料理の「さしすせそ」という言葉があります。
調味料を入れる順番として覚えているのではないでしょうか。
では、なぜこの順番なのでしょうか?また実は間違いだったともいわれていますが、それはなぜでしょう?
この記事では、料理の「さしすせそ」についてわかりやすく解説いたします。
料理の「さしすせそ」とは?
料理の「さしすせそ」とは、和食を作る時に欠かせない、
- 砂糖(さ)
- 塩(し)
- 酢(す)
- 醤油(せ)
- 味噌(そ)
以上5つの調味料の頭文字で、「さしすせそ」の順番で調味料を入れることで、よりおいしく料理が仕上がるといわれています。
明治時代(1868年~1912年)ごろに使われるようになった言葉といわれていますが、詳細はわかっていません。
料理の「さしすせそ」調味料を入れるのはなぜこの順番?
「さしすせそ」がなぜこの順番なのか、ひとつずつ解説します。
砂糖(さ)
砂糖には以下の役割があります。
- 甘みをつける
- 食材をやわらかくする
- 食材の臭みを消す
- 料理に香りをつける
- 料理の旨味を増し、コクを出す
砂糖を最初に入れるのは、食材に浸透しにくいからです。
また、砂糖は食材をやわらかくしたり、水分を保つ性質があり、味をしみ込ませる働きもあるので、最初に入れるのが良いといわれています。
塩(し)
塩には以下の役割があります。
- 塩味をつける
- 料理の味をひきしめる
- 酸味を和らげる
- 食材の下処理の際、水分を取り除く
- 食材の下処理の際、ぬめりやアクを取り除く
塩は砂糖よりも粒が細かく、食材に浸透しやすいです。
また、食材の水分を出してひきしめる効果があるため、砂糖がしっかり浸透してやわらかくなったあとに入れないと、食材が硬くなってしまいます。
そのため、砂糖の次に塩を入れるのが良いといわれています。
酢(す)
酢には以下の役割があります。
- 酸味をつける
- 風味をつける
- たんぱく質を固める
- 食材の下処理の際、変色を防止します
- 魚の臭みを取る
- 殺菌効果
酢は食材に味が浸透するのを妨げる働きがあるため、砂糖や塩よりも後に入れます。
酢は、独特な香りや酸味があり、料理をさっぱりさせたいときや、塩味を和らげたいときに使う調味料です。
醤油(せ)
醤油は、昔は「せうゆ」や「せいゆ」と書かれていたことから「せ」です。
醤油には以下の役割があります。
- 料理の色付け
- 料理の香り付け
- 甘味、塩味、旨味などに深みを与える
- 食材の臭みを抑える
- 食材の保存性を高める
醤油は、香りを生かすために料理の後半に使います。
食材に醤油の味をしみ込ませる場合は、半分ほどを入れて煮込み、仕上げに残り半分を加えると良いようです。
味噌(そ)
頭文字は「み」ですが、二文字目から「そ」です。
二文字目の理由は以下のように諸説あります。
・さ行の最後の文字が「そ」なので、「みそ」の最後の文字を使ったという説
・「噌(そ)」という漢字だけで「味噌」という意味になるからという説
・頭文字だと「さしすせそ」に入らならないから「そ」にしたという説 など
味噌には以下の役割があります。
- 味にコクを出す
- 塩味と旨味を付ける
- 香りを付ける
- 味付けをまろやかに整える
- 食材の保存性を高める
- 臭みを取る
味噌を最後に入れるのは、加熱しすぎると味噌の香りや風味が損なわれるからです。
加熱しすぎないように、火を消してから味噌を入れて仕上げたり、仕上げに味噌を入れひと煮立ちしたらすぐに火を止めるようにします。
料理の「さしすせそ」を守らないとどうなる?
料理の「さしすせそ」は、和食を作る時の基本です。
しかし、順番を守らないからと言って味付けに失敗したり、料理がダメになるわけではありません。
「さしすせそ」の順番を守ると「よりおいしく仕上がる」のです。
また、調理方法によっては順番が入れ替わることもありますし、味見をした後にすでに入れている調味料を追加することもあります。
必ずしも「さしすせそ」の順番を守らなければならないわけではありません。
料理の「さしすせそ」に入らなかった調味料とその理由
料理の「さしすせそ」のほかに料理には欠かせない調味料が、「酒」と「みりん」です。
「さしすせそ」に入らなかったのはなぜなのでしょう?
理由は以下のように諸説あります。
・もともと「さ」は酒だったが、いつの間にか砂糖に変わっていた。
・酒は調味料ではなく、アルコール飲料だから。
・みりんは「さしすせそ」の一文字も入っていないから
・酒とみりんはどちらもアルコールが入っているので、誰もが食べられるものではないから。
酒には以下の役割があります。
- 香りを付ける
- 料理の旨味を増す
- コクを出す
- 臭みを消す
- 味が浸透しやすくする
酒を入れるタイミングは、アルコールを飛ばすために砂糖より前か、砂糖と同じタイミングです。
みりんには以下の役割があります。
- 甘みを付ける
- 旨味を増す
- コクを出す
- 照りやツヤを出す
- 臭みを消す
みりんは「本みりん」と「みりん風調味料」があり、アルコールの含有量で呼び名が異なります。
本みりんは、アルコール度数が13%~14%で、酒税法では酒類に分類されます。
みりん風調味料は、アルコール度数が1%以下で、酒税法の対象外です。
本みりんは、アルコールを飛ばすために砂糖より前か、砂糖と同じタイミングで入れます。
みりん風調味料は、味噌よりも後に入れて料理の仕上げに使います。
実は間違いだった
ここまで説明したように、料理の「さしすせそ」とは、砂糖、塩、酢、醤油、味噌です。
しかし、間違えて覚えている人や勘違いしている人も多いのが、以下のものです。
さ=酒
し=醤油
そ=ソース
酒は和食に欠かせない調味料ですし、もともと「さ」は酒だったという説もあります。
醤油は、今は「しょうゆ」と読み書きするので、「せ」と結びつきません。
ソースを使う和食もありますが、料理の「さしすせそ」という言葉が生まれたころにソースはまだありませんでした。
これらの理由から、間違えてしまうのですね。
しかし、正しくは砂糖、塩、酢、醤油、味噌です。
これを機会に正しい調味料を覚えると良いですね。
いかがでしたでしょうか?
料理の「さしすせそ」はきちんとした理由があってこの順番なのですね。
料理の専門学校や、お料理教室などでも、和食の基本として教えているそうです。
順番を気にせず料理をしていた方は、ぜひ「さしすせそ」の順番で調味料を入れてみてください。
それまでよりも美味しい料理に仕上がりますよ。
関連:7月25日は味の素の日!うま味の意味とは?旨味がわかるのは日本人だけ?
関連:【おせち料理の種類と意味一覧】おせち料理の歴史と由来!どんな願いが込められているの?
コメント