「父兄」という言葉、昔は一般的に使われていたのに最近はあまりみかけなくなり、現在は「保護者」と表現されていますね。
なぜ「父兄」は使わなくなったのでしょうか?
「父兄」と「保護者」の違いはなんでしょうか?
今回は「父兄」についてわかりやすく解説します。
「父兄」の意味とは?
読み方は「ふけい」です。
「父と兄」という意味と、「保護者」という意味があります。
「父兄」は、家制度(いえせいど)が由来の言い方です。
家制度とは、明治31年(1898年)に明治民法で規定されたもので、家族の中での義務や権利などが決められていました。
詳細についてはこちらをご覧ください。
関連:「家制度」を簡単に解説!廃止された理由とは?家制度の名残の例
家の中で最年長の男性が家の長となり、家族を養う義務を負うとともに家族に対して絶対的な権力を持っており、最年長の男性が亡くなれば、その長兄が後を継ぐという決まりがありました。
長兄が幼いころに亡くなっているなら次兄が継ぐなど、男性が家を継ぐことが大前提とされており、妻や娘などは男性に従うものとされていました。
そのため、子どもを養ったり教育したりする人は「父や兄」ということになり「父兄」と呼ばれていたのです。
「父兄」はなぜ使わなくなった?
「父兄参観日」や「父兄会」など、1980年代後半ごろまでは全国の学校で使われていました。
「父兄」には「保護者」という意味もありますので、父兄参観日や父兄会は父と兄以外の人も参加していました。
参観日は、平日に行われることがほとんどなので、実際に参加するのは母親が多かったようです。
その後、次第に家族構成の変化や男女平等の考え方などが影響し「父兄」ではなく「保護者」という言葉が使われるようになりました。
「父兄」を使わなくなったタイミングは地域や学校によって異なり、明確な時期はわかりませんが、昭和61年(1986年)に「女性差別にあたる、男女平等の考えに反する」などを理由に放送禁止用語になっていることから、1980年代になってからと考えられます。
放送禁止用語とは、テレビやラジオなどが差別や侮辱など何らかの理由によって不適切と判断し、放送で使わないようにしている用語のことです。
テレビ局などが独自の判断で自粛しているもので、法律的に使用が禁止されているわけではありません。
また、法律では「父兄」という言葉を使うことが禁止されているわけではありません。
また、「父兄」と同じように、学校などでは父母・両親も使えないことがあります。
理由としては、
- シングルファーザーやシングルマザーのように、父と母どちらかしかいない子どもがいる
- 祖父母や施設など、父母・両親ではない人が子どもを育てていることがある
などがあり、父母・両親が揃っている子どもばかりではないので、表現には配慮が必要なのです。
「保護者」は、特定の個人に対して、個別の法律に基づいて、保護を行う義務がある者を指します。
簡単にいうと、子どもの父と兄だけではなく、母や姉、祖父母、叔父叔母など血縁関係者はもちろん、血縁関係ではない養子縁組で親になった人など、その子どもに責任をもつすべての人を指します。
保護者との違い
「父兄」と「保護者」は、厳密には対象となる子どもとの関係性が違います。
保護者は、父親や母親など血縁関係がある人だけでなく、養子縁組をした親や、里親、児童福祉施設の長など、子どもを監護(かんご)する人も含まれます。
監護とは、身の回りの世話をしたり、監督、保護、教育をすることです。
現在、「父兄」を使う学校はほとんどなく、「保護者」が一般的です。
「父兄」の言い換え表現
「父兄」の言い換えは、「保護者」が一般的ですが、その場に応じて
- 親
- 親御さん
- おうちの方
などいろいろな言い換えができます。
使い方は
「保護者のみなさまへお知らせです」
「この書類には保護者のサインが必要です」
「親御さんに連絡しましょう」
「おうちの方が迎えに来ましたよ」 など
「父兄」は英語で何と言う?
「父兄」は英語で「parent」です。
「parent」は、保護者、両親、親、子どもを育てる人、子どもを養育する人などの意味もあります。
私たちもよく知る学校の「PTA」は「Parent-Teacher Association(保護者と教職員の会)」の頭文字です。
「父兄」は明治時代の女性差別の名残があるのでほとんど使われなくなったのですね。
うっかり「父兄のみなさま」と言ったり書いたりしたら問題視されかねませんから、「保護者のみなさま」と言い換えるようにしましょう。
また、家族のかたちも家庭によってそれぞれなので「父母」や「両親」と表現するのではなく「保護者」と表現したほうが無難なのかもしれませんね。
コメント