「嘘八百」という言葉を見聞きしたとき、「なぜ八百なのだろう?」と疑問を抱いたことはありませんか?
嘘八百の意味や由来、語源、なぜ八百なのかなどわかりやすく解説いたします。
合わせて、嘘八百の使い方の例文もご紹介します。
嘘八百の意味は?
読み方は「うそはっぴゃく」です。
意味は以下のとおりです。
・噓だらけであること
・何もかもが嘘であること
・全くの嘘
・全くのでたらめ
・たくさんの嘘
・あれこれと嘘を並べたてて言うこと
「嘘八百」は、慣用句です。
慣用句についての詳細は以下をご覧ください。
嘘八百の由来、語源とは?なぜ八百?
「嘘八百」は、「嘘」と「八百(はっぴゃく)」を組み合わせた言葉です。
「八百」は、具体的な800という数字ではなく、「たくさん・数が多いこと」を意味します。
「嘘八百」の由来や語源については諸説あります。
「八」にはもともと「たくさん・数が多い」という意味があります。
そして「十」「百」「千」「万」などを付けて数の多さを誇張する表現になったようです。
たとえば仏教では、煩悩(ぼんのう)のために受けるたくさんの苦しみを地獄に例えた「八万地獄(はちまんじごく)」または「八万奈落(はちまんならく)」という言葉があります。
また、非常に数が多いことや無限を表す「八万四千(はちまんしせん)」や「八億四千(はちおくしせん)」という言葉もあります。
古事記(こじき)や日本書紀(日本書紀)では、たくさんの神々を表す「八十神(やそがみ)」という言葉があります。
また、たくさんの、非常に多くの、無数の、などの意味がある「八百万(やおよろず)」を使った「八百万の神々」は、数えきれないほど多くの神様を表します。
須佐之男命(すさのおのみこと)が詠んだ日本最古の和歌にも「八」が用いられています。
『八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を』
(やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
「何重にも重なりあう雲が立ち昇る ここ出雲の地に立ち昇る八重垣のような雲だ 妻との新居にも八重垣を作っているよ そう八重垣を」という意味です。
八重垣とは、何重にも巡らせた垣根(かきね)のことです。
垣根とは、敷地を限るために設ける囲いや仕切りのことです。
この和歌の中で「八」は具体的な数字ではなく「何重にも」や「幾重にも」というふうに数が多いことを表しています。
江戸時代(1603年~1868年)には、
江戸に町がたくさんあることを表す「八百八町(はっぴゃくやちょう)」
大阪に橋がたくさんあることを表す「八百八橋(はっぴゃくやばし)」
京都にお寺がたくさんあることを表す「八百八寺(はっぴゃくやでら)」
などの表現がありました。
また、「八百屋(やおや)」は、野菜や果物を販売するお店のことですが、江戸時代のころは野菜や果物だけではなく海藻や乾物などたくさんの食材を取り扱っていたことから、数が多いことを表す「八百」を当てて「八百屋」と呼ぶようになったといわれています。
このように、「たくさん・数が多い」ことを表すために「八」を用いた言葉が多くあるのですね。
「嘘八百」の使い方の例文
「嘘八百」の使い方の例文をご紹介します。
・彼女の気を惹くために嘘八百並べてしまって後悔している。
・この芸能雑誌は噓八百ばっかりだから信用できない。
・嘘八百を並べ立ててその場を切り抜けた。
・嘘八百だと気づかず騙されるところだった。
・彼の武勇伝は嘘八百らしいよ。
・あの人の言うことは嘘八百だよ。
・そんな嘘八百は通用しないよ。
嘘八百は英語でなんという?
「嘘八百」と同じ意味の英語はいくつかあります。
・ pack of lies(嘘八百、嘘の塊)
・whole bunch of lies(嘘だらけ、たくさんの嘘)
・The whole thing is a pack of lies(すべては嘘の塊だ、なにからなにまで嘘だ)
・He told a pack of lies(彼はたくさんの嘘をついた)
「噓八百」の「八百」は、具体的な数字ではなく数が多いことを表すための「八」と「百」が組み合わされていることがわかりましたね。
「嘘八百」は数えることができないほどの多くの嘘を表す言葉ですから、使う場面にはあまり遭遇したくないですね!
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