神社には「本殿」「社殿」「拝殿」など建物が複数ありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
普段、神社でお賽銭を入れてお参りする場所は「本殿」「社殿」「拝殿」のどれなのでしょう?
「本殿」「社殿」「拝殿」、それぞれの意味と違いについて解説いたします。
神社の建物の名称「本殿」「社殿」「拝殿」の意味と違いとは?
「本殿」「社殿」「拝殿」それぞれどのような意味があるのか、見ていきましょう。
社殿とは?
まず、社殿から説明します。
読み方は「しゃでん」です。
社殿とは、神社の境内(けいだい・神社の敷地)にある建物の総称です。
つまり、本殿・拝殿は、社殿ということになります。
本殿とは?
読み方は「ほんでん」です。
「神殿(しんでん)」ともいいます。
ご神体を安置する場所や建物のことで、神社で最も大切な場所です。
そのため、社殿の一番奥にあります。
本殿は基本的に神職の方しか入ることができません。
ご神体(ごしんたい)とは、神様が宿るとされる物体のことで、礼拝の対象となります。
猫やキツネなど動物が姿を変えたもの、石や木、海や山など自然界にあるものなど多種多様です。
拝殿とは?
読み方は「はいでん」です。
本殿を拝むための場所で、本殿の前にあります。
参拝者は拝殿の前にある賽銭箱のところで参拝します。
但し、祈祷を受ける場合は拝殿の中に入ります。
また、本殿・拝殿とならび、社殿の中心的な建物に「幣殿」があります。
幣殿とは?
読み方は「へいでん」です。
出典:根津神社公式サイト
神様へお供え物をしたり、祝詞を奏上(そうじょう・神様に申し上げること)する場所で、拝殿と本殿の間にあります。
拝殿と本殿を繋ぐ場所にあり、幣殿の奥が本殿なので、基本的に神職の方しか通ることができません。
祝詞(のりと)とは、神職が神様に対して唱える言葉です。
私たちが普段お参りをするのは「拝殿」で、その奥に「幣殿」があって、さらに奥に「本殿」があるのが一般的です。
その他の社殿
神社には上に紹介した以外に「神楽殿」「神饌殿」「宝物殿」などの建物があります。
ほかの社殿について説明いたします。
神楽殿とは?
読み方は「かぐらでん」です。
「舞殿(ぶでん・まいどの)」ともいいます。
神楽や舞楽を奉納するための建物です。
神楽(かぐら)とは、神事の際に神様にお仕えする巫女によって奉納される舞や歌のことです。
舞楽(ぶがく)とは、舞をともなった雅楽(ががく・日本の古典音楽)のことです。
中国大陸から日本に伝わった舞や音楽が、もともと日本にあった歌や舞と融合し、平安時代(794年~1185年)に宮中の儀式で奉納される舞楽として成立しました。
舞楽は日本各地に広まり、その土地の特色を取り入れ、独自の芸能として受け継がれています。
神饌殿とは?
読み方は「しんせんでん・みけどの」です。
「神饌所(しんせんしょ・みけしょ)」ともいいます。
神饌を調理する場所です。
神饌(しんせん)とは、神様にお供えする食べ物のことです。
宝物殿とは?
読み方は「ほうもつでん」です。
宝物を大切に保管しておくための場所です。
国の重要文化財や、神社の由緒や歴史を記したもの、奉納品など、さまざまなものが保管されており、参拝者に一般公開している神社も多いです。
神社にはすべての社殿があるわけではない
神社にはすべての社殿があるわけではありません。
本殿がない神社
出典:大神神社公式サイト
本殿がない神社では、奈良県桜井市の大神神社が有名です。
大神神社のご神体は三輪山(みわやま)で、拝殿から三輪山を拝むことができます。
拝殿がない神社
拝殿がない神社では、三重県伊勢市の伊勢神宮が有名です。
神社によっては神楽殿、神饌殿、宝物庫がないことがあります。
幣殿がない神社
出典:出雲大社公式サイト
幣殿がない神社では、島根県出雲市の出雲大社が有名です。
出雲大社では拝殿と本殿が別々の建物になっています。
社殿がない神社
社殿がない神社を「無社殿神社(むしゃでんじんじゃ)」といいます。
有名なのは和歌山県の熊野地方です。
熊野地方では自然そのものをご神体とする神社が多くあり、灯篭だけ、柵だけ、鳥居だけなど、社殿のない無社殿神社が複数あります。
飛瀧神社(ひろうじんじゃ)
那智の滝をご神体とする無社殿神社
河内神社(かわうちじんじゃ)
河内島をご神体とする無社殿神社
神戸神社(こうどじんじゃ)
森そのものが神社で、木をご神体とする無社殿神社
などがあります。
「本殿」「社殿」「拝殿」などの違いがわかりましたね。
すべての神社に「本殿」「社殿」「拝殿」などがあるわけではありません。
それぞれどのような建物なのか、普段はあまり気にせずお参りしている人も多いと思いますが、お参りの際にはその神社の建物に注目してみると新しい発見があるかもしれませんよ。
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