お金持ちの人や宝くじで高額当選した人を「億万長者」と言ったりしますよね。
億万長者の「億万」とはいくらで、どれくらいのお金を持っていたら「億万長者」と呼ばれるのでしょうか?
また、英語でなんというのでしょうか?
今回は、億万長者について解説いたします。
億万長者の「億万」とはいくら?
「億万長者」の読み方は「おくまんちょうじゃ」です。
非常に多くの資産を持つ人という意味があり、具体的には1億円以上の財産やお金を持つ人を指すのが一般的です。
非常に大きな数字を表す「億万」と、お金持ち、裕福な人、資産家などを表す「長者」が組み合わせたといわれています。
まず、「億万」については、「億」と「万」に分けることができます。
数字にすると
- 億=100,000,000(1億)
- 万=10,000(1万)
となり、1,000,000,000,000(一兆)ということになりますが、「億万」は一兆という具体的な数字を表すのではなく、非常に多くの・非常に大きな数字という意味です。
「億」も「万」も大きな数字ですが、より大きな数字を表すために二つの大きな単位を重ねているのです。
その由来については後ほど解説します。
長者の由来とは?
長者は、仏教用語が由来です。
サンスクリット語で
- grhapati
- sre hin
という言葉があります。
どちらも家の主人、大商人、商人の頭領、社会的地位のある資産家などを指す言葉で、中国で「長者」という漢字が当てられ、日本にも伝わりました。
長者の「長」は、「優れている」「地位が高い」などの意味があります。
日本では「長者」は、昔から一族の長や一族の代表者、年長者などの意味でも使われており、現在はお金持ち、裕福な人、資産家などの意味で使われています。
億万長者の由来
まず初めに、日本では英語の「millionaire」を訳した「百万長者」という言葉があり、大正時代(1912年~1926年)ごろははお金持ちや資産家などを指す言葉として使われていました。
milionは100万という意味です。
「億万長者」という言葉が最初に登場したのは、昭和10年(1935年)に平原社から出版された「トーキー・シリーズ」の26巻「最後の億万長者」という書籍です。
このことから昭和初期には「億万長者」という言葉が使われていたと考えられています。
「トーキー」とはトーキー映画(音声付き映画)のことで、「トーキー・シリーズ」は主に外国映画のセリフ・脚本とその日本語訳を対訳形式で収録した書籍シリーズです。
第26巻に収められている『最後の億万長者』は、フランスの映画監督ルネ・クレールによる映画『Le dernier milliardaire』(ル・デルニエ・ミリアルデール)の脚本を、日本語訳とともに紹介したものです。
「dernier」は「最後」、「milliardaire(ミリアルデール)」は「10億(milliard)の資産を持つ人」を意味します。
当時のフランスでは「フラン」が通貨単位だったため、「10億フラン以上の資産を持つ人」を意味しました。
この「milliardaire」は日本語に直訳すると「10億長者」や「10億以上の資産を持つ人」となりますが、これを訳すときに「億万長者」という言葉が当てられたとされています。
大正時代のころは「百万長者」でもよかったのですが、時代の流れとともに日本経済が成長したことで、「百万長者」ではお金持ちや資産家などを指すには単位として小さくなり、そこで、より大きな単位の「億」が使われるようになりました。
しかし、「億長者」だと語呂が良くないことや、インパクトを考慮して「億万長者」という言葉が定着したようです。
なお、日本語の「億万長者」は、具体的に10億円以上を持つ人だけを指すのではなく、「非常に裕福な人」「お金持ち」「資産家」という意味で使われています。
英語でなんという?
「億万長者」は英語で「billionaire(ビリオネア)」といいます。
「billion」は、十億のことですから、ビリオネアは10億ドル以上の資産を持つ人を指します。
また、ビリオネアもフランス語の「milliardaire」と同じく、非常に大きな資産を持つ人を表し、日本の経済状況や語呂、インパクトを考慮して「億万長者」に訳したといわれています。
億万長者は、アメリカでは1,000億円以上、日本では1億円以上の資産を持つ人を指すのが一般的です。
このように金額の違いが出るのは、国ごとに経済状況や物価水準が違うからです。
たとえば、アメリカでは平均年収が9万5千ドル(およそ950万円)ほど、日本は460万円ほどです。
また、アメリカは人口の50%以上が投資をしていて資産を増やしたり利益を得たりしていますが、日本は20%程度です。
そのため、アメリカでは100万ドル(1億円)以上を稼ぐ人がとても多くいるのです。
このように、日本とアメリカでは経済状況が違うので「億万長者」の基準となる金額も異なるのです。
日本に億万長者はとれくらいいる?
2025年2月に株式会社野村総合研究所が発表した資料によると、2023年の日本には、純金融資産(じゅんきんゆうしさん)が1億円以上の「億万長者」がおよそ165万世帯あるそうです。
純金融資産とは、金融資産の合計金額から住宅ローンなどの負債を差し引いたものです。
全世帯数は約5,445万世帯なので約3.0%となります。
外部リンク:野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計
また、165万世帯の中でも、5億円以上の「億万長者」はおよそ12万世帯で、全世帯数の約0.2%となります。
日本の億万長者の数は、年々増えているそうです。
億万長者 世界のランキング
世界では、億万長者はbillionaire(10億ドル以上の資産がある)が基準となっています。
国別にどれくらいの人数の億万長者がいるのか、ランキングを確認してみましょう。
■2025年の億万長者の国別ランキング
順位 | 国名 | 人数 |
1位 | アメリカ | 902人 |
2位 | 中国 | 450人 |
3位 | インド | 205人 |
4位 | ドイツ | 171人 |
5位 | ロシア | 140人 |
11位 | 日本 | 42人 |
2025年の「世界億万長者ランキング」のベスト5は以下の通りです。
■2025年の億万長者ランキング
順位 | 氏名 | 国名 | 総資産額 |
1位 | イーロン・マスク (テスラCEO) |
アメリカ | 3420億ドル |
2位 | マーク・ザッカーバーグ (メタCEO) |
アメリカ | 2160億ドル |
3位 | ジェフ・ベゾス (Amazon創業者) |
アメリカ | 2150億ドル |
4位 | ラリー・エリソン (オラクル共同創業者) |
アメリカ | 1920億ドル |
5位 | ベルナール・アルノー(LVMH会長) | フランス | 1780億ドル |
日本人のトップは、ユニクロを展開するファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長である柳井正さんです。
総資産額は451億ドルで、30位でした。
いかがでしたでしょうか?
億万長者の意味がわかりましたね。
日本円では1億円以上で億万長者ですが、世界を見ると1,000億円以上で億万長者というのですから、金額の違いに驚くばかりです。
国によって経済状況や物価水準などが違いますので、お金に対する感覚に違いが出るのも当然なのかもしれませんね。
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