丸くてコロンとしただるまを縁起物として購入したという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、選挙の当選確定の時など、候補者がだるまに目を入れるシーンなどがテレビで報道されることもありますね。
そんなだるまにはどのような意味があるのでしょうか?
今回は、だるまの起源と由来、歴史のほか、だるまの色の意味、目入れはいつどっちの目にするのかなどについて解説します。
だるまの起源と由来、歴史
だるまは、漢字では「達磨」と書きます。
達磨は、「達磨大師(だるまだいし)」が由来だといわれています。
達磨大師は仏教の一派である禅宗(ぜんしゅう)の開祖で、修行のために座禅(ざぜん)を9年続けた結果、手足が腐ってしまい、手足のない姿になったという伝説があります。
禅宗は鎌倉時代(1185年~1333年)に日本に伝わりました。
禅宗のお寺では達磨大師が描かれた掛け軸は仏像と同じような役割があります。
そして、達磨大師は次第に美術・工芸品のモチーフとしても人々に好まれるようになり、絵画や工芸品などが多く作られるようになりました。
また、日本には古くから「起き上がり小法師(こぼし)」という、底が重くなっていて丸く、倒しても起き上がってくるという縁起物の置物がありました。
江戸時代(1603年~1868年)になると、達磨大師の伝説と起き上がり小法師が融合したと考えられています。
そして、倒しても起き上がる達磨大師の置物や玩具が作られるようになり、縁起物として扱われるようになりました。
これが、現在のだるまの起源といわれています。
だるまはなぜ赤色なの?
だるまといえば赤色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
なぜ赤色が多いのかというと赤には古くから魔除けの効果があると信じられてきたからです。
そのため、以下のようなものに赤い色が用いられてきました。
●鳥居
●ひな壇の緋毛氈(ひもうせん・赤色の布のこと)
●還暦祝いの赤いアイテム(ちゃんちゃんこ、帽子など)
●赤飯
●小正月に食べる小豆粥(あずきがゆ)
など
また、達磨大師が修行中に着ていた服が赤いことも理由の一つだとも言われています。
だるまの色の意味とは?
だるまの色の意味を以下にまとめました。
だるまの色 | 意味 |
赤 | 家内安全・開運吉祥 |
黒 | 商売繁盛・事業繁栄 |
金 | 金運向上・仕事運向上 |
銀 | 安産祈願・自己実現 |
白 | 目標達成・合格祈願 |
青 | 学業向上・才能向上 |
緑 | 健康祈願・才能開花 |
黄 | 金運上昇・開運祈願 |
紫 | 健康長寿・品格向上 |
桃色(ピンク) | 恋愛成就・愛情運向上 |
橙(オレンジ) | 子宝成就・災難除け |
だるまの目入れの意味と由来とは?
江戸時代に 疱瘡(ほうそう 別名、天然痘・てんねんとう)という病気が流行ったときに、厄除けの意味でだるまの目入れが始まったといわれています。
疱瘡は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症のひとつで、感染力が非常に強く、致死率も高く、なかなか治らないことから世界中で不治の病、悪魔の病気として恐れられていました。
江戸時代の人々の間では、疱瘡の原因は疱瘡神(ほうそうしん)によるものと信じられており、疱瘡神は赤い色を嫌うという言い伝えがありました。
そのため、疱瘡患者には赤い着物を着せたり、こどものおもちゃを赤く塗ったりし、当時すでに縁起物として扱われていただるまも、疱瘡神を退けるもの、天然痘除けとして使われたそうです。
福島県の「赤べこ」や岐阜県の「さるぼぼ」なども天然痘除けの縁起物だったそうですよ。
疱瘡にかかると視力を失う人が多くいたため、目が綺麗に描かれているだるまは人気になり、目の描き方が雑なものは売れ残りました。
そこで、だるまを売っていた人たちはだるまに目を入れず、購入者に目を描かせるようになったそうです。
その後、時間の流れとともに「願い事があるときに片目を入れ、願いが叶ったらもう片方にも目を入れる」という儀式が行われるようになったそうです。
だるまは仏像と同じように拝まれるようになり、仏教と同様、目を入れることを「開眼(かいげん)」と呼ぶようになりました。
開眼とは仏教用語で、新しい仏像や仏画を作る際、最後に目を描くことです。
そうすることで仏の魂を迎え入れることができると信じられています。
目入れの時期や入れ方は?いつどっちの目にする?
目を入れる時期は「願い事をするとき」なので、人によってそれぞれです。
大安などの吉日に入れるという方もいらっしゃいますが、この日に入れなければいけない!という決まりは特にありません。
そしてやり方ですが、一般的に 願掛けをするときにまず左目に目を入れ、願いが叶ったら右目に目を入れます。
その理由は諸説あり、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ・自然界のあらゆるものを陰と陽に分け、さらに五行思想の「自然界は木、火、土、金、水の5つの要素から成っている」という考え方が結びついたもの)では、だるまの赤い色は「火」を表していて、火は「南」の方角を表しているといわれています。
物事は東で生まれて西で無くなると考えられていたことから、だるまを南に向けた時、東になる左目から目を入れるといわれています。
また、太陽が東から昇り西に沈むことから、だるまを南に向けた時、東になる左目から目を入れるという説もあります。
その他、だるまの目は、阿吽(あうん)を表していると言われています。
左目は物事のはじまりである阿(あ)を指し、右目は物事の終わりである吽(うん)を指していることからていることから、左目から目を入れるという説などもあります。
ただし、必ず左目から入れるというわけではなく、 選挙のときは立候補をしたら右目に目を入れ、当選したら左目に目を入れることが多いようです。
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だるまの捨て方は?
だるまは、願いが叶ったときか、購入してから一年後に処分するのが一般的です。
願い事が叶ったらそのタイミングで、叶っていない場合は一年間の感謝の気持ちをこめて処分しましょう。
処分の際は、供養という形でお寺に返納したり、お焚き上げをしてもらいます。
お寺と神社どちらでも良いのですが、だるまのモデルとなった達磨大師は仏教の人なので、お寺で供養していただくのが一番良いそうです。
定期的にだるまの供養法要を行っているお寺、一年中いつでも供養を受け付けているお寺、宅配で受け付けているお寺もありますので、事前に確認しておきましょう。
ご自宅で処分する場合は、感謝の気持ちを忘れずに処分しましょう。
だるまをきれいに拭いてからお清めの塩を振り、半紙や白い紙、きれいな布などで包み、ゴミ袋に入れます。
だるまの大きさや材質などによって、どのようなゴミとして処分するのか異なります。
お住いの自治体のごみ分別を確認してください。
お土産として自分で買ったり、誰かに貰ったりした場合でも、一年後に処分したほうが良いといわれています。
しかし、思い出や記念としてずっと飾っていたいと考えたり、好きなキャラクターをモチーフにしただるまもあり、一年で処分しない人も増えているようです。
いかかでしたでしょうか?
現在、だるまは生産地や材質によってさまざまな種類が販売されています。
地域の名産品として欠かせないものになっていることもありますし、女性の姿をした「姫だるま」というものもあり、子宝に恵まれるとか、福を招くといわれています。
そして、願いが叶ったときも、もしも願いが叶わなかったときも、だるまはゴミとして処分するのではなく、神社などでお焚き上げ、供養していただくといいそうです。
願掛けしている間見守っていただいたという感謝の気持ちを込めて、供養するといいですね。
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