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【冬の俳句30選】有名な冬の俳句一覧 名作俳句の作者・季語・意味とは?

      2017/09/22

古くから日本人に親しまれてきた俳句は、短さという最大の魅力によって、今では世界中の人から愛されています。日々変化する季節に目を向け、自らの言葉で表現してきた人々の俳句は、長い年月を経てもなお、今の私たちの心を動かす力をもっています。

ここでは、冬に詠まれた俳句を30句紹介します。クリスマスや年末年始と、煌めく街並みやわくわくするイベントを想像してしまう冬でもありますが、俳句に詠まれた世界にはどんな景色が広がっているのか、詠まれた背景も想像しながらお楽しみください。

 

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俳句とは

俳句とは5・7・5の言葉で季節の風景や感動を表現する、世界に類のない短詩型文学です。

俳句のルールは、5・7・5の17音を基本とすること(17音を超えるものを「字余り」17音に満たないものを「字足らず」という)、「季語」という季節を表現する言葉を句の中に詠み込むことです。

また、「切れ字」(主に「や」「かな」「けり」など)を句の途中や最後に置くことで、俳句が味わい深いものとなり、読者は想像をふくらませながら楽しむことができるのです。


冬の季語について

「季語」は、俳句で季節を表すために詠み込まれる言葉であり、四季のある日本の暮らしに根づき、愛されてきた言葉です。

俳句が17音という短い言葉でありながら、豊かな情景を表現できるのは季語があるからとも言えるでしょう。

季語は季節を表すために詠み込まれる言葉で「新年」「春」「夏」「秋」「冬」の5つに分けられます。

大まかに1月から3月を春、4月から6月を夏、7月から9月を秋、10月から12月を冬として考えます。

冬の季語をみていくと、「雪」「木枯し」「枯れ野」など冬の寒さや自然を表現するもの、「焚火」「炭」「炬燵」など暖をとるためのもの、「おでん」や「雑炊」など体を温める食べ物、「スケート」や「押しくらまんじゅう」など冬の遊びなどが挙げられます。

 

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冬の俳句30句

 
『初時雨(はつしぐれ) 猿も小蓑を 欲しげなり』
 

作者:松尾芭蕉

季語:初時雨

意味:その年の初めての時雨が、旅の途中の山中で降ってきました。興趣のあることだと、しばらく雨宿りをしていると、近くの樹上で猿も寒そうに雨を見て、小さな蓑を欲しそうにしていることです。

 

 
『いざ子ども はしりありかん 玉霰』
 

作者:松尾芭蕉

季語:玉霰

意味:さあ、子どもたちよ、走りまわろう、あられが降ってきましたよ。

 

 
『旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる』
 

作者:松尾芭蕉

季語:枯れ野

意味:旅の途中、病に倒れ床につくことになりましたが、うとうとしながら見る夢は、あちらの枯れ野、こちらの枯れ野とかけめぐるというものでありました。

 

 
『塩鯛の 歯ぐきも寒し 魚(うを)の店(たな)』
 

作者:松尾芭蕉

季語:寒し

意味:厳しい寒さやしけのため、魚屋の店頭には生きのいい魚は一つも見当たりません。歯ぐきをむき出した塩引きの鯛がわずかに並べられてあるだけで、いかにも寒々とした感じです。

 


 
『斧入れて 香におどろくや 冬木立』
 

作者:与謝蕪村

季語:冬木立

意味:すっかり葉をふるい落とした冬木に斧を打ち込むと、切り口からぷうんと新鮮な木の香りが鼻をついてきました。これほどの生気が冬木の内部に秘められていようとは…。

 

 
『蕭(しょう)条(じょう)として 石に日の入る 枯れ野かな』
 

作者:与謝蕪村

季語:枯れ野

意味:目の前の原野は、一面冬枯れて荒涼としてもの寂しいありさまです。その枯れ野を夕日が染めながら落ちていきますが、そこここにある石だけがくっきりと見えていることですよ。

 

 
『づぶ濡れの 大名を見る 炬燵(こたつ)かな』
 

作者:小林一茶

季語:炬燵(こたつ)

意味:冬の寒い一日、炬燵でくつろいでいると、大名行列の先触れの声が聞こえてきました。障子のすき間から覗くと、せっかくの行列も、冷たい雨に打たれて気勢が上がらず、気の毒なことですよ。

 

 
『これがまあ つひの栖(すみか)か 雪五尺』
 

作者:小林一茶

季語:雪

意味:これがまあ、自分が最後に身を落ち着ける住み家となるのでしょうか。雪が五尺も積もったこの山深い家が。

 

 
『ともかくも あなた任せの としの暮』
 

作者:小林一茶

季語:年の暮

意味:とにかく阿弥陀様のはからいに任せて、年の暮れを迎えましょう。

 

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『む(う)まさ(そ)うな 雪がふうは(わ)り ふは(わ)りかな』
 

作者:小林一茶

季語:雪

意味:おいしそうな雪が、ふうわりふわり落ちてくることですよ。

 

 
『大晦日 定めなき世の さだめかな』
 

作者:井原西鶴

季語:大晦日

意味:今日は大晦日。何が起こるか決まっていない世の中ですが、一年の終わりの大晦日は、決まりどおりきちんときましたよ。

 

 
『盗人に 鐘つく寺や 冬木立』
 

作者:炭大祇

季語:冬木立

意味:盗難を知らせる鐘が冬木立に囲まれた寺院から鳴り響いていますよ。

 

