【仏教の地獄とは?】地獄の階層の種類とそれぞれの意味をわかりやすく解説

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人は亡くなったあと、天国や地獄に行くといわれていますよね。

生前によいことをした人は天国へ行き、悪いことをすると地獄に堕ちるという考え方が一般的ですが、地獄とはどういう場所なのでしょうか?

地獄には階層があるそうですが、どういうことなのでしょう?

今回は地獄についてわかりやすく解説します。

 

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目次

地獄とは?

 読み方は「じごく」です。

 

「地獄」の考え方は、一般的には、

  • 生前に悪いことをすると堕ちる場所
  • 生前に悪いことをした人に罰を与える場所
  • 永遠の責め苦を受ける場所

などとされています。

 

日本人に馴染みのある宗教といえば、神道と仏教ですね。

神道の場合、地獄という概念そのものがありません。

亡くなった人はその家や子孫の守護神となると考えられています。

ということでこの記事では、仏教の地獄についてくわしく解説します。

 

仏教の地獄とは?

閻魔大王

仏教では、人は亡くなったら7日ごとに生前の裁判を受けます。

そして、7回目の裁判である四十九日(しじゅうくにち)に極楽に行くのか六道(ろくどう・りくどう)に行くのかが決まります。

 六道とは、

  • 天道(てんどう)
  • 人間道(にんげんどう)
  • 修羅道(しゅらどう)
  • 畜生道(ちくしょうどう)
  • 餓鬼道(がきどう)
  • 地獄道(じごくどう)

という、人が生まれ変わる6つの世界のことです。

この中の「地獄道」が、これから説明する「地獄」です。

 関連:六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)の意味とは?

 

地獄に堕ちる場合、生前に犯した罪によって地獄のどの階層に行くのかが決まります。

罪の重さは「五戒(ごかい)」という仏教の戒律が判断基準となります。

ただし、各階層と五戒が厳密に対応しているわけではなく、どの地獄に堕ちるかは、犯した罪の内容や重さによって決まるとされています。

五戒は以下のとおりです。

五戒 意味
不殺生界
(ふせっしょうかい)
人に限らず命あるものをみだりに殺してはならない
不偸盗戒
(ふちゅうとうかい)
盗みをしてはならない
不邪淫戒
(ふじゃいんかい)
淫らなこと、不倫や浮気などをしてはならない
不妄語戒
(ふもうごかい)
嘘をついてはならない
不飲酒戒
(ふいんしゅかい)
飲酒をしてはならない

 

さらに、五戒よりもはるかに重い「五逆罪(ごぎゃくざい)」という5つの大きな罪があります。

五逆罪を犯すと、最も苦しい無間地獄(阿鼻地獄)に堕ちると説かれています。

五逆罪は次の5つです。

五逆罪 意味
殺父
(せつぶ)

父親を殺すこと

殺母
(せつも)

母親を殺すこと

殺阿羅漢
(せつあらかん)
悟りを開いた聖者(阿羅漢)を殺すこと
出仏身血
(すいぶっしんけつ)

仏の体を傷つけて血を流させること

破和合僧
(はわごうそう)

お寺の僧侶たちの仲を壊して教団を分裂させること

出仏身血は、本来はお釈迦様が生きていた時代に、実際にお釈迦様の身体を傷つけて血を流させる行為を指します。

現代は、仏教の教えや仏像、仏法そのものを傷つける行為も、広い意味で出仏身血と考えられることがあります。

 

地獄では獄卒(ごくそつ)と呼ばれる鬼や、地獄の動物・虫などに責め苦を受けるそうです。

責め苦を受けて身体がぼろぼろになってもすぐに再生し、何度も何度も苦しみ続けるといわれています。

 

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地獄の階層と種類、それぞれ意味をわかりやすく解説

 仏教の地獄は、

「八大地獄(はちだいじごく)」「八寒地獄(はちかんじごく)」

に分けられます。

八大地獄は、炎や熱による責め苦が多いことから「八熱地獄(はちねつじごく)」ともいわれています。

八寒地獄は、氷や寒さによる責め苦が多いそうですが、資料が少ないため階層の名前や簡単な概要しかわかっていません。

そのため、仏教の地獄というと、通常は八大地獄を指します。

 

八大地獄と八寒地獄はそれぞれ8階層に分かれています。

階層が下にいくにしたがって罪が重くなり、刑罰が厳しくなっていきます。

階層の一番上から順(罪が軽い順)にそれぞれの意味などをわかりやすく解説します。

 

八大地獄

1.等活地獄(とうかつじごく)

地獄の中で一番上の第一階層にあります。

ここに堕ちた罪人は顔を見合わせるとつかみ合いの喧嘩を始め、殺し合いになります。

相手の肉が無くなるまで引っかいたり殴ったりし、白骨だけになると獄卒が骨を粉々に砕いてしまいます。

すると、どこからか涼しい風が吹いて、獄卒が「活(活きろ)!活(活きろ)!」と叫ぶと粉々になった骨や飛び散った血や肉が集まって罪人は等しく元の体に戻ります。

このことから「等活地獄」と呼ばれています。

 

2.黒縄地獄(こくじょうじごく)

地獄の第二階層にあります。 

罪人は獄卒によって熱く焼いた黒い縄で身体に升目状(ますめじょう)の線を付けられ、その線の通りに熱した斧やノコギリで切り刻まれることから「黒縄地獄」と呼ばれています。

 

3.衆合地獄(しゅうごうじごく)

