
あやとりは、たった一本の紐を輪にするだけですぐに始められる日本の伝統的な遊びです。ひとりで遊ぶこともできますし、お友達と遊ぶこともできますよね。
そんなあやとりにはどんな起源や歴史があるのかご存じでしょうか?
あやとりの技にはいろいろなものがありますので、技を一覧にしてみました。
最も人気のある「はしご」の技は一体何段まであるのでしょうか?
今回はあやとりについてわかりやすく解説いたします。
あやとりとは?
漢字で「綾取り」と書きます。

「あやとり」は、
紐が✗(バツ)のように交差した形を意味する「あや(綾、文)」
紐を輪にして交差した部分を二人で取り上げながら遊んだことから「とり(取り)」
が由来という説が有力です。
「あやとり」は主に東日本での呼び方です。
西日本では「いととり」と呼びます。
他に、
- ひもとり
- たすきどり
- ちどり
- かがりとり
- てかけ
- かなとり
など、地域によっていろいろな呼び方があります。

あやとりは、毛糸などの柔らかい紐の両端を結んでひとつの輪にし、主に両手の指に紐をひっかけたりはずしたりして、特定の形や美しい模様を作っていく遊びです。
日本では、一人で遊ぶあやとりと、二人で遊ぶあやとりが主流です。
あやとりの起源と歴史とは?
あやとりの起源ははっきりとしていません。
日本の伝統的な遊びではありますが、実は世界中で昔からある遊びです。
日本のほかにも、アジア、オーストラリア、アフリカ、ヨーロッパ、太平洋諸島、西インド諸島など世界各地であやとりが行われていることがわかっており、世界各地で自然と発生したと考えられています。
外国では大人数で遊んだり、足や口を使って遊ぶあやとりもあり、国や地域によっては文字が発達する以前に記録や意志の疎通などを目的にあやとりが使われていたといわれています。
ちなみに英語では「Cat’s cradle(猫のゆりかご)」であり、その形状が猫のゆりかごに似ていることが由来と考えられています。

日本のあやとりがいつどのような目的で始まったのかなど、詳細については不明ですが、江戸時代(1603年~1868年)の浮世絵師西川祐信(にしかわすけのぶ・1671年~1750年)が「絵本大和童(えほんやまとわらべ・1724年)」の中でふたりの女の子があやとりをしている様子を描いているのが最も古い記録です。
また、江戸時代の書物にもあやとりらしき記述があり、ふたりで遊ぶ「ふたりあやとり」が主流だったようです。
ひとりで遊ぶ「ひとりあやとり」は、明治時代(1868年~1912年)以降に広まったといわれています。
あやとりの技一覧!
初心者にもできる簡単な技、定番の技、難しい技など、有名なものをご紹介します。
同じ名前の技でもやり方が複数存在するものもありますので、代表的なものをご紹介します。
一人で遊ぶあやとりの技
ほうき
- 左手の親指と小指に紐をかける
- 左手の手の平にある紐を右手で引っ張る
- もう一度右手で同じところを引っ張る
- 大きい穴の下から右手をいれる
- 小指の外側にかかっている紐と親指にかかっている紐2本をつまみ引っ張る
- 薬指中指人差し指をそれぞれ紐の隙間にいれる
- 右手でもっている紐を左手の甲の方へ垂らす
- 左手にある1番長い紐を右手でひっぱると完成
東京タワー
- 右手と左手の親指と小指に紐をかける
- 右手の中指で左の手のひらにある紐を下からとる
- 左手の中指で右中指の付け根の紐を下からとる
- 親指にかかっている紐を外す
- 親指で全部の紐の下をくぐり小指の紐をひっかけるようにとる
- 親指で中指と薬指の間にある紐をとる
- 小指にかかっている紐を外す
- 小指で親指の内側にある紐を下からとる
- 親指にかかっている2本の紐を外す
- 親指で小指と薬指の間にある紐を下からとる
- 中指にある紐を親指にかける
- 親指にある1番外側の紐を外す
- 小指を外し中指を曲げ手を向こうに向ける
- 左手の中指と親指をくっつけると完成
流れ星
- 左手の親指と小指に紐をかける
