体重は「計る」ものでしょうか、それとも「量る」ものでしょうか?
真意は「図る」ものでしょうか、それとも「測る」ものでしょうか?
今回は、「計る」「図る」「測る」「量る」「諮る」「謀る」の違いと意味、使い分け方について解説します。
「計る」の意味と使い方
「計る」は、数や時間を数えたり、程度を調べたりすることです。
「計」という字は、「言」と「十」からできています。
「十」は「まとまった数」という意味で、そこに「言」がつくと、物をまとめてその数を言う、つまり「数える」という意味になるのです。
そして、そこから転じて、「見積もる」「物事をうまく処理する」といった意味も加わりました。
「数える」と「物事をうまく処理する」とではずいぶん遠いように感じますが、「粋な計らい」などの言い回しに「計」が使われることを考えると、なるほどと思えるのではないでしょうか。
例文1:
時間を計って作業したほうが、早く終わる。
例文2:
わたしが無事に帰れるように、計らってくれた。
「図る」の意味と使い方
「図る」は、物事を計画して、実現のために工夫することです。
「意図する」「企図する」などの熟語を思い浮かべると、ニュアンスをつかめるでしょう。
注意したいのは、「数える」の意味では使われない、ということです。
「図工」「図式」といった熟語を見ると、計測したり数えたりするシーンが目に浮かびますが、この場合の「図」は、図面や形などを表していて、「数える」という意味ではありません。
例文1:
経費削減を図るように、と言われている。
例文2:
便宜を図る見返りに、金銭を要求する
「測る」の意味と使い方
「測る」は、深さ、長さ、広さ、温度などを測定することです。
もともとは、水の深さを計測することを意味しており、「さんずい(氵)」なのはそのためです。
そこから測るものの対象が広がって、能力や人の心を測るときにも使われるようになりました。
したがって、冒頭で挙げた「真意は、図るか?測るか?」の答えは、相手の本心を推測することなので、「測る」ということになります。
ただし、「真意を量る」と記述している辞書もあるので、答えはひとつだとは限らないようです。
例文1:
体調管理のために、血圧を測る。
例文2:
愛情の深さを測ることはできない。
「量る」の意味と使い方
「量る」は、重さや容積を調べるときに用いられます。
したがって、冒頭の体重についての問いは、「体重を量る」が正解です。
「測る」と同様に、「量る」も量るものの対象が広がって、「人の気持ちを推し量る」という意味を持つようになりました。
この経緯が似ているためか、「推し測る」と「推し量る」の両方を載せている辞書が多いようです。
例文1:
量り売りの店で、必要な分だけ買う。
例文2:
相手の発言の意味を推し量ろうと努力した。
「諮る」の意味と使い方
「諮る」は、他人に相談したり、意見を求めたりすることです。
とはいえ、相談する相手は個人ではなくて、審議会や委員会などの団体であるのがポイントです。
ですから、「友達に諮る」といった言い方はあまりしません。
例文1:
当人と相談して決めるより、みんなに諮って決めたほうがいい。
例文2:
審議会に諮ることが、法令で定められている。
「謀る」の意味と使い方
「謀る」は、悪事をたくらんで、人をだますことです。
「図る」と同様に、物事を計画して実現を目指すことを意味しますが、「謀る」は、悪いことをくわだてる場合に用いられます。
「謀反」「陰謀」などの物騒な熟語が多いのは、そのためです。
例文1:
暗殺を謀られるのは、これが初めてではない。
例文2:
実行する前に、謀りごとを知られてしまった。
計る・図る・測る・量る・諮る・謀るの違いは?
まず、計測を意味するものと、そうでないものとに分けられます。
計測を意味する「はかる」は、
「計る」
「測る」
「量る」
です。
そして、
はかる対象が時間や程度なら「計る」
深さや長さなら「測る」
重さや容積なら「量る」
です。
計測とは関係のない「はかる」は、
「図る」
「諮る」
「謀る」
です。
「諮る」はほかの2つとは似ていないので、簡単に区別できます。
残りの「図る」と「謀る」は、計画が悪事であれば「謀る」、そうでないなら「図る」です。
「計る」は、数や時間を数えたり、程度を調べること。
「図る」は、物事を計画し、実現を目指すこと。
「測る」は、深さ、長さ、広さ、温度を調べること。
「量る」は、重さや容積を調べること。
「諮る」は、他人に意見を求めること。
「謀る」は、悪事をたくらむこと。
明確に区別できない「はかる」もありますが、何をはかるのかを考えて、これだと思う字を選びましょう!
関連:「ご教授」「ご教示」「ご指導」「ご指南」の意味と違い、使い方とは?
コメント