 
『いくたびも 雪の深さを 尋ねけり』
 

作者:正岡子規

季語:雪

意味:病床でふと気づけば、何度も、何度もどれぐらい雪が積もっているのか、尋ねてしまっていましたよ。

 

 
『河豚(ふぐ)雑炊 あつしあつしと めでて吹く』
 

作者:水原秋櫻子

季語:雑炊

意味:体が温まる河豚雑炊を「あつい、あつい」と、愛おしみながらふーふーと息を吹きかけています。

 


 
『流れ行く 大根の葉の 早さかな』
 

作者:高浜虚子

季語:大根

意味:誰かが大根を洗ったのでしょうか。川面を見おろすと、上流から大根の葉が流れてきて、あっという間に目の前を通り過ぎていきました。

 

 
『とつぷりと 後暮れゐし 焚火かな』
 

作者:松本たかし

季語:焚火

意味:焚火をしながら、炎の温かさ、明るさに気を取られていましたが、後ろをふり返ると、すっかり日が暮れて真っ暗になっていました。

 

 
『冬蜂の 死にどころなく 歩きけり』
 

作者:村上鬼城

季語:冬蜂

意味:冬の日に、一匹の蜂がよろよろと歩きまわっています。こうして飛ぶこともなく、目の前を歩いている姿は、まるで死に場所もなく、うろついているようですよ。

 

 
『海に出て 木枯(こがらし)帰る ところなし』
 

作者:山口誓子

季語:木枯

意味:冷たい木枯しが、山をこえ、野をこえ、街をこえて、ふきわたっています。この木枯しは、広い海に出ていき、そのまま二度と帰るところはないのです。

 

 
『学問の さびしさに堪へ 炭をつぐ』
 

作者:山口誓子

季語:炭

意味:学問は自分自身の闘いであり、一人で向き合うものです。その寂しさに耐え、もくもくと火鉢に炭を入れるのです。

 


 
『スケートの 紐むすぶ間も 逸りつつ』
 

作者:山口誓子

季語:スケート

意味:スケート靴の紐を結び、すべる準備をしている間にも、もう滑っている気分です。胸がわくわくしています。

 

 
『咳の子の なぞなぞあそび きりもなや』
 

作者:中村汀女

季語:咳

意味:子どもが風邪を引いて、寝床の中で咳をしています。そんな子どもにせがまれて、ずっとなぞなぞ遊びが続いていて、きりがないのです。

 

 
『降る雪や 明治は遠く なりにけり』
 

作者:中村草田男

季語:雪

意味:降りしきる雪の中にいると現実の時を忘れ、現在も明治の頃のような気持ちになっていたところ、ふと現実に戻り、明治は遠くなってしまったんだなという思いが強くなってしまいました。

 

 
『かくれんぼ 三つかぞえて 冬となる』
 

作者:寺山修司

季語:冬

意味:かくれんぼの鬼になって三つかぞえていたら、もうみんなかくれてしーんとなってしまいました。なんだかふいに寒くなって、すっかり冬のようです。

 

 
『水鳥の おもたく見えて 浮にけり』
 

作者:上島鬼貫

季語:水鳥

意味:まるまるとして体の重そうな水鳥。よちよち歩きしていたのに、すいーっと浮き、驚きました。

 

 
『玉の如き 小春日和を 授かりし』
 

作者:松本たかし

季語:小春日和

意味:冬のはじめに、春のようにぽかぽかと暖かく、穏やかな日に恵まれました。それは、天からさずかった美しい宝石のようでした。

 

 
『急(せ)く仔犬 四肢もにぎやか 七五三』
 

作者:香西照雄

季語:七五三

意味:きれいにおめかしした家族連れが、目の前を通り過ぎていきます。そういえば今日は七五三の日です。一緒にいく子犬も、足をにぎやかに動かしてとても嬉しそうです。

 

 
『凩(こがらし)や 海に夕日を 吹き落す』
 

作者:夏目漱石

季語:凩

意味:弱々しいものを全て吹き飛ばしてしまうような木枯しが、冬の穏やかな夕日を吹き飛ばし海に突き落としてしまいます。

 

 
『鮟鱇(あんこう)の 骨まで凍(い)てて ぶちきらる』
 

作者:加藤楸邨

季語:鮟鱇

意味:魚屋の店先に、あんこうがつるされ、骨までかちかちに凍りついています。そして、大きな口をあけたまま、あんこうは包丁でぶち切られていくのです。

 

 
『百方(ひゃっぽう)の 焼けて年逝く 小名木川』
 

作者:石田波郷

季語:年逝く

意味:目の前には見渡す限り、戦災で焼きつくされた町が続いています。その中を小名木川が、昔と同じように静かに流れています。こうして、なすすべもなく、今年も暮れていくのでしょう。

 

 
『雪国や はつはつはつはつ 時計生き』
 

作者:森澄雄

季語:雪国

意味:雪国では、深い雪にとざされ、なにもかもその中にうもれたように、ひっそり息づいています。家のなかには物音一つなく、ただ大きな柱時計だけが、ハツハツハツハツと、時を刻む音を、はっきりとひびかせているのです。

 


 

 

冬の俳句には、現代よりも冬の寒さ、厳しさとともに生活していた人々の姿が映し出されています。

しかし、これらの俳句は、単に冬の寒さや辛さを詠んでいるのではなく、人間をはじめ命あるものの「生き方」や「在り方」が鋭い視点や感性で表現されていることに気が付きます。

ひと肌恋しくなり、どこか寂しさを感じさせる冬の季節。俳句を通して生き方を見つめてみたり、俳句に詠まれた美しい景色を想像して味わってみるのはいかがでしょうか。

 

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