
歴史の授業で「古事記」と「日本書紀」について勉強したことを覚えていますか?
どちらも歴史書であり、同じ時代に作られたものなので、混同してしまう人も多いかもしれません。
では、どこが違うのか、また共通点はあるのかという疑問が生じるはずです。
今回は、今から1300年も昔に作られた「古事記」と「日本書紀」についてわかりやすく解説します。
古事記とは?
読み方は「こじき」または「ふることふみ」です。
古事記には「古い事を記した書物」という意味があります。
日本最古の歴史書とされ全3巻(上・中・下巻)です。

太安万侶
天武天皇(てんむてんのう・在位673年~686年)の時代、天皇の命により稗田阿礼(ひえだのあれ)は、帝紀(歴代天皇の系譜や事績を記した記録)と旧辞(神話や古い言い伝えを集めた記録)をすべて暗唱できるように徹底的に記憶しました。
天武天皇の死後、稗田阿礼がその膨大な内容を口述し、太安万侶(おおのやすまろ)が筆で書き起こし、整理してまとめたのものが「古事記」です。
712年に元明天皇(在位707年~715年)に献上されました。
上巻は神代(かみよ・神の時代)、中巻と下巻には初代神武天皇から推古天皇までが記されています。
内容は歴代天皇の業績や日本神話、伝説が多く取り入られており、紀伝体(きでんたい・人物や国の逸話を中心に書いたもの)で書かれています。
日本書紀とは?
読み方は「にほんしょき」です。
日本最古の正史(公式歴史書)で、全30巻(天皇家の系図1巻付属)です。

天武天皇
天武天皇(在位673年~686年)の時代、天皇の命により舎人親王(とねりしんのう)を中心とする数人に帝紀と旧辞の整理・確定・記録する作業が命じられました。
天武天皇の死後、それらをまとめ、全30巻(天皇家の系図1巻が付属)の新しい歴史書として完成させたのが「日本書紀」です。
720年に元正天皇(在位715年~724年)に献上されました。
上巻から中巻にかけては神代(かみよ・神の時代)、下巻には持統天皇までが記されています。
内容は歴代天皇の業績や日本神話、伝説が多く取り入れられており、編年体(へんねんたい・出来事を年代順に書かれたもの)で書かれています。
古事記と日本書紀7つの違い
①国内向けと外国向けという違い

古事記は国内向け、日本書紀は国外向けに作られたものといわれています。
当時、日本にはひらがなやカタカナはなく、古事記も日本書紀も漢字で書かれていますが、古事記の編集者である太安万侶は、日本語の音や響きをそのまま読めるように漢字を当て(万葉仮名)、人々の感情や歌を織り交ぜて書きました。
日本書紀は、外国(当時の唐や朝鮮半島)でも通じる純粋な漢文で書かれています。
②目的の違い
古事記は、天皇の正統性を語り、天皇家の歴史を残す目的があったといわれています。
日本書紀は、文字として国家の歴史を残すことで、外国に対して大和朝廷の権威付けを行い、日本という国の正統性を訴える目的があったといわれています。
③日本という国名の表記の違い

古事記では「倭」や「大和」という表記ですが、日本書紀では「日本」と表記されています。
「日本」という言葉は日本書紀で初めて登場したそうです。
④正史(せいし・正しい歴史)かどうかの違い

本居宣長
「古事記」は、神話や伝説が多いため、正史とは扱われていませんでした。
しかし、江戸時代(1603年~1868年)に国学の発展とともに再評価され、本居宣長(もとおりのりなが)が1760年頃から著した全44巻の注釈書「古事記伝」により研究が大きく進みました。
「古事記伝」は古事記研究の古典で、後世に大きな影響を与えています。
それに対し「日本書紀」は、朝廷の公式歴史書とされています。
外国向けに書かれた正史ということもあり、奈良時代~平安時代には大規模な研究が行われていたといわれています。
⑤作者の違い

「古事記」は太安万侶(おおのやすまろ)が稗田阿礼(ひえだのあれ)という語り部の言葉を書き記し、編纂したといわれています。
「日本書紀」は複数の人によって書かれましたが、作者はその中心となった舎人親王(とねりしんのう・天武天皇の子)とされています。
⑥編纂方法の違い
古事記は、人物や国の逸話を中心に書いた「紀伝体」で書かれています。
日本書紀は、出来事を年代順に書いた「編年体」で書かれています。
⑦「記」と「紀」の違い
古事記は「記」、日本書紀は「紀」という漢字が使われています。
古事記の「記」という漢字には、文章などを書き記す(しるす)、書き留めるという意味があり、「記録」や「日記」のように、実際に経験した出来事だけではなく伝説や伝承など聞いた話をそのまま書き残します。
古事記は、神話や伝説のように実際にあったかどうか疑わしいことでも「歴代天皇にはこのような出来事があった」と天皇の正統性を強調するために、出来事や物事をそのまま書き残す「記」という字を当てたのではないかと考えられています。

一方、日本書紀の「紀」という漢字には、筋道をたてて示したもの、ルールという意味があり、「紀行」や「風紀」のように出来事の流れや規則を表す時に用います。
伝説や伝承があれば事実と照らし合わせたり、文献を調べたり調査をするなどして、筋道をたて、順序を追って整理して事実を書き残します。
日本書紀は、出来事の流れが歴史年表のように順序だてて作られているので「紀」という字を当てたのではないかと考えられています。
古事記と日本書紀2つの共通点
①時代が同じ
古事記が成立したのは712年、日本書紀は720年に完成しています。
共に奈良時代(710年~794年)の書物ということになります。
②どちらも漢字で書かれている
どちらも漢字で書かれていますが、古事記は日本人に読みやすいよう、日本語の音や響きをそのままに漢字を当てた万葉仮名で書かれており、日本書紀は外国(当時の唐や朝鮮半島)の人が読めるように漢文で書かれています。

いかがでしたでしょうか?
古事記と日本書紀の違いと共通点を紹介しました。
古事記は日本人向けに伝説や神話を交えながら面白く楽しく読めるように作られたもので、日本書紀は外国向けに正しい歴史を残すために作られたものと考えるとわかりやすいかもしれません。
そのため、古事記と日本書紀の両方を読んだ人の中には「古事記は面白く読みやすかったが、日本書紀は歴史の教科書みたいだった」という意見が多いようですよ。
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