社会人になってこれまでに使わなかった言葉の使い分けに苦労した経験はありませんか?
特にビジネスメールなどでは独特の用語も多く、どれを使っていいか困ることがありますよね。
今回は「教えてください」という意味を持つ言葉のうち、
「ご教授」
「ご教示」
「ご指導」
「ご指南」
の意味や違い、使い分け方について、わかりやすく解説します。
「ご教授」の意味
ご教授の読み方は「ごきょうじゅ」です。
ご教授は、相手が自分よりも詳しいこと、専門にしていることに対して、教えを請いたい時に使います。
専門分野について教えてもらう他、比較的長いスパンで教えてもらいたい場合にも、使うことができます。
例文:
貴社の販売戦略ノウハウを、ぜひ弊社にもご教授ください。
「ご教示」の意味
ご教示の読み方は「ごきょうじ」です。
ご教示には、「示す(しめす)」という文字が含まれていますよね。その通り、例題を示して欲しいときなどに、よく使われる言葉です。
例えば手順や内容、相手のスケジュールや対処方法などを、はっきりさせて欲しい時に使います。
例文:
来週か再来週の平日午後にミーティングを行いたいのですが、都合のよい日程をご教示ください。
「ご指導」の意味
ご指導の読み方は「ごしどう」です。
指導という言葉からは、スポーツや部活動などを連想しませんか?
未熟な自分を教え導いてください、引っ張ってください、というような意味合いで使われます。
「ご指導のほどよろしくお願いいたします。」
「ご指導ご鞭撻(ごべんたつ)のほどよろしくお願いいたします。」
という使い方が、丁寧かつ一般的な使われ方です。
例文:
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
「ご指南」の意味
ご指南の読み方は「ごしなん」です。
指導によく似た言葉ですが、指南は武術や芸事を教えてもらうときに使われます。
例えば、柔道や剣道、囲碁や将棋、茶道や華道や舞踊などで使用されます。
語源となった「指南車」は古代中国で作られた、からくり仕掛けの車です。
上に載った仙人の人形が常に一定の方角を指し示していたことから、正しい目的地に導くことを意味します。
指南車は視界の悪いところでも行き先を見失わないように用いられました。
しかし、指し示す方角は必ずしも「南」とは決まっておらず、最初に操作者が設定した方角をずっと向き続ける仕組みです。
「南」という文字が使われたのは、『易経』という書物に出てくる「聖人は南面して天下を聴き、明に嚮(むか)いて治む」という一節からです。
南という方角が、高貴な方角として尊重されたのですね。
因みにこの一節から「明」と「治」を取って、「明治」という元号の由来となっています。
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例文:
(囲碁や将棋で自分より格上の人と対戦するとき)一局、ご指南ください。
「ご教授」「ご教示」「ご指導」「ご指南」の違い、使い分け方
それぞれの違い、使い分け方を簡単にまとめると以下のとおりになります。
「ご教授」
比較的長期間に渡って相手の専門分野を教えて頂くときに使います。
「ご教示」
一度限りのことやご教授よりも軽めのお願いに使われます。あるいは具体例を知りたい場合ですね。
「ご指導」
相手にリードして欲しい、引っ張っていって欲しいという意味合いが強くなります。
「ご指南」
「武術や芸事に限って使われる」と覚えておくといいでしょう。
「ご教授」「ご教示」「ご指導」「ご指南」の語尾のバリエーション
語尾を「~ください」として使う場合が多いですが、ビジネスメールの場合には、「~ください」だと比較的軽めの言い回しとして受け取られますので、他のバリエーションもいっしょに覚えておきましょう。
■「~願います」
お願いしますというニュアンスなので、「~ください」よりも丁寧な形になります。
社内文書や内々での連絡に、よく使われます。
■「~のほどお願い申し上げます」
お願いしますに自分を低める「申し上げます」を足しているので、「~願います」よりもさらに丁寧な言葉です。
他社へのメールの末尾に、使いやすい形です。
■「~賜りますようお願いいたします。」「~頂きますようお願いいたします。」
「もらう」という言葉の謙譲語(けんじょうご 自分の立場を相手よりも低くする敬語)です。
公式な文書や年賀状などの挨拶文章によく使われます。
■「~頂ければと思います」「~頂けますと幸いです」
語尾に自分の気持ちを付け加えることによって、柔らかいニュアンスになります。
優しい雰囲気として相手に受け入れられやすくなりますよ。
他社に丁寧に協力をお願いしたい時に、使いやすい形です。
「教えてください」という意味一つでも、さまざまな言い回しができることが分かりましたね。
使い分けに迷ったときは、それぞれの文字が持つ意味を考えると、分かりやすくなりますよ。
教えて頂いた後には、「ありがとうございます」という感謝の気持ちも忘れずに伝えましょう。
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