「青春」という言葉を聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
甘酸っぱい思い出、汗や土埃の匂い、友情、好きなことに思いきり打ち込める時間…など、人によってさまざまなイメージがあると思います。
若い人はなんだか気恥ずかしい感じがして、中年以降の方は懐かしく思うのではないでしょうか?
また、青春に関連する言葉で、「朱夏」「白秋」「玄冬」というものがあります。
青春を取り扱った歌やエピソードは数多くありますが、朱夏・白秋・玄冬という言葉はあまり聞いたことがないですね。
今回は青春・朱夏・白秋・玄冬の意味や時期についてわかりやすく解説します。
青春・朱夏・白秋・玄冬の意味と時期とは?
青春・朱夏・白秋・玄冬。
これらは全て季節と陰陽五行説における色合いを組み合わせたものです。
陰陽五行説(五行思想)とは、中国の戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)に生まれた自然哲学の思想です。
すべての物は木・火・土・金・水の五つの元素(五行)から成り、それらが互いに影響を与え合い、力関係が変わることによって世界中の物事が変化していくという考え方です。
四季の変化も五行のパワーバランスが移り変わっていくことで起こると考えられ、また季節だけでなく、方角や色、感情など、あらゆるものに五行が当てはめられています。
五行 | 水 | 木 | 火 | 土 | 金 |
季節 | 冬 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 |
方角 | 北 | 東 | 南 | 中央 | 西 |
色 | 黒 | 青(緑) | 赤(朱) | 黄 | 白 |
根本感情 | 恐 | 怒 | 喜 | 思 | 悲 |
崇高感情 | 智慧 | 同情心 | 愛情 | 共感 | 敬意 |
例えば、木・火・土・金・水のうちの「木」であれば、季節は春、方角は東、色は青などを表します。
このうち、四季と色を組み合わせたことから、青春・朱夏・白秋・玄冬という言葉が生まれました。これら四つの言葉は、もともとは季節を表すものでしたが、現代では『人生の時期』を表す言葉となっています。
それでは、それぞれの意味と時期をひとつずつ解説していきましょう!
青春の意味とは?
読み方は「せいしゅん」です。
草木が生い茂る様子から、春には青(緑)の色が充てられています。若々しい新緑が生い茂るイメージですね。
また、活力に満ちて夢や希望に満ちた様子を「人生の春」に例えて、青年時代を指します。
熟していく前の、未熟さを意味する言葉でもあります。青二才、青臭いなどの表現も、若者に対して向けられますね。
青春の時期はいつからいつまで?
「青春」は、少年期~青年期手前の 13歳~20代前半頃を指します。
年齢については、14~16歳から始まったり30歳頃までを含めたりとする説もあり、厳密な定義はないようです。
孔子の『論語』では、「学を志す」時期だと言われています。
余談ですが、JRみどりの窓口発売の『青春18きっぷ』(5日間限り普通・快速電車乗り放題)は、年齢に関わらずどなたでも購入することができます。
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朱夏の意味とは?
朱夏の読み方は「しゅか」です。
夏の燃えるような太陽の暑さが、朱(赤)い色に例えられています。
また、人生の真っ盛りという意味合いから、壮年時代を指します。
燃え盛る勢いに満ちた熱い時代ということですね。
朱夏の時期はいつからいつまで?
30代前半~50代前半頃を指します。
子育てや社会上の責任が一番重くのし掛かる、最も忙しく大変な時期だと言われます。
家庭を持つ持たないという選択をしたり職業上独立したりと、変化の激しい年代でもあります。
同窓会などで古くからの仲間と集まった時に、一番生活環境がバラバラになるのが、朱夏の時代です。
『論語』では、前半に「身を立て」、「惑わなくなる」時期であり、後半には「天命を知る」時期だと言われます。
白秋の意味とは?
白秋の読み方は「はくしゅう」です。
枯葉の舞い落ちる秋の物哀しげな様子が、白い色に例えられています。
「白」と聞いて我々がイメージする白色よりも、本来は無色透明のイメージだったようです。
落ち着いた様子や深みを感じさせる、人生の中年時代を指す言葉でもあります。
『からたちの花』や『待ちぼうけ』『雨ふり』などの作品で知られる詩人の北原白秋は、本名を北原隆吉といいます。
どこか寂しげな秋の雰囲気を好んで、「白秋」をペンネームにしたかと思いきや、名前の決め方は意外にもくじ引きでした。
同人誌を刊行するにあたって、仲間内で全員が「白+○」「白+●」「白+△」というような名前をつけようとしたところ、「秋」の文字が当たったとのことです。
白秋の時期はいつからいつまで?
50代前半~60代前半を指します。
50代後半~60代後半とする説もあります。
いろいろと経験を積み、功績を次の世代へと託していく時期です。
盛りの過ぎた、落ち着きを見せ始まる年頃ということですね。
『論語』では、「人の言葉を素直に聞けるようになる」時期とのことです。
玄冬の意味とは?
玄冬の読みかたは「げんとう」です。
冬になると、日が暮れるのが早く、気付けば真っ暗になっていますよね。
冬という季節には、玄(黒)い色が対応しています。
『玄』という字には、黒という以外にも、天や万物の根源となる道を表す意味が含まれています。
素人(しろうと)の反対語として、玄人(くろうと)がありますが、熟練した様子を見せる職人技が、「玄」という字に表されているのですね。
玄冬の時期はいつからいつまで?
60代前半以降を指します。
人生の最後の時期と言われており、物事を完成させる時期とも言われます。
『論語』では、「思うままにふるまっていても道を外れない」時期とされています。
また、生まれたての幼少期は未来の見えない混沌とした時期であり、暗闇(玄冬)であるとする説もあります。
季節が巡るように、人間の一生も、玄冬→青春→朱夏→白秋→(再び)玄冬、と移り変わっていくのですね。
いかがでしたか?現代日本では特に平均寿命が延びているため、60代を過ぎても、現役バリバリでお仕事をされている元気な方々もいらっしゃいますし、昔の基準とは少し異なるかもしれません。
また、少子化から選挙権は18歳まで引き下がったものの、精神的な成熟度では30歳で「やっと一人前」とする見方もあります。
縄文時代には20代ともなれば「晩年」といわれていたそうですから、年齢の価値観は時代によっても大きく左右されそうです。
あなたの思う自分自身の『人生の時期』は、青春・朱夏・白秋・玄冬のうちのどれに該当しましたか?
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