
書類などに押す「捨印」というものがあります。
「捨印」とはどのような意味があって、なんのために押すのでしょう?
押さなくてもいいのでしょうか?
今回は「捨印」についてわかりやすく解説します。
捨印の意味とは?
読み方は「すていん」です。
契約書や申込書などの書類を作成する際、将来の誤りを訂正するときに備えて余白部分にあらかじめ押しておく印鑑(いんかん)のことです。
※詳細は後ほど解説します。
印鑑とは、紙や書類に残る文字や絵のことです。
関連:印鑑とはんこ、実印と認印と三文判、捺印と押印の違いとは?
「捨印」はどこに押す?
捨印は、書類の余白部分に押します。
具体的な場所は書類によって異なりますが、書類の上部や左右の余白に一カ所押すのが一般的です。
書類によっては捨印を押す欄が設けられている場合もあります。

書類が2枚以上ある場合は、すべての書類の余白の一カ所に捨印を押しておきます。
捨印を押す場所は、1枚目が右上の余白なら2枚目以降も同じ場所に押して統一します。
捨印を押すときに、かすれたり、にじんだりなど失敗した場合は、失敗した捨印の横に新しく押します。
「捨印」は何のために押す?
本来であれば、書類に誤りがあった場合、本人が訂正印を押して修正をします。
しかし、書類を相手に渡して手を離れていたあとは、本人が訂正印を押すことできません。
そのような場合に、余白部分にあらかじめ押していた捨印を利用して、相手が訂正することができます。
捨印を利用すれば、訂正のために訪問したり、郵送で書類をやり取りしたりという手間を省くことができるというわけです。
ただし、どのような誤りにでも使えるわけではなく、些細な誤字脱字や軽微な誤りに限ります。
具体的には、
- 誤字脱字があった
- 生年月日の日付を間違えた
- 人数や番地など数字を間違えた
- 住所を間違えた
- 氏名を間違えた
などです。
また、捨印が利用できる書類は以下のとおりです。
●住民票の請求書や婚姻届など、公的機関への提出書類
●不動産売買や賃貸借など、契約書類
●ローン申込書や銀行の口座開設申込書(ゆうちょ銀行を除く)など、金融機関関連の書類 など
※銀行の口座開設申込書について
一般的な銀行では、口座開設や融資契約などの書類では、捨印で訂正可能です。
しかし、ゆうちょ銀行では捨印の制度がなく、誤字脱字などがあった場合は、本人が窓口で訂正印を押して修正します。
※具体的な訂正方法は後ほどご紹介します。
また、捨印は契約の本質的な部分や、重要な事項の訂正に使うことはありません。
たとえば、
- 契約期間の日付
- 契約に関する金額
などです。
このような場合は当事者同士で確認をし、合意した上で訂正印を押して正しく書き直します。
捨印に使うはんこの種類は?
先ほど説明したとおり、紙や書類に残した文字や絵を「印鑑」といいますが、印鑑を押すための本体を「はんこ」といいます。

はんこは、個人や組織(会社)を証明する印のことで、切り口は円形、楕円形、角型などさまざまです。
捨印に使うはんこは、その書類の氏名欄のところに押しているものと同じはんこを使います。
氏名欄に実印(じついん)を使ったのなら、捨印も実印です。
認印(みとめいん)の場合も同様です。
認印としてシャチハタを使うこともありますが、シャチハタはインクが経年劣化する可能性があるので、法的効力がある書類や重要な書類などでは使えません。
実印とは、市区町村の役所で印鑑登録した印鑑のことです。
認印とは、実印以外の印鑑のことです。
関連:印鑑とはんこ、実印と認印と三文判、捺印と押印の違いとは?
捨印を押さなくてもいい?押さないとどうなる?
捨印は法律で義務付けられているものではないので、押さなくても良く、必ずしも必要なものではありません。
本人の承諾を得ずに捨印を使って書類を改ざんするなどのリスクもあるため、信頼できない相手の場合は押さなくても良いです。
書類に捨印を押す欄があっても、拒否することができます。
押さない場合、もしも書類に軽微な誤字脱字などが見つかった場合、訂正のために訪問したり、郵送してもらって訂正するなど、時間と手間がかかりますが、本人が確認をして訂正をすることができます。
捨印の訂正方法は?
訂正が一カ所のみの場合
●誤りがある場所に二重線を引いて削除
●二重線の近くに正しい内容を書く
●捨印の近くに、二重線で消した文字数と、加入した文字数を書く
加入とは、文字や文言を書き加えた・追加した・追記した、などの意味があります。
具体的には、二重線の近くに正しい内容を書くということです。
たとえば、
二重線を引いたのが5文字で、加入したのが6文字の場合は捨印の近くに以下のように書きます。

書き方はいくつかあります。
- 5字削除、6字加入
- 削除5字、加入6文字
- 5消、6加
- 消5、加6
- 5文字削除、6文字加筆
- 削除5文字、追加6文字
など
書き方はどれでも良く、加入、加筆、追加もどれを使っても良いです。
ただし、同じ書類の中で書き方を統一しましょう。
複数個所の訂正が必要な場合
●誤りがある場所に二重線を引いて複数箇所全て削除
●それぞれの二重線の近くに正しい内容を書く
●捨印の近くに、二重線で消した文字数と、加入した文字数の合計を書く
たとえば、訂正をしたのが二カ所の場合、
- 一カ所目は二重線を引いたのが5文字で、加入したのが6文字
- 二カ所目は二重線を引いたのが3文字で、加入したのが5文字
であれば、以下のように捨印の近くに合計した文字数を書きます。
- 8字削除、11字加入
- 削除8字、加入11文字
- 8消、11加
- 消8、加11
- 8文字削除、11文字加筆
- 削除8文字、追加11文字
など

「捨印」がどのようなものかわかりましたね。
捨印があることで、軽微な誤りがあった際にスムーズに訂正することができますが、本人の確認を得ずに行われるため、改ざんされるリスクもあるということになります。
そのため、捨印が必要な書類などに記入する際には、信頼できる相手なのかどうかも考慮したほうが良いようです。
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