小さい頃、ドアや窓などを「開けゴマ!」と言いながら開けたことはありませんか?
ふでばこを開ける時や、教科書を開くとき、傘を開くときなど、あらゆる場面で「開けゴマ!」と言っていた人もいるかもしれませんね。
誰もが一度は言ったことがあるのではないかと思うほど「開けゴマ!」は有名な言葉ですが、なぜ「ゴマ」なのでしょうか?
今回は「開けゴマ!」について調べてみました。
Contents/目次
「開けゴマ!」の呪文の意味と語源は?
「開けゴマ!」の起源は、イスラムやアラビアの伝説や民話などを集めた「アラビアンナイト」の中で語られる「アリババと40人の盗賊」という物語です。
アラビアンナイトは日本では「千夜一夜物語(せんやいちやものがたり)」や「千一夜物語(せんいちやものがたり)」とういタイトルで呼ばれ、「アリババと40人の盗賊」のほかにも「魔法のじゅうたん」「アラジンと魔法のランプ」「シンドバッドの冒険」など有名な物語があります。

「アラビアンナイト」のあらすじ
アラビアンナイトのあらすじは以下の通りです。
妻の浮気を知ったペルシャの王様は妻と相手を殺害しましたが、女性不審に陥ってしまい毎晩、町の生娘(きむすめ・男性を知らない女性。処女のこと)を自分の城に呼び寄せ一夜を共にし、翌朝にはその娘を殺害し続けました。
そして、町から若い女性がみるみる減っていき、王様の側近が困り果てていたときに側近の娘であるシェヘラザードが王様の行動を止めるために自ら王様のもとへ行くことを決意します。
シェヘラザードは命がけで王様に物語を話して聞かせ、物語が盛り上がったところで「続きはまた明日。明日はもっと面白いですよ。」と告げ、王様は続きを聞きたいのでシェヘラザードを殺さず、物語の続きを楽しみにしたそうです。
そして、シェヘラザードが毎晩物語を話して聞かせるうちに王様は考えを改め、シェヘラザードを妃に迎えて幸せに暮らしたそうです。
このとき、シェヘラザードが王様に話して聞かせた物語のひとつが「アリババと40人の盗賊」です。
「アリババと40人の盗賊」のあらすじは以下の通りです。
アリババと40人の盗賊のあらすじ
貧しいけれどまじめで働き者のアリババという男がロバを連れて山で薪(まき・たきぎ)を集めていると、40人の盗賊団が財宝を洞窟に隠しているのを目撃します。
盗賊団が「開けゴマ!」という呪文を唱えて洞窟の入り口を塞ぐ岩の扉を開けるのを見ていたアリババは、盗賊団がいなくなってから「開けゴマ!」と呪文を唱え、財宝を持ち帰り、大金持ちになりました。

アリババは、妻以外には盗賊団や財宝のことを内緒にしていましたが、強欲な兄に知られてしまいます。
アリババから無理やり呪文を聞き出した兄は洞窟の扉を開けて中に入り、中から扉を閉め財宝に夢中になりました。
しかし、扉を開けるための呪文を忘れてしまいました。
困っているところへ盗賊団がやってきて見つかってしまった兄は殺されてしまい、盗賊団にアリババの存在がバレてしまい命を狙われてしまいます。
しかし、アリババのところにいた女奴隷モルジアナが機転を利かせて盗賊団を皆殺しにしました。
この功績からモルジアナは奴隷から解放され、アリババはモルジアナを息子の妻とし、盗賊団の宝を貧しい人々に分け与え、アリババの一族は末永く栄えたそうです。
「なぜゴマなのか?」
「アリババと40人の盗賊」のアラビア語の原典(翻訳や改訂の元になった書物)は発見されていませんが、フランス語では「Sésame, ouvre-toi(ゴマよ、汝を開け)」、英語では「Open Sesame(開けゴマ)」と表現されており、日本語だけでなく、他の言語でも「開けゴマ」という表現になっているようです。
「なぜゴマなのか?」という疑問に明確な答えはありませんが、「こういう理由なのではないか?」という説はいくつかあります。

ゴマが貴重なものだったからという説
イスラムやアラビアなど中東地域ではゴマが貴重な食材だったので、ゴマを盗賊団の財宝・宝物に見立て「開けゴマ」という呪文になったのではないかといわれています。
ゴマを収穫するときの様子が語源という説
ゴマが実った時は房(ふさ)に包まれいるのですが、乾燥させることで房が開き収穫することができます。
乾燥させて房が開かないと収穫できないため「開けゴマ!」という言葉が生まれたのではないかといわれています。
ゴマに神秘性があるという説
バビロニアではゴマ油が魔術に使われるなど、ゴマには神秘的な力が宿っているという信仰があるため、扉を開ける呪文に用いられたのではないかといわれています。
「開けゴマ!」の反対語は?
「開けゴマ!」の反対語は「閉じろゴマ!」または「閉じよゴマ!」という呪文でアリババと40人の盗賊の中でも登場し、扉を閉じる時に唱えます。

「開けゴマ!」という呪文は、アラビアンナイトが起源なのですね。
しかし、アラビアンナイトの原典には「アリババと40人の盗賊」の話は入っていなかったともいわれているようです。
アラビアンナイトはたくさんの人が翻訳などをしているため、誰かが自分の創作した「アリババと40人の盗賊」を入れたのではないか?ともいわれており、真実はわかっていません。
原典にはなかったかもしれない「アリババと40人の盗賊」と「開けゴマ!」という呪文がとても有名なのは、なんだか不思議なお話ですよね。