時代劇で火打石をカチカチ打ち鳴らすのはなぜ?切り火(鑽火)の意味とは?

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時代劇を見ていると、家を出ていく人の背中にむかって、火打石をカチカチ打ち鳴らすシーンがありますよね。

火打石は火をつけるための道具なのですが、そんなものを人の背中に向かって打ち鳴らしたら火がついてしまうのでは?と心配になってしまいますが、どのような意味がるのでしょう?

今回は火打石をカチカチ打ち鳴らす意味について解説します。

 

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目次

火打石とは?

火打石の読み方は「ひうちいし」で、火をつける際に用いる道具です。

火打石は、火打金(ひうちがね)という鋼鉄片と火打石(石英、黒曜石、メノウなど)を打ち合わせることで火花が出るようになっています。

その火花を火口(ほくち・燃えやすい燃料のこと)に着火させることで火を起こします。

日本武尊

火打石は、日本最古の歴史書とされる古事記(こじき・712年)にも登場します。

東国の平定を命じられた日本武尊(やまとたけるのみこと)は、焼津で火責めにあった際、草薙の剣で周囲の草を薙ぎ払い、叔母の倭媛(やまとひめ)から授かった火打石によって迎え火を起こして難を逃れたとされています。

 

火打石は昔は大変貴重なもので、身分の高い人や裕福な人だけが使っていたようです。

江戸時代(1603年~1868年)になると、庶民の間にも普及し、煙管(きせる)の着火や、かまど、行灯(あんどん・照明器具)などの着火に用いられるようになりました。

 

火打石をカチカチ打ち鳴らすのはなぜ?切り火(鑽火)の意味とは?

火打石をカチカチ打ち鳴らすことを「切り火(鑽火)(きりび)」といいます。

 

火打石は、火をつける道具としてだけではなく、古くから厄除けや邪気払い、縁起かつぎの道具としても使われてきました。

また、火は古くから神聖なもの、清浄なものとされ、邪気など悪いものは火を嫌うと考えられていました。

火花

火打石から出た火花は「生まれたての火で穢れ(けがれ)ていない」ということから、厄除けやお清めなどに効果があるとされ、江戸時代のころから庶民が縁起かつぎのため、家を出ていく人に

「無事に帰ってきますように」

「良くないことが起こりませんように」

「縁起の良いことが起こりますように」

と願いを込め切り火を行っていたのです。

 

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切り火(鑽火)のやり方

「切り火(鑽火)」のやり方は以下のとおりです。

利き手に火打石を持ち、もう片方の手で火打金を水平に持ちます。
出かける人の背中の右肩や、清めたい場所の近くに火打石と火打金を持った手を近づけます。
火打石で火打金の縁を削り取るように、勢いよく前方に向かって2回~3回打ち付けて火花を散らします。
この時、火打金はなるべく動かさず、火打石だけを勢いよく動かします。

右肩に切り火を行う明確な理由は定かではありませんが、「運気が右肩上がりになりますように」という考え方があるようです。

時代劇でよく見るシーンですが、現在でも、伝統を重んじる歌舞伎役者や落語家、危険な作業に従事する大工やとび職など、毎朝切り火を行う習慣が残っているそうですよ。

 

切り火(鑽火)

 

火打石をカチカチ打ち鳴らす理由がわかりましたね。

伝統的な職業や、危険な作業に従事する職業の人たちは、現在でも切り火を行っているのですが、大事な試合や試験があるからとか、旅行に出かける際の安全祈願のためなど、一般のご家庭でも切り火をする人はいらっしゃるようです。

火花が散るので、人に触れるほど近くや燃えやすいものに向かって切り火を行うことは控えましょう!

 

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