日本には数多くの神社がありますが、神社の代表的存在といえば「伊勢神宮」と「出雲大社」ですよね。
この2つの神社には一体どのような違いがあるのでしょうか?
伊勢神宮と出雲大社の違い、遷宮とはどういうものなのかわかりやすく解説します。
伊勢神宮とは?
伊勢神宮は三重県伊勢市にある神社です。
正式名称は「神宮 (じんぐう)」です。
伊勢神宮には「内宮(ないくう)」と「外宮(げくう)」があります。
それぞれに御祭神(ごさいじん)が祀(まつ)られています。
御祭神とは、神社に祀られている神様のことです。
内宮
内宮は正式には「皇大神宮(こうたいしんぐう)」といいます。
内宮の御祭神は、太陽の神とされる「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」です。
皇大神とは天照大御神のことです。
天照大御神の末裔は天皇陛下と言われており、伊勢神宮は古代から天皇家とつながりが深い神社です。
こういった皇室と深い繋がりがある神社、あるいは天皇を御祭神としている神社を「神宮」と呼びます。
外宮
一方、外宮は正式には「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」といいます。
御祭神は、天照大御神のお食事を司る神様であり、衣食住の守り神とされる「豊受大御神(とようけのおおみかみ)」です。
伊勢神宮の歴史は、実在した可能性のある最初の天皇といわれている崇神天皇(すじんてんのう・第10代天皇)の時代までさかのぼります。
紀元前95年、疫病が流行って多くの人々が命を落としたため、崇神天皇は天照大御神の祟りではないかと考えました。
それまで天照大御神は皇居にお祀りされていたのですが、崇神天皇はもっとふさわしい別の場所にお祀りすることにしました。
そして、皇女である豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)によって、笠縫邑(かさぬいむら・現在の奈良県桜井市)にお祀され、疫病は無事に鎮まったそうです。
その後、第11代天皇の垂仁天皇(すいにんてんのう)の皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)が、天照大御神を永遠にお祀りするのにふさわしい場所として伊勢に辿り着いたことが、日本書紀(720年)に記されています。
天照大御神は海の幸、山の幸に恵まれた伊勢をとても気に入り、伊勢神宮の内宮に鎮座されました。
それからおよそ500年後に、天照大御神にお食事を差し上げるために豊受大御神が外宮にお祀りされました。
伊勢神宮の参拝
伊勢神宮の参拝の順番には作法があり「外宮→内宮」の順に参拝します。
内宮と外宮は距離が離れているため、観光で訪れる人の多くは内宮だけを参拝するようですが、どちらか片方だけお参りすることを「片まいり」といい、避けるべきことといわれています。
正式には外宮と内宮の両方を参拝します。
参拝するときは一般的な神社と同じく「二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいちはい)」で行います。
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出雲大社とは?
出雲大社は、島根県出雲市にある神社で、一般的には「いづもたいしゃ」と読みますが、正式には「いづもおおやしろ」と読みます。
明治維新以前は大社(おおやしろ)と言えば出雲大社の事を指しましたが、他に「〇〇大社(たいしゃ)」と呼ばれる神社が増えたことで「出雲大社(いずもたいしゃ)」と呼ばれるようになったそうです。
出雲大社の御祭神は「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」で、国造りの神、農業神、商業神、縁結びの神様としても有名です。
出雲大社の歴史は古く、創建は日本神話で語られる神代とも言われ、はっきりとした時期はわかっていません。
日本最古の歴史書とされる「古事記(こじき・712年)」にも出雲大社の記述がでてきます。
天上の高天原(たかまがはら)と黄泉の国の間にあるとされる葦原中国(あしはらのなかつくに・日本の古称)を治めていた国津神(くにつかみ・土着の神)である大国主大神に、高天原の神である天津神(あまつかみ・天上の神)が国を譲って欲しいと願い出ました。
そして、国を譲る条件として自分の住処として立派な宮を建てて欲しいと所望し、建てられたのがこの出雲大社だと記されています。
そういった由来から大国主大神は国譲りの神と呼ばれているのです。
縁結びの神としての由来は次のようにいくつかあります。
「大国主大神自身がたくさんの女神との間に縁を結んだから」
「神無月(かんなづき・旧暦の10月)に大国主大神のもとに八百万(やおよろず・数えられないくらいたくさん)の神が集まり、人々の縁をどう結ぶかを話し合うとされているから」
などです。
神々が話し合い、人の縁を結んでいくということで、神無月には良縁を求める参拝者で賑わいます。
ちなみに、出雲地方ではでは神在月(かみありづき)と呼ばれます。
また、参拝方法は一般的な神社の「二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいちはい)」ではなく、「二拝四拍手一拝(にはいしはくしゅいちはい)」ですので注意が必要です。
遷宮とは
読み方は「せんぐう」です。
遷宮とは、神社の本殿を別の場所に移し、ご神体を新しい本殿へ移すことをいいます。
伊勢神宮では20年ごとにこの遷宮が行われており、このように定期的な遷宮のことを「式年遷宮(しきねんせんぐう)」といいます。
伊勢神宮の式年遷宮は飛鳥時代に天武天皇が定めた行事で、常に新しく清浄である事を尊ぶ考えから、一定の期間で社殿を新しくするようにしたと考えられています。
平成25年(2013年)には伊勢の「式年遷宮」、そして出雲でも60年ぶりとなる「平成の大遷宮」が行われ大きな話題となりました。
出雲大社の遷宮は不定期ですが、偶然にも平成25年に伊勢神宮の式年遷宮と重なりました。
出雲大社の遷宮はその周期に特に神事的な根拠はなく、およそ60年~70年ごとに遷宮が行われます。
平成25年の遷宮は社殿の老朽化による遷宮だったため、こちらは特に式年遷宮とは呼びません。
また、その前は60年前の昭和28年(1953年)にも重なったそうです。
伊勢神宮と出雲大社の違いとは?
伊勢神宮と出雲大社の大きな違いは以下のとおりです。
御祭神の違い
伊勢神宮の御祭神は「天照大御神」と「豊受大御神」です。
出雲大社の御祭神は「大国主大神」です。
参拝方法の違い
伊勢神宮は「二拝二拍手一拝」です。
出雲大社は「二拝四拍手一拝」です。
名前の違い
伊勢神宮の「神宮」は皇室とゆかりの深い由緒ある神社のことです。
出雲大社の「大社」は地域信仰の中心となる格式が高く規模の大きな神社のことです。
遷宮の期間の違い
伊勢神宮の遷宮は定期的に20年ごとに行われ「式年遷宮」と呼ばれています
出雲大社の遷宮は不定期でおよそ60年~70年ごとに行われます。
伊勢神宮と出雲大社。
名前は知っていてもその歴史や由来などを知らない方も多いのではないかと思います。
それぞれの地を訪れる機会があれば、その由来や意味を考えながら参拝すると今まで以上に心のこもったお参りができるのではないでしょうか。
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