地獄の第三階層にあります。

罪人は鉄でできた山の谷間に追い込まれ、両側から山が迫ってきて押しつぶされたり、鉄の臼で餅のようにつかれることから「堆圧地獄(たいあつじごく)」という別名があります。

堆圧とは、重ねて押しつぶすことです。

 

4.叫喚地獄(きょうかんじごく)

地獄の第四階層にあります。

真っ赤に焼けた鉄の地面を走らされたり、熱湯の大釜で茹でられたり、熱い炎で炙られたりして叫喚することから「叫喚地獄」と呼ばれています。

叫喚とは、大声で喚き叫ぶ(なきさけぶ)ことです。

 

5.大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)

地獄の第五階層にあります。

真っ赤に焼けた熱い鉄の針で唇と舌を突き通され、熱い鉄のハサミで舌を抜かれたり、叫喚地獄よりも辛い責め苦が続くため、さらに大きな声で喚き叫ぶことから「大叫喚地獄」と呼ばれています。

 

6.焦熱地獄(しょうねつじごく)

地獄の第六階層にあります。

罪人は常に熱い火で何度も焼かれ、焦がされ、赤く熱した鉄板の上で熱い串に突き刺されたりします。

上の階層の地獄の暑さが雪のように冷たく感じられるほど、焦げて燃え上がらんばかりに熱いことから「焦熱地獄」と呼ばれています。

 

7.大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)

地獄の第七階層にあります。

焦熱地獄よりも責め苦が厳しく、さらに熱いため「大焦熱地獄」と呼ばれています。

 

8.阿鼻地獄(あびじごく)

地獄の第八階層にあります。最下層です。

最下層にある地獄なので、そこに到着するまで真っ逆さまに落ち続けて2000年かかるといわれています。

落ち続ける間は周りに誰もおらずたったひとりで孤独を感じ、地獄の暑さや熱を感じ続けるそうです。

阿鼻はサンスクリット語「avici」に漢字を当てたもので「無間(むげん)」と訳されます。

無間とは、絶え間ないこと、ひっきりなしという意味があります。

2000年かけてようやく阿鼻地獄に到着すると、ほかの地獄よりも厳しく激しい責め苦を絶え間なく受け続けることから「無間地獄(むげんじごく)」という別名があります。

 

 「阿鼻叫喚」という四字熟語は、阿鼻地獄と叫喚地獄の責め苦で喚き叫ぶことが由来となっています。

四字熟語の阿鼻叫喚とは、悲惨な状況になって人々が泣き叫んだり混乱しているという意味です。

 

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八寒地獄

 八大地獄と同じように8階層あり、階層が下にいくにしたがって罪が重くなり、刑罰が厳しくなっていきます。

階層の一番上から順(罪が軽い順)にご紹介します。

 

1.頞部陀地獄(あぶだじごく)

八寒地獄の中で一番上の第一階層にあります。

寒さによって全身に鳥肌が立ち、あばた(腫れ物のこと)ができます。

「あばた」が変化して「あぶだ」地獄と呼ばれています。

 

2.尼剌部陀地獄(にらぶだじごく)

八寒地獄の第二階層にあります。

鳥肌が潰れ、全身にあかぎれができます。

名前の由来は不明です。

 

3.頞哳吒地獄(あたたじごく)

八寒地獄の第三階層にあります。

寒さによって「あたた」という悲鳴が出るのが名前の由来です。

 

4.臛臛婆地獄(かかばじごく)

八寒地獄の第四階層にあります。

 

寒さによって舌がもつれ「ははば」や「かかば」という声にならない悲鳴しか出ないのが名前の由来です。

 

5.虎虎婆地獄(ここばじごく)

八寒地獄の第五階層にあります。

 

寒さによって口が開かず「ふふば」や「ここば」という声にならない悲鳴しか出ないのが名前の由来です。

 

6.嗢鉢羅地獄(うばらじごく)

八寒地獄の第六階層にあります。

 青い睡蓮(すいれん)という意味のサンスクリット語「utpala」に「嗢鉢羅」という漢字を当てたものです。

全身が凍傷によってひび割れ、まるで青い睡蓮のようにめくれ上がることから「青蓮地獄(しょうれんじごく)」という別名があります。

 

7.鉢特摩地獄(はどまじごく)

八寒地獄の第七階層にあります。

 蓮華(れんげ)という意味のサンスクリット語「padma」に「鉢特摩」という漢字を当てたものです。

全身の皮膚が寒さによって裂けて流血し、紅色の蓮の花のようになることから「紅蓮地獄(ぐれんじごく)」という別名があります。

 

8.摩訶鉢特摩地獄 (まかはどまじごく)

八寒地獄の第八階層にあります。最下層です。

 ほかの地獄が極楽に思えるほどの厳しい寒さで、体が折れたり裂けたりして流血し、紅色の蓮の花のようになります。

鉢特摩地獄よりも厳しい場所なので「大紅蓮地獄(だいぐれんじごく)」という別名があります。 

 

 

地獄の階層がわかりましたね。

八大地獄の一番上の階層の等活地獄でさえ辛く苦しい場所のようですし、身体がすぐに再生して責め苦を受け続けるというのも想像するだけでも恐ろしいことです。

八寒地獄に関してはどのような罪で堕ちるのか不明ですが、声にならない悲鳴をあげるほどの寒さは経験したくないですよね。

自分が死んだ後にそのような場所に行かなくても良いように、悪いことをせずに、出来る範囲で良いことをして生きていくよう心掛けましょう!

 

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