年が明けると「十日戎」がニュースなどで取り上げられます。
「十日戎」といえば、兵庫県西宮神社で行われる「福男」を決めるイベントを思い出す人も多いのではないでしょうか?
「福男」を決めるために大勢の人が全力疾走してゴールを目指すイベントは、毎年テレビで取り上げられ話題になりますよね。
今回は十日戎がどのような行事なのかわかりやすく解説します。
十日戎とは?
十日戎の読み方は「とおかえびす」です。
「十日」は日付の10日を表し、 十日戎とは1月10日および、その前後の9日、11日に行われるえびす神社のお祭りのことです。
1月10日を「本えびす」
1月9日を「宵(よい)えびす」
1月11日を「残りえびす」
といいます。
「戎(えびす)」とは七福神の恵比寿様のことです。
七福神は、福の神として信仰される以下の七柱(はしら・神様は1柱、2柱と数えます)の神様のことです。
●大黒天(だいこくてん)
●毘沙門天(びしゃもんてん)
●弁財天(べんざいてん)
●福禄寿(ふくろくじゅ)
●寿老人(じゅろうじん)
●布袋(ほてい)
●恵比寿(えびす)
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恵比寿様は、右手に釣竿を持ち、左手には大きな鯛を持っていて七福神の中で唯一、日本の土着の神様です。
日本神話のイザナミ(女神)とイザナギ(男神)の間に生まれた子供とされ、大漁追福(たいりょうついふく)や商売繁盛、五穀豊穣をもたらす神様です。
漁業、商業、農業の神様として信仰され、知恵を働かせて体に汗を流して働けば、恵比寿さまが福を授けてくださると考えられています。
恵比寿様は関西地方では「えべっさん」と呼ばれ親しまれており、十日戎も関西地方でさかんに行われています。
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十日戎の由来とは?
十日戎の由来は諸説あります。
「御狩神事(みかがりしんじ)」を由来とする説
兵庫県西宮市の西宮神社は、えびす様をご祭神(ごさいじん・祀られている神様)とする「えびす神社」の総本社ですが、もともと「御狩神事(みかがりしんじ)」という神事が行われていたそうです。
御狩神事の詳細については不明ですが、年の初めにその年の五穀豊穣や商売繁盛を占うお祭りだったようです。
その御狩神事がいつしか「十日戎」になったという説があります。
恵比寿様が生まれた日にあやかっているとする説
京都の京都ゑびす神社では、恵比寿様が1月10日に生まれたといわれているそうです。
それにあやかって「十日戎」となったという説があります。
豊臣秀吉の御神像を隠して祀ったのが始まりという説
滋賀県の豊国神社では、長浜町を築いた豊臣秀吉を神として祀っていましたが、大阪の陣で徳川家康が豊臣氏を滅ぼした後、取り壊されてしまいました。
その後、長浜町の人々は豊臣秀吉の御神像(ごしんぞう・豊臣秀吉を神格化し、彫刻や絵で表したもの)を各家庭で隠して祀っていましたが、カムフラージュとして、彦根藩に「恵比寿様をお祀りするため」と言って「えびす宮」を建てる許可をもらいました。
そして、えびす宮の裏側に豊臣秀吉の御神像を隠して祀ったのが十日戎の始まりといわれています。
笹を飾る意味とは?
十日戎で売られている笹は「福笹(ふくざさ)」といいます。
福笹は恵比寿様が持っている釣り竿を見立てているといわれ、 福笹を飾ることで商売繁盛にご利益があるといわれています。
笹の大元は竹ですが、竹は真冬でも青々とした葉をつけ、まっすぐに伸びている姿から生命力が強く神秘的なものと考えられていました。
また、真冬の厳しい風雪にも耐えられるということで、商売をするうえで訪れる苦難や逆境に耐えることができる象徴とされ、商売繁盛の縁起物となっています。
福笹に「吉兆(きっちょう)」または「小宝(子宝)」と呼ばれる米俵や小判、鯛などを模した縁起物を付けて家に持ち帰って飾ると福を授かると言われています。
十日戎では「商売繁盛で笹もってこい!」という掛け声をかけます。
これは「笹を持ってきたら商売繁盛させてやるよ」という意味と「商売繁盛したら来年も笹を持ってきてね」という意味があるそうです。
「笹を持ってきたら」という言葉が不思議な気がしませんか?
これは、昔は自分で笹を持っていっていたことの名残だといわれています。
自分で笹を持っていけば、その笹に「吉兆・小宝(子宝)」を付けてくれていたそうです。
熊手を飾る意味とは?
十日戎では、福笹のほかに「熊手(くまで)」も縁起物として売られています。
熊手は、農作業や掃除のときの道具で、 ものを掃き集めることから「福や金運を掃き込む」「福や金運を集める」として招福の縁起物となっています。
その他、縁起物には「福箕(ふくみの)」があります。
福箕には熊手でかき集めた福や金運をすくい取る意味があるそうです。
ですから、「熊手」「福箕」を一年おきに買うといいともいわれています。
福笹や熊手、福箕の値段は1,000円~数十万円と幅広いです。
神社によっては笹は無料だけれど吉兆が有料というところもあります。
吉兆・小宝(子宝)1つは1500円~2000円のものが多いです。
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福笹や熊手、福箕の飾り方は?
福笹や熊手、福箕は、神社でいただくお札と同じように、ご家庭に神棚があれば神棚へ飾ります。
神棚が無い場合は、家庭内で最も清潔で、大人の目線より高いところに飾ります。
方角は日の出の方向である「東向き」か、太陽が通過する「南向き」に飾ります。
東側、南側に飾るのではなく、東または南に向くように飾るということです。
南に向けるのなら北側に、東に向けるのなら西側に飾ることになりますね。
熊笹の処分はどうするの?
福笹、熊手、福箕は、一年を目安に購入した神社に返納するようにしましょう。
購入した神社へ行くことが難しいようでしたら、自宅近くの神社に返納します。
十日戎に毎年訪れて、古い福笹や熊手、福箕はお返しし、新しいものを購入して自宅に飾り、また一年経ったら神社へ・・・と繰り返すと良いようです。
どうしても神社へ行くことが出来ない場合は、お清めの塩と一緒に新聞紙などに包んで、お住いの地域のゴミ分別に従って処分しましょう。
十日戎は日本各地で行われていますが、特に、関西地方で盛んのようです。
恵比須様が商売繁盛の神様ですから、商売人の多かった関西で昔から盛り上がっていたのでしょうね。
兵庫県西宮神社で行われる「福男」を決めるイベントは正式には「開門神事福男選び」といわれています。
「男」という字が使われていますが女性でも参加できますよ。
女性が優勝した場合は「福女」と呼ばれるそうです。
福男や福女になったら縁起が良いですし、副賞としてお米やお酒、えべっさんの木像などが頂けるそうですよ。
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