お正月になると、さまざまなお店が「福袋」を販売しますね。
福袋が楽しみで毎年購入する方もいらっしゃると思いますが、どのような意味と由来があり、いつごろから始まったのでしょうか?
また、福袋は返品できるのでしょうか?
今回は、福袋についてわかりやすく解説します。
福袋の意味とは?
読み方は「ふくぶくろ」です。
福袋とは、 お正月の初売りなどで、売れ残り品など色々なものを詰めて中身がわからないようにして封をして販売し、客が自由に選び取る袋のことをいいます。
中身が見えない状態で選ぶので運試しの意味合いもあります。
最近では中身が見える透明の袋に入れていたり、インターネット上で中身がどういうものなのか詳細を載せて販売される場合もあります。
人気のお店の福袋の中には事前予約制や抽選があったりと、販売方法もさまざまです。
また、お正月の初売りだけでなく、季節ごとに福袋を販売するお店もあります。
福袋の中身は時代とともに変化しており、現在は食料品や家電、雑貨、寝具、宝石などの他、スポーツジム体験や、スポーツ選手との交流、観劇や旅行など、体験型の福袋もあります。
また、値段も数百円で買える福袋から、100万円を超える福袋など、幅広い値段の福袋が販売されています。
1990年代初めのバブル期にはピカソの画が入った5億円の福袋まであったそうですよ。
福袋の由来は?
福袋は、七福神として有名な 大黒天(だいこくてん)が抱えている大きな袋が由来といわれています。
大黒天は金運や幸運をつかさどる神様で、商家では商売繁盛の神、農家では五穀豊穣の神として祀られています。
大黒天は右手に打ち出の小槌を持ち、米俵の上に乗った姿で、左手で大きな袋を抱えていますが、この袋を「福袋」と呼びます。
大黒天の抱える福袋の中には、
・寿命
・愛嬌
・人望
・威光
・金や銀
・真珠
・瑠璃(るり)
・幸福や幸運
が入っているなど、いろいろな考え方があります。
いずれにしても、大黒天がやってくると、その福袋の中から人々に福を分け与えてくれると考えられています。
日本の福袋の歴史はいつから始まった?
福袋がいつから始まったのか、 正確にはわかっていません。
江戸時代(1603年~1868年)に呉服屋の越後屋(三越の前身)が「えびす袋」として販売したのが福袋のルーツといわれていますが、正確な年代は不明です。
越後屋は「えびす袋」に残り布などを入れて販売したといわれており、江戸で大人気になったそうです。
越後屋の「えびす袋」が大変好評だったので他の呉服屋もこれに続きました。
大丸呉服店(大丸の前身)が残り布などを「えびす袋」につめ、そのうちのいくつかに金の帯を入れて初売りで販売したそうです。
江戸で大人気になった「えびす袋」は次第に地方へも伝わり、日本各地の呉服屋が販売するようになり、いつしか呉服屋以外のお店も取扱商品の残り物などを販売するようになりました。
明治25年(1892年)1月の新聞には、福袋ついての記事があり、
『石鹸や櫛(くし)、楊枝(ようじ)など日用品を袋に入れて一銭で販売し、運が良ければ5銭~12銭ほどのものが入っていて、大人気だった』
と書かれています。
明治40年(1907年)には、鶴屋呉服店(松屋の前身)が福袋の販売を始め、明治44年(1911年)には、いとう呉服店(松坂屋の前身)が福袋ではなく「多可良函(たからばこ)」という名前で販売した記録が残っており、どちらも大人気だったそうです。
他にも、
仙台では江戸時代から初売りで福袋が売られていたという説
大正8年(1919年)に永楽園という御茶屋が始めたという説
もあります。
いずれにしても、昭和になるころには「福袋」という名前が一般的になり、多くの百貨店が福袋の販売をしていたようです。
その後、百貨店だけではなく様々なお店が福袋を販売するようになり現在に至ります。
福袋は返品できるの?
福袋は、基本的に返品はできません。
福袋は「中身がわからないことを承知して購入する」というものなので、自分にとってハズレの福袋でも返品はできません。
購入後に「想像したものと違う」とか「不要なものしか入っていなかった」と購入者が不満を抱いたとしても、返品に応じることはないそうです。
しかし、「Sサイズが入っている」と書かれていたから購入したのに、実際はLサイズが入っていたとか、壊れたものや破れたものが入っていた・・・などというケースのように、 店側に何らかのミスがあった場合は返品または交換が可能です。
返品ができるのは、「店側のミス」であることが大前提となります。
また、返品に応じる期間を設けている場合が多いので、気づいたらすぐにお店に連絡を取るようにしましょう。
福袋の中身があまりに酷すぎると、法律違反になる可能性があります。
店側の説明と福袋の中身が著しく違う場合は、「不当景品類及び不当表示防止法(通称:景品表示法)」に違反することになります。
たとえば、
「1万円相当の中身」と書かれているのに実際には千円相当しか入っていなかった
「A5ランクの国産和牛」と書かれているのに実際には輸入牛だった
など、説明や表示と著しく違う場合は違法ということになります。
しかし、「著しく」の基準は人によって異なります。
明確な基準がないため、違法か違法ではないのかをすぐに判断することは難しいようです。
中身の見えない福袋は、選ぶときからドキドキして楽しいものですよね。
その中身が自分の欲しかったものだったら、一年のスタートがとても良いもののように感じてしまいますし、残念な中身だったらちょっとがっかりしてしまいます。
しかし、一年のスタートに残念なことが起こったということは、悪い運を最初に使い果たした!とプラスに考えることもできます。
人気のお店になると、整理券や予約が必要な場合もあるようですので、狙っているお店がある方は事前にチェックしておきましょうね。
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