「話の種」と「話のネタ」
どちらもよく耳にする言葉ですが、どちらが正しいのでしょうか?
この記事では、「話の種」と「話のネタ」の由来や意味の違い、使い方の例文をご紹介します。
「話の種」と「話のネタ」はどちらが正しい?
結論から申し上げますと「話の種」と「話のネタ」はどちらも正しいです。
意味は同じで「話したり書いたりするときの材料」のことです。
もともと「話の種」という言葉がありました。
そして、江戸時代(1603年~1868年)に倒語(とうご)が流行し、「話のネタ」という言葉が生まれたといわれています。
倒語とは、言葉を逆の順序で読むことで、「逆読み(ぎゃくよみ)」や「逆さ読み(さかさよみ)」とも言います。
言葉遊びとして流行したものですが、仲間内だけで通じる隠語として使われることも多かったようです。
2文字の場合は逆に読むだけですが、3文字以上の場合は、途中が入れ替わったり、いくつかの文字が抜けたり、最後の文字を最初に持ってくるなどします。
文字の順番を逆にしたり、入れ替えただけなので、意味は同じなのですね。
それでは、江戸時代に生まれ現在も残っている倒語をいつくかご紹介します。
●だらしない
自堕落(じだらく)が変化した「しだらない」という言葉の倒語が「だらしない」です。
「しだらない」はいつの間にか使われなくなり、倒語の「だらしない」だけが現在も残っています。
●ドヤ街(どやがい)
「宿(やど)」を倒語にした言葉が「ドヤ」で、江戸時代から使われています。
宿とは呼べないような宿泊料の安い簡易宿泊所を指していました。
その後、簡易宿泊所を利用する日雇い労働者が多く集まったことから「ドヤ街」と呼ぶようになりました。
●験を担ぐ(げんをかつぐ)
「ゲンを担ぐ」「ゲン担ぎ」「験担ぎ」ともいいます。
「縁起を担ぐ」の「縁起(えんぎ)」が「ぎえん」となり、さらに「げん」に変化し「験」という漢字が当てられました。
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それ以外にも、芸能界やマスコミ関係者などが使う「業界用語」も倒語になっているものが多いです。
業界用語は一般の人たちが聞いてもわからないようにする目的があるといわれており、限られた人にしかわからない言葉を使う自分たちを特別だと感じるエリート意識もあるのではないかといわれています。
たとえば以下のものがあります
- しーすー=寿司
- ざぎん=銀座
- ギロッポン=六本木
- ジャーマネ=マネージャー
- ワイハ=ハワイ
- グラサン=サングラス
- パイセン=先輩
「話の種」と「話のネタ」の意味の違いは?
「話の種」と「話のネタ」の意味は同じで、
- 相手が喜びそうな話
- 会話のとっかかりになるような話
- 当たり障りのない話
- スピーチの題材
- 時事問題や噂などその時に盛り上がる話
など、話したり書いたりするときの材料や題材という意味があります。
しかし、以下のように使い分けることができます。
話の種は、一般的な話の材料、噂の材料、話題になるもので、落ち着いたニュアンスで使われます。
話のネタは、雑誌記事や新聞記事などの材料、下世話な話、漫才などで事前に用意している話題、特に盛り上げるための話題など、カジュアルなニュアンスで使われます。
簡単にいうと、
話の種は、話のきっかけや材料でややフォーマルな場面で使います。
話のネタは、盛り上げるための話題、お笑いの要素などがあり、カジュアルな場面で使います。
「話の種」と「話のネタ」使い方の例文
「話の種」の使い方の例文をいくつかご紹介します。
- そんなに珍しいものなら、話の種に見ておこうかな。
- 朝礼のスピーチのための話の種探しでここ数日は忙しい。
- 今回の出来事は次の集会の話の種になりそうだ。
- 客層がわからないから話の種は当たり障りのないものにするよ。
「話のネタ」の使い方の例文をいくつかご紹介します。
- 番組収録で話のネタが尽きて困らないように、日ごろから気づいたことはネタ帳にメモしているよ。
- プライベートでこんな出来事が起こるなんて、いい話のネタが出来たよ。
- 芸能人の話題は良い話のネタになるよ。
- 頻繁に会う人たちだから話のネタが尽きてしまった。
このように使い分けには明確な定義はないためとても曖昧なものなのです。
また、これらの例文はすべて「話の種」と「話のネタ」に置き換えても問題ありません。
いかがでしたでしょうか?
「種」から「ネタ」という言葉が生まれたことがわかりましたね。
寿司ネタということばがありますが、こちらももともとは種と言っていました。
日本人は昔から言葉遊びが好きだったのかもしれませんね。
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