危険なことや良くないこと起こることが予測される状況)
- 家のカギを落としたのはやばいよね
- やばいことになったよ
- 電車を乗り過ごしてやばい!
- やばい、明日がレポートの提出期限だ
- 些細な事が別れ話に発展しそうでやばい

若者言葉として、プラス・マイナスの意味どちらにも使う場合の例文
- 初めて作った料理がやばい
- 彼の運動能力はやばい
- この映画を観てよ、やばいから
- 来週のスケジュールがやばい
- こんなに集まるなんて、やばいよ!
「やばい」の反対語・対義語
「やばい」の、本来の意味の反対語・対義語は以下の通りです。
安心(あんしん)
気にかかることがなく心が落ち着いていることです。
安寧(あんねい)
無事でやすらかなことです。
特に、世の中が穏やかで安定していることをいいます。
安泰(あんたい)
無事でやすらかなことです。
安堵(あんど)
心配や不安が解消されて心が落ち着くことです。
「やばい」は英語で何という?
否定的、マイナスの意味を持つ「やばい」を英語にすると以下のとおりです。
- bad(悪い)
- dangerous(危険な)
- risky(危ない)
- awful(酷い、怖い、嫌な、など)
- terrible(とても不快な、とても悪い、など)
肯定的、プラスの意味をもつ「やばい」を英語にすると以下のとおりです。
- awesome(素晴らしい)
- cool(いいね、かっこいい、など)
- amazing(素晴らしい、驚異的な、など)
- super(素晴らしい、極上の、など)
- funny(面白い)
- incredible(信じられないほど素晴らしい)
漢字で書くと
「厄場」や「矢場」が語源・由来という説があるので「厄場い」「矢場い」という漢字が当てはまりそうですが、漢字はありません。
「やばい」「ヤバイ」「ヤバい」など、ひらがなやカタカナで書きます。
本来は否定的・マイナスの意味で使われていた「やばい」という言葉ですが、意味が変化して肯定的・プラスの意味でも使われるようになったことがわかりましたね。
便利な言葉ではあるのですが、自分の状況や感情を正しく相手に伝える場合は「やばい」ではなく、別の言葉で言い換える方がスムーズになります。
言葉は時代と共に変化していくものですので、今後も「やばい」の使い方に変化があるかもしれませんね。
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