長野県といえば松本城や善光寺、諏訪湖、上高地などたくさんの観光地がありますね。
そして、長野県の食べ物といえば「信州そば」でしょう。
ではなぜ長野県は「信州」と呼ばれるのでしょうか?
また、「信州」の範囲はどこからどこまでなのでしょうか?
今回は「信州」と「信州そば」が有名な理由についてわかりやすく解説します。
長野県はなぜ「信州」なの?
「信州」の読み方は「しんしゅう」です。
「信州」とは「信濃国(しなののくに)」の別称です。
信濃国が信州と呼ばれるようになったのは鎌倉時代(1185年~1333年)ごろと考えられています。
「州」という漢字は「国」と同じ意味をもちました。
そして、「信濃国」を略して「信州」と呼ぶようになったようです。
信州のほかにも
地名 | 州 |
甲斐国 (かいのくに) |
甲州 (こうしゅう) |
薩摩国 (さつまのくに) |
薩州 (さっしゅう) |
武蔵国 (むさしのくに) |
武州 (ぶしゅう) |
など多くの地名が「〇州」と呼ばれていますよね。
律令制と信濃国
「信濃国」は日本の律令制に基づいた呼び方です。
律令制とは、「律(刑法)」と「令(主に行政法。その他民事法などのこと)」を基本法とする中央集権制度のことです。
飛鳥時代(592年~710年)から明治時代(1868年~1912年)初期まで用いられていました。
そして、律令制に基づいて設置された日本の地方行政区分を
「律令国(りつりょうこく)」または「令制国(りょうせいこく)」
といい、
「五畿七道(ごきしちどう)」に分けられていました。
五畿七道とは、日本を大きく5つの国と7つの地域に分けたものです。
五畿とは、都(みやこ・現在の京都)に近い
●山城国(やましろのくに)
●大和国(やまとのくに)
●河内国(かわちのくに)
●和泉国(いずみのくに)
●摂津国(せっつのくに)
の5つの国のことで、五畿がある地域を畿内といいます。
七道はそれ以外の地域を指し
●東海道(とうかいどう)
●東山道(とうざんどう)
●北陸道(ほくりくどう)
●山陰道(さんいんどう)
●山陽道(さんようどう)
●南海道(なんかいどう)
●西海道(せいかいどう)
の地域のことでことで、それぞれの「道」には多くの「国」がありました。
例えば「東山道」には
「近江国(おうみのくに)」
「飛騨国(ひだのくに)」
「美濃国(みののくに)」
などがありました。
「信濃国(しなののくに)」は東山道に属しています。
信濃の由来とは?
「信濃」という名前の由来は諸説あります。
科の木(しなのき)が由来という説
長野県には科の木(しなのき・日本特産の落葉高木で長野市の市木)」が多く自生していたので「しなの」と呼ぶようになったという説があります。
土地の形状が由来という説
古事記(こじき・712年)では、長野県のあたりは「科野国(しなののくに)」と書かれています。
「科」という漢字は「くぼんだ場所」という意味があり、山に囲まれた土地の形状から「科野」と書いて「しなの」と呼ぶようになったという説があります。
そして「好字二字化令(こうじにじかれい・713年)によって、「信野国」になりさらに「信濃国」へと変わりました。
「好字二字化令」とは、「国や郷(さと)などの地名を縁起の良い漢字2文字にする」というきまりのことです。
級長津彦命(しなつひこのみこと)が由来という説
級長津彦命は日本神話に登場する風の神様です。
「志那都比古神」や「志那都彦神」とも書き、「しな」という言葉には「長い息」という意味があるそうです。
古来より「風は神様の息によって起こる」と信じられており、風は稲作に欠かせない大事なものなので、級長津彦命(しなつひこのみこと)の名前「しな」を地名「しなの」の由来にしたという説があります。
「信州」の範囲はどこまで?
「信州」は、厳密には長野県全域と、岐阜県中津川市の一部のことですが、一般的には長野県全域を指します。
信州そばが有名な理由
信州といえば「信州そば」がとても有名ですよね。
長野県の「戸隠(とがくし)そば」は、
そのおいしさから、
島根県の「出雲そば」
岩手県の「わんこそば」
と並び、日本三大そばのひとつに数えられています。
また、昔は、そば粉を水やお湯で溶いて茹でた「そばがき」が一般的な食べ方でしたが、江戸時代になり、そば粉の生地を麺状に切って食べる「そば切り」が信州で誕生したといわれています。
そのため、長野県は「そば切り発祥の地」としても有名です。
さらに、一人当たりのそば店舗数も長野県が日本一です。
それでは長野県のそばはなぜそんなにおいしいのでしょうか?
良質でおいしいそばがとれる地域には次の3つの条件が当てはまるそうです。
①寒暖差があり、気温が高くなり過ぎない
③湿度が低い
②霧が発生する
長野県の気候は、海から遠く隔てられた内陸性気候で、高山と盆地で形成された地形によって昼と夜で寒暖差があり、日中の気温が高くなり過ぎず、湿度も低いそうです。
また、朝霧が発生するため、霧が霜の発生を抑えることで霜に弱いそばを守るので、そばづくりに非常に適した環境なのです。
いかがでしたでしょうか?
長野県がなぜ「信州」と呼ばれるのかわかりましたね。
日本全域に昔の呼び方がありますが、長野県はほかの地域に比べると昔の呼び方である「信州」を好んで使っています。
「信州そば」はもちろんですが「信州大学」もありますし、「信州銘菓」や「信州名物」という言葉もよく見聞きします。
長野県のみなさんにとって「信州」という地名は、とても愛着がある大切なものなのでしょうね。
関連:【当時の姿のまま残る】現存天守12城と国宝5城はどこ?
関連:【日本三大!】花火、夜景、祭り、温泉、うどん、庭園、がっかり、桜、滝など
関連:そばの種類とは?更科、田舎、藪、砂場、十割、二八の意味って何?
コメント