
みなさんは、カタカナの「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の違いや使い分けはどのようになっているのかご存知ですか?
「ヱ」が使われている有名なものは、
- 「ヱスビー食品」
- 「ヱビスビール」
- 「ヱヴァンゲリヲン」
など
「ヰ」が使われている有名なものは、
- 「ニッカウヰスキー」など
があります。
今回はカタカナの「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の違いを、旧字の一覧とあわせてわかりやすく解説します。
「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の違いとは?
五十音で「エ」「イ」はア行で、「ヱ」「ヰ」はワ行という違いがあります。
ア行は「アイウエオ あいうえお」で、
ワ行は「ワヰウヱヲ わゐうゑを」です。
ワ行の「ウ・う」はア行の「ウ・う」と同じなので省略され、「ヰ・ゐ」と「ヱ・ゑ」は現代仮名遣い(げんだいかなづかい)では使わない字なので省略されることが多いです。
ワ行の5つを一覧にまとめました。
| カタカナ | ひらがな | かつての発音 | 現代仮名遣いでの表記 |
| ワ | わ | wa(わ) | ワ・わ |
| ヰ | ゐ | wi(うぃ) | イ・い |
| ウ | う | u(う) | ウ・う |
| ヱ | ゑ | we(うぇ) | エ・え |
| ヲ | を | wo(うぉ) | オ・お |
ただし助詞の「を」だけは、現代仮名遣いでも「を」のまま使います。
現代仮名遣いになる前の五十音図です。いまは使わない「ゐ」「ゑ」が、わ行に入っています。
昭和21年(1946年)まで、学校ではこの並びで教えていました。

仮名遣い(かなづかい)とは仮名(ひらがなとカタカナ)の使い方のことです。
いまの現代仮名遣いは、昭和61年(1986年)に内閣告示第一号として告示されたものです。
現代仮名遣い以前のものを歴史的仮名遣いといい、「旧仮名遣い」「復古仮名遣い」「古典仮名遣い」と呼ぶこともあります。

「ヰ・ゐ」と「ヱ・ゑ」は歴史的仮名遣いなので、現代仮名遣いでは使わなくなりました。
もともとは発音も違い、「エ」は「e(え)」と発音しますが、「ヱ」は「we(うぇ)」と発音したそうです。
また、「イ」は「i(い)」と発音しますが、「ヰ」は「wi(うぃ)」と発音しました。
しかし、鎌倉時代の13世紀ごろになると、両者の間に発音の違いがなくなりました。
ただし書き分けがなくなるのは、それよりずっとあとのことです。
現代仮名遣いで
- 「ヱ・ゑ」→「エ・え」
- 「ヰ・ゐ」→「イ・い」
に置き換えられました。
なぜ昭和まで「ヱ」「ヰ」は使われ続けたの?
発音の違いがなくなったのは鎌倉時代ですが、書き分けはその後も700年ほど続きました。
発音が同じになると、耳で聞いても「ヰ・ゐ」と「イ・い」のどちらを書いていいのか分からなくなります。
そこで、昔の書物でどう書かれていたかを調べて、それに合わせるようになりました。
鎌倉時代の歌人・藤原定家(ふじわらのていか)は、昔の書物から用例を集めて、「この言葉にはこの字」という決まりをつくります。
江戸時代の元禄年間には契沖(けいちゅう)が、万葉集などもっと古い書物まで調べ直し、「和字正濫鈔」(わじしょうらんしょう)にまとめました。
こうしてできた書き分けが、のちに歴史的仮名遣いと呼ばれます。
明治時代になると、政府がこれを学校で教える正式な書き方と定め、書き分けが全国に行き渡りました。
その書き分けが終わるきっかけは、戦後の国語改革です。
昭和21年(1946年)11月、「当用漢字表」と「現代かなづかい」が告示されました。
「国語国字の整理と簡易化」として漢字の数を減らすことと、仮名遣いを発音どおりにすることの2つが進められました。
これは、GHQが招いたアメリカ教育使節団が、日本語の書き方を簡単にするよう求めていたためです。
こうして、学校で歴史的仮名遣いを教えなくなりました。
いまの「現代仮名遣い」は、これを昭和61年(1986年)に改めたものです。
「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の使い分けとは
現代仮名遣いでは「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の使い分けはなく、「エ」「イ」だけを使います。
しかし、ヱスビー食品やヱビスビール、ヱヴァンゲリヲン、ニッカウヰスキーのように「ヱ」や「ヰ」を使うことがあります。
これは、現代仮名遣いでは「ヱ」と「ヰ」は存在していませんが、歴史的仮名遣いを用いることが禁止されているわけではないからです。
ヱスビー食品
ヱスビー食品は、大正12年(1923年)に日賀志屋(ひがしや)として創業され、昭和24年(1949年)に「ヱスビー食品株式会社」と社名を変更します。
しかし、「ヱ」は現代仮名遣いではないため学校教育では使われていないなど親しみにくいという理由で平成4年(1992年)に社名の一般表記を「エスビー食品」に変更しました。
現在、一般的には「エスビー食品」となっていますが、登記上は「ヱスビー食品」のままです。
ヱビスビール
「ヱビスビール」は、サッポロビールが製造するビールの名前です。
明治23年(1890年)に発売され、令和2年(2020年)に130周年を迎えた歴史のあるビールですが、伝統のブランドを守るために「ヱ」を使い続けているそうです。
ヱヴァンゲリヲン
「ヱヴァンゲリヲン」については、平成7年(1995年)から平成8年(1996年)に放送されたテレビアニメとその劇場版は「新世紀エヴァンゲリオン」と表記されます。
そして、平成19年(2007年)から始まった映画シリーズは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」と表記し、シリーズの違いを「ヱ」と「ヲ」で表しているといわれています。
ニッカウヰスキー
「ニッカウヰスキー」は、昭和9年(1934年)に「大日本果汁株式会社」として設立され、昭和27年(1952年)に「ニッカウヰスキー」に名称を変更しました。
この名称変更の際、普通は「ニッカウイスキー」と表記するところを、ウイスキーは水が命なので「イ」の部分を井戸の「井」という漢字にして「ニッカウ井スキー」としたかったのですが、当時は漢字とカタカナが混じった社名を登記できなかったため「井」に似た「ヰ」を用いたそうです。
また、「whiskey」の「ウィ」の発音と「ヰ」の発音が近いからというのも理由のひとつなのだそうです。
平成13年(2001年)にアサヒビール株式会社の子会社になりましたが、現在も「ニッカウヰスキー株式会社」としてさまざまな商品を取り扱っています。

カタカナの「エ」と「ヱ」、「イ」と「ヰ」の違いがわかりましたね。
現在は現代仮名遣いが使われているため、一般的には「ヱ」や「ヰ」を使うことはありませんし、発音も「e」と「we」、「i」と「wi」の使い分けをしている人はいません。
しかし、歴史的仮名遣いの「ヱ」や「ヰ」を使うことが禁止されているわけではありませんので、企業の名前や商品名、人名や赤ちゃんの名前などに使っても問題はないそうです。
関連:【会社名の由来】面白い!日本の有名企業 名前の由来一覧
関連:漢字、ひらがな、カタカナの歴史や起源とは?ひらがな、カタカナの由来と成り立ち
関連:常用漢字とは?小学校・中学校で習う漢字の数はいくつ?常用漢字一覧

コメント
コメント一覧 (3件)
大変勉強になりました^^
コメントありがとうございます!お役に立てて嬉しいです。
同感にゃ!