ゴールデンウィークやお盆休み、夏休み、年末年始休暇など、長期の休みがあると「帰省」するという人は少なくないですよね。
「帰省」に似たような言葉に「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」というものがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
今回は「帰省」「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」について詳しく解説いたします。
「帰省」の意味と読み方とは?
読み方は「きせい」です。
「省」は「しょう」と読むことが多いので、「きしょう」と読む人もいますが、間違いです。
「帰省」の意味は、一時的に故郷に帰ることです。
故郷とは、自分が生まれ育った場所、両親がいる場所のことです。
しかし、もともとの意味は違いました。
「省」という漢字には、見舞う、安否を問うなどの意味がありました。
そのため「帰省」は
●故郷に帰って父母の安否をうかがうこと
●故郷に帰って父母を見舞うこと
という意味で使われていました。
時代の変化とともに父母の安否をうかがったり、見舞ったりという意味が薄れてきて、現在のように「一時的に故郷に帰る」という意味で使われるようになりました。
「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」の意味
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
帰郷
読み方は「ききょう」です。
「郷」という漢字には、故郷(ふるさと・こきょう)、里(さと)などの意味があります。
里には「その人が生まれ育った家」という意味があります。
そして、故郷へ帰ること全般を「帰郷」といいます。
もともとは帰省と同じ「一時的に故郷に帰ること」という意味と、「故郷に帰ってそこに住むこと」という意味のどちらも使われていました。
現在は「一時的に故郷に帰ること」という意味が薄れ、「故郷に帰ってそこに住むこと」という意味で使われることが多いです。
里帰り
読み方は「さとがえり」です。
この場合の「里」とは、「その人が生まれ育った家」のことを指し、もともと「里帰り」は、「結婚後に初めて女性が実家に帰ること」を意味していました。
ほかにも
●婚礼から数日後に新婦が実家に帰ること
●新婚夫婦が新婦の実家に無事に婚礼の儀式が終わったことを報告しに行くこと
●既婚女性が実家の冠婚葬祭や正月、祭など祝い事で帰ること
●既婚女性が田植えの時期に実家を手伝うために帰ること
なども「里帰り」といいました。
現在は「既婚女性が一時的に実家に帰ること」を「里帰り」ということが一般的になっています。
また、実家から離れた場所に住んでいる人が一時的に実家や故郷に帰ることという意味で使うこともあり、「里帰り」の使い方は広がっています。
実家に帰る
読み方は「じっかにかえる」です。
もともと「実家」という言葉の対象は限られていました。
入婿(いりむこ・男性が女性の籍に入ること)、嫁、養子など他家に暮らす人にとって「自分が生まれた家」を指す言葉でした。
現在は、入婿・嫁・養子だけではなくすべての人が「自分が生まれた家」や「実の父母が住んでいる家」のことを「実家」と言うのが一般的です。
たとえば、成人後も親と同居している子どもが「実家暮らし」と言ったり、結婚後に夫婦で引っ越した男性が実の父母が住んでいる家のことを「実家」と言ったりします。
よって、「実家に帰る」とは、「自分が生まれた家や、実の父母が住んでいる家に帰る」という意味で使います。
一時的に帰るだけでなく、そのまま実家に住む場合にも「実家に帰る」と言います。
「帰省」「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」の違い
「帰省」「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」の違いをまとめると
●帰省
一時的に故郷に帰ること
●帰郷
故郷に帰ってそこに住むこと
●里帰り
一時的に既婚女性が実家に帰ること、実家から離れた場所に住んでいる人が一時的に実家や故郷に帰ること
●実家に帰る
自分が生まれた家や、実の父母が住んでいる家に帰ること
というとになります。
「帰省」の意味と読み方や、「帰郷」「里帰り」「実家に帰る」との違いがわかりましたね。
どの言葉も、もともとの意味が時代の流れとともに変化して、今のような使い方になったのですね。
家族の在り方や、生活スタイルの変化などが大きく関係しているのでしょう。
長期間の休暇を利用して帰省する人が多いですが、故郷や実家が近い人は毎週末帰省することもあるようです。
帰省先で楽しい時間を過ごせると良いですね!
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