- 輪の中に右手を上から入れて左右に広げる
- 右手の親指と小指でつまむように紐の下に入れ、すくいあげる
- 右手に出来た×を左手の親指と小指ですくいあげる
- 左手小指で右手の小指と薬指の間にある紐をとる
- 左手親指で右手の親指と人差し指の間にある紐をとる
- 右手人差し指で左手の平にある紐をとる
- 右手の人差し指の紐を3回ひねる
- 右手首の紐を左手で外す
- 両手を広げて完成
ゴム
- 両手の親指と小指に紐をかける
- 右手中指で左手の紐をとる
- 左手中指で右手の紐をとる
- 人差し指と中指の間の紐を親指でとる
- 中指と薬指の間の紐を小指でとる
- 薬指と小指の間にある紐を親指でとる
- 小指の紐を全部外す
- 親指の内側にある2本の紐を小指でとる
- 親指の紐を全部外す
- 薬指と小指の間にある紐を親指でとる
- 中指にかかっている紐をとる
- 「×(バツ)」になっている紐を人差し指と中指でつまんで上に引き上げる
- 両手を左右に広げて完成
川
- 左手の親指と人差し指に紐をかける
- 親指と人差し指の間の紐を右手で引っ張る
- 右手で持っている紐を左手の親指と人差し指に巻き付ける
- 巻き付けた紐を少しだけ引っ張る
- 引っ張った紐に右手の親指と人差し指を入れ、左右に広げて完成
富士山
- 右手と左手の親指と小指に紐をかける
- 右手の中指で左の手のひらにある紐を下から引っ掛ける
- 左手の中指も同様に右手の手のひらにある紐を下から引っ掛ける
- 親指にかかっている紐を外す
- 親指で向こうから手前にひっかけるように紐を取り手を戻す
- 中指にかかっている紐を外す
- 小指にかかっている1番向こうの紐を人差し指の下からとる
- 小指にかかっている紐を外す
- 小指で親指にかかっている紐を下からとる
- 右左両方の人差し指の紐をつまんで薬指にかける
- 中指にかかっている紐を左右両方、中指で下からとる
- 親指にかかっている紐を外すと完成
ちょうちょ
- 左手の親指と小指に紐をかける
- 右手で1度紐をひねる
- 右手の親指と小指に紐をかける
- 右手の中指で左の手のひらにある紐を下からとる
- 左手の中指で右の手のひらにある紐を下からとる
- 小指で親指のとこにある1番手前にある紐を下からとる
- 指先を向こうに向けて完成
四段はしご
- 右手と左手の親指と小指に紐をかける
- 右手の中指で左の手のひらにある紐を下からとる
- 左手の中指で右の中指の付け根の紐をとる
- 親指にかかっている紐を外す
- 親指で全部の紐の下をくぐり1番向こうの紐をひっかけるようにとる
- 親指で中指と薬指の間にある紐をとる
- 小指にかかっている紐を外す
- 小指で親指の内側にある紐を下からとる
- 親指にかかっている2本の紐を外す
- 親指で小指の内側にある紐を下からとる
- 中指にある紐を親指にかける
- 親指にある1番外側の紐を外す
- 小指の紐を外す
- 手の平を返しながら親指と中指を広げて完成
ダイヤモンド
- 両手の親指と小指に紐をかける
- 右手の人差し指で左手の手の平にある紐を取る
- 左手の人差し指で右手の手の平にある紐をとる
- 親指で人差し指の向こう側の紐を取る
- 人差し指と親指にかかっている紐の間に人差し指を入れる
- 親指の向こう側の紐を人差し指でひっかけるように取る
- 親指にかかっている紐をはずす
- 人差し指にある2本の紐のうち下にかかっている紐を親指で抑える
- 手の平を向こう側に向ける
- まっすぐになっている紐を親指で取って手の平を戻す
- 小指の紐をはずす
- 人差し指にある2本の紐のうち上にかかっている紐を小指にかけなおす
- 人差し指の紐をはずすと完成
扇子(せんす)
- 左手の親指と中指と小指に紐をかける
- 左親指から出ている紐の下から右手をいれる
- 手の平にある2本の紐を右手で引っ張る
- 右手に持っている紐を左手の甲に持っていきはなす
- 小指と親指の紐を一緒に右手でつまむ
- つまんだまま手前に引っ張ると完成
