「孔子祭(こうしさい)」というお祭があるのをご存知ですか?
毎年、東京都の湯島聖堂と長崎県の孔子廟で「孔子祭」が開催されるますが、その違いとはなんなのでしょうか?
それぞれの開催日程やどのようなお祭りなのか等について解説します!
孔子(こうし)とは?
それではまず最初にこのお祭りの主人公である孔子についてみていきましょう。
孔子(紀元前552年~紀元前479年)は、中国の思想家、哲学者で儒教(じゅきょう)の始祖です。
儒教とは?
儒教は、孔子の思想に基づく教えのことで「孔子教」と呼ぶこともあり、東アジア各国で2000年以上にわたって大きな影響を与え続けています。
儒教では「五常(ごじょう)または五徳(ごとく)」と「五倫(ごりん)」という教えがあります。
それは「五常(五徳)」である
「仁、義、礼、智、信」
を守れば、「五倫」である
「父子、君臣、夫婦、長幼、朋友」
との関係を維持できるという教えです。
五常(五徳)とは?
五常(五徳)の「仁、義、礼、智、信」の意味は以下の通りです。
五常 (五徳) |
意味 |
仁 | 人を愛し、他者を思いやることをいい、五常の中で最も大切なことで、孔子の教えの基本理念です。 |
義 | 私利私欲にとらわれず、世のため人のために行動すること。 |
礼 | 自分を謙遜し、相手に敬意をはらって接すること、規則を守ること。 |
智 | 偏りのない幅広い知識や知恵を得て、道理をわきまえ、善悪を判断すること。 |
信 | 人を欺かず、人から信頼してもらえるように行動すること。 |
五倫とは?
五倫の「父子、君臣、夫婦、長幼、朋友」とは以下の関係のことです。
五倫 | 関係 |
父子 | 親と子 |
君臣 | 君主と臣下 |
夫婦 | 夫と妻 |
長幼 | 年長者と年少者 |
朋友 | 友達 |
日本に伝わってきた儒教
儒教が日本に伝わったのは、5世紀ごろと考えられています。
継体天皇(けいたいてんのう・第26代天皇)の時代の513年に百済(現在の中国)から五経博士(ごぎょうはかせ・中国の官職のひとつ)が「四書五経(ししょごきょう)」という儒教の経典をともに伝えたといわれています。
「四書(ししょ)」とは、4つの書物のことで、
論語(ろんご)
大学(だいがく)
中庸(ちゅうよう)
孟子(もうし)
をいいます。
「五経(ごきょう・ごけい)」とは、五つの経書(きょうしょ・儒教で尊重される文献の総称)のことで、
易経(えききょう)
書経(しょきょう)
詩経(しきょう)
礼記(らいき)
春秋(しゅんじゅう)
をいいます。
孔子で有名なのは四書五経にもある論語(ろんご)です。
論語は、孔子が亡くなっておよそ300年後に、孔子の教えを弟子たちが書き留めたもので、紀元前5世紀ごろに記され、現在も広く語り継がれています。
関連:論語とは?簡単にわかりやすく解説します!論語の名言一覧
「孔子祭」2025年はいつ?
※下記は2024年の情報です。2025年は分かり次第更新いたします。
東京都湯島聖堂の孔子祭
東京都、湯島聖堂の「孔子祭」は、毎年4月第4日曜日午前10時より開催されます。
2024年は4月28日(日)午前10時からの予定です。
関連:湯島聖堂 伝統行事
長崎県孔子廟の孔子祭
長崎県、孔子廟の「孔子祭」は、毎年9月中旬の土曜日午後に開催されます。
2024年は9月14日(土)午後13時から行われます。
※熱中症対策のため、儀式は縮小して行います。
外部リンク:孔子祭2024のお知らせ
東京都湯島聖堂の「孔子祭」とは?
江戸時代(1603年~1868年)の元禄3年(1690年)に徳川五代将軍綱吉が儒教の振興を図るために創建したことが湯島聖堂の始まりといわれています。
創建の翌年、元禄4年(1691年)に最初の孔子祭が開催され、それ以降毎年、年2回春と秋に行われていましたが、明治維新の際に途絶えてしまいました。
明治40年(1907年)に有志によって復活し、現在に至ります。
湯島聖堂の「孔子祭」は、孔子をはじめとする中国の先聖先師に牛や羊などのいけにえを供えるお祭です。
先聖先師(せんせいせいし)の「先聖」は昔の聖人や賢者のこと、「先師」は聖人や賢者の教えを広めた人のことを指し、先聖先師は尊敬の気持ちを込めた、孔子やその弟子の呼び方です。
現在は牛や羊ではなく、酒や野菜などをお供えし、孔子の教えを称え広く世間にしらしめます。
長崎県孔子廟の「孔子祭」とは?
長崎県孔子廟は、明治26年(1983年)に清国(現在の中国)政府と在日華僑(中国国籍を持ちながら日本に住む中国人)が協力して建てたもので、日本で唯一の本格的中国様式の霊廟です。
霊廟(れいびょう)とは、先祖や偉人などの霊を祭った場所のことで、孔子廟は孔子の霊が祭られています。
長崎孔子廟の「孔子祭」は、孔子の生誕を祝うお祭です。
孔子祭では、牛、豚、山羊が一頭ずつ供えられ、中国の孔子本廟の協力や指導で、祭礼を司る50人ほどの祭官が古式にのっとって儀式を行います。
中国獅子舞の舞いなども奉納され、多くの観覧者で賑わいます。
供えられる牛、豚、山羊は、現在は作り物ですが、昔は本物をお供えしていたそうです。
「孔子」や「孔子祭」のことがわかりましたね。
「論語」は人の生きる道や考え方が記されているので、自分の生き方の参考にする人もいますし、心を惹かれる言葉を座右の銘にする人もいます。
孔子が誕生したのは2500年も前のことなのに、その言葉に惹かれる人がいたり、孔子の誕生を祝い、その功績をたたえるお祭があるというのは、とてもすごいことですよね!
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