みなさんは「都々逸」をご存知ですか?
俳句や短歌なら知っているけれど、都々逸はよくわからないよ~と言う人も多いかもしれません。
今回は都々逸についてわかりやすく解説します。
有名な都々逸についても載せていますので、「これも都々逸だったのね」と新たな発見があるかもしれませんよ!
都々逸の意味とは?
読み方は「どどいつ」です。
「都都逸」
「都度逸」
「都々一」
「百度一」
などの表記もあります。
江戸時代(1603年~1868年)の末期に、都々逸の創始者といわれる初代「都々逸坊扇歌(どどいつぼうせんか・1804年~1852年)」が節回しなどを完成させた七・七・七・五の定型詩です。
基本は七・七・七・五ですが、「五字冠り(ごじかむり)」または「五文字冠り(ごもじかむり)」と呼ばれる五・七・七・七・五という形式もあります。
もともと都々逸は、音曲師(おんぎょくし・三味線を用いて唄の芸を披露する芸人)がお座敷や寄席などで演じる出し物でした。
三味線とともに歌われ、主に男女の恋愛を題材としていたので「情歌(じょうか・卑猥な内容の歌詞を含む歌のこと)」とも呼ばれていたそうです。
そして江戸時代の末期に、都々逸坊扇歌が上方で流行していた「よしこの節(七・七・七・五の4句の歌詞)」を元に「名古屋節」の合いの手「どどいつどいつ」または「どどいつどいどい」を取り入れて都々逸を完成させ、江戸で「都々逸」を広めました。
そのため、名古屋が都々逸の発祥であると考えられており、名古屋市には「都々逸発祥の地」の碑があります。
外部リンク:都々逸 発祥之地
都々逸が広まったのは、その節回しが比較的簡単で、都々逸坊扇歌が優れた演じ手だったからといわれています。
更に、当時の江戸の人々は歌が好きで、誰でも歌える都々逸は大衆娯楽として広まりました。
そして、男女の恋愛以外にも名所や年中行事などを題材にする都々逸が生まれていきました。
都々逸の作り方
都々逸は、昔は男女の恋愛を題材とするものが多かったようですが、基本的にはどのような題材でも構いません。
また、七・七・七・五の節回しであれば何でも良い・・・というわけではなく、作る時は、気を付けるべきルールがあります。
七・七・七・五=「上七・中七・下七・五」とした場合、ルールは以下のようになります。
●「上七」は「3文字+4文字」の組み合わせ
●「中七」は「4文字+3文字」の組み合わせ
●「下七」は「3文字+4文字」の組み合わせ
●「上七」と「下七」は字余り(7文字以上)でも良い
●「中七」と「五」は字余りしてはいけません
こうすることで、節回しが上手にできます。
例えば、
「添うて苦労は 覚悟だけれど 添わぬ先から この苦労」
という有名な都々逸がありますが、これを上記の説明に当てはめてみましょう。
上七 | 添うて(3文字)苦労は(4文字) |
中七 | 覚悟だ(4文字)けれど(3文字) |
下七 | 添わぬ(3文字)先から(4文字) |
五 | この苦労(5文字) |
この歌は字余りしていないので、節回しもきれいですね。
では次の歌はどうでしょうか?
「ざんぎり頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする」という、字余りする有名な都々逸も当てはめてみます。
上七 | ざんぎり(4文字・字余り)頭を(4文字) |
中七 | 叩いて(4文字)みれば(3文字) |
下七 | 文明(4文字・字余り)開花の(4文字) |
五 | 音がする(5文字) |
ルールどおり上七と下七は字余り、中七と五は字余りなしのため、節回しも上手にできますね。
このルールを守らずに作ると、節回しが悪くなりますので気をつけましょう。
有名な都々逸
有名な都々逸は以下のとおりです。
● うちの亭主と こたつの柱 なくてならぬが あって邪魔
● 捨てる神ありゃ 助ける神が なまじあるゆえ 気がもめる
● 夢に見るよじゃ 惚れよがうすい 真に惚れたら 眠られぬ
● 立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花
● 喧嘩したとき この子をごらん 仲の良いとき 出来た子だ
● 船頭殺すに 刃物はいらぬ 雨の十日も 降ればよい
● 丸い玉子も 切りよで四角 ものも言いよで 角がたつ
● お酒は飲みたい 酒屋は遠い 買いにゃ行けるが ゼニがない
美しい女性を例えたことわざ「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花」も都々逸なのですね。
また、民謡や、今流行っている歌なども、よく歌詞をみてみると、七・七・七・五になっていることが多々あります。
都々逸の節回しは日本人にとって心地よいものなのかもしれませんね。
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