鼓(つづみ)
- 左手の手首に紐をかけ、1回ねじって右手の手首に紐をかける
- 左右の手首の紐を一回転させる
- 左手の手首にかかっている紐を右手の親指でとる
- 右手の手首にかかっている紐を左手の親指でとる
- 両手の親指にかかっている紐を小指でとる
- 左手の平の糸を右手の中指でとる
- 右手の平の糸を左手の中指でとると完成
カエル
- 両手の親指と小指に紐をかける
- 右手の中指で左手の薬指の下の紐をとる
- 左手の中指で右手の薬指の下の紐をとる
- 両手の親指で人差し指と中指の間にある紐をとる
- 両手の小指で中指と薬指の間にある紐をとる
- 一番手前の紐を親指から外す
- 一番奥の紐を小指から外す
- 中指にかかっている紐を外す
- 形を整えて完成
二人で遊ぶあやとりの技
二人で行うため、AとBで説明します。
ヤシの木
- Aが両手の親指と小指に紐をかける
- 中指で手の平の紐をとる
- 小指の奥の紐をBに引っ張ってもらう
- 中指と親指の紐を左右で入れ替える
ノコギリ
A
1. 両方の手首に紐をかける
2. 左右の奥の紐を手首に巻き付ける
3. 右手の親指で左手の手首の紐をとる
4. 左手の親指で右手の手首の紐をとる
B
5. Aの手首の一番下の紐を下から握る様にとる
A
6. 残っている紐を握る様に持つ
7. Bの動きに合わせて手首から紐を外す
A・B
8. 右手に持っている紐がねじれているので直す
餅つき
- 2人とも両手の親指と小指に紐をかける
- 中指で対角線上の手の平の紐を中指でとる
- 2人とも親指と小指の紐を外す
ふたりあやとり連続技
連続技なので、それぞれに名前があります。
A 吊り橋
- 両手の平に一回転させて紐をかける
- 中指で手の平の紐を取る
B 田んぼ
両方の「×(バツ)」の部分を親指と人差し指でつまみ、外側に引っ張りながらくぐる様にとる
A 川
両方の「×(バツ)」の部分を親指と人差し指で上からつかみ、両サイドの紐をまたいで、下からすくい上げる
B 船
- 内側の2本の紐を小指で交差するようにとり外側に引っ張る
- 三角の部分から親指と人差し指を下から入れてとる
A 田んぼ
両方の「×(バツ)」の部分を親指と人差し指でつまみ、上から通して、指を開く
B ダイヤ
両方の「×(バツ)」の部分を親指と人差し指でつまみ、下からすくい上げる
A カエル
両端の中央を親指と人差し指でつまみ、指を上に向けて開く
B ダイヤ
両方の「×(バツ)」を親指と人差し指でつまみ、2本の紐の間を下からすくい上げる
A つづみ
親指と人差し指の間の紐に小指をかけ、「×(バツ)」を親指と人差し指でつまみ、真ん中からすくい上げる
B 川
両方の「×(バツ)」を親指と人差し指でつまみ、上に向けて指を開く
はしごは何段まである?
「あやとりの技一覧」では、一番有名な「四段はしご」をご紹介しましたが、一段から二段、三段・・・とすべてあります。
一段やから四段までは簡単に作ることができます。
五段から九段は少し難しくなり、練習を重ねれば10段まで作れるようになれるといわれています。
そして、12段や13段の「はしご」を作る人もいますし、理論上はそれ以上の数の「はしご」を作ることも可能だと言われています。
ただ、数が増えるにつれひし形の部分が小さくなっていくため、「はしご」と認識するのが難しくなるようです。
■一段はしご
■二段はしご
■三段はしご
■十二段はしご
あやとりは日本だけの遊びかと思っていたら、世界中で同じように遊ばれているのですね。
日本でもおなじみの「はしご」は、イギリスでも日本と同じ形ですが、呼び方が「ロンドン橋」です。
そして、日本にはないあやとりの形も世界にはたくさんあります。
一説には、世界中で3000種類を超えるあやとりの形があるそうですよ。
日本では現在およそ200種類あるといわれていますが、今後も増えていくかもしれません。
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