秋の楽しみは様々ですがその中でも美しい色合いで目を楽しませてくれるものに「紅葉狩り」があります。
ではなぜ「狩る」という言葉が使われているのでしょうか?
紅葉狩りの意味と由来、行事食などについて解説します。
紅葉とは?
紅葉の読み方は「もみじ」と「こうよう」の二種類があり、それぞれ意味が異なります。
「紅葉(もみじ)」は、楓(かえで)の別名として使われています。
詳しくは後ほど解説いたします。
「紅葉(こうよう)」は、秋から冬にかけて葉っぱの色が赤くなる現象のことです。
葉っぱの色が変わるのは「落葉樹(らくようじゅ)」という種類の木々で、秋から冬にかけて寒暖差が激しくなると赤く染まり、冬を前に葉を落とす性質があります。
紅葉(もみじ)は落葉樹なので秋に赤くなります。
なぜ紅葉狩りなの?「狩り」の意味と由来とは?
「紅葉狩り」の場合、「こうようがり」とは読まず「もみじがり」と読みます。
「紅葉狩り(もみじがり)」とは、山や野に紅葉を見に出かけること、色づいた紅葉を見て楽しむことを意味しています。
「狩り」とは、もともとは獣を追い立てて捕まえるから、野鳥や小動物を捕らえる意味がありました。
そこから「ぶどう狩り」や「いちご狩り」のように果物を採るという意味でも使われるようになり、さらに紅葉など草花を眺めるという意味にも用いられるようになったのです。
「紅葉狩り」の由来は諸説あります。
●狩猟の意味での狩りをしない貴族が、狩猟と同じようにわざわざ足場の悪い山まで行って自然を愛でることから「狩り」というようになったという説。
●平安時代(794年~1185年)の貴族が、紅葉を鑑賞する時に「狩りに行く」と洒落で言ったことが由来という説。
●紅葉(もみじ)や草花を手折り(たおり・手で折り取ること)、手に取って眺めることを「狩り」と言ったことが由来という説。
「紅葉狩り」の歴史は古く、奈良時代(710年~794年)から平安時代(794年~1185年)ごろに貴族の間で始まったといわれています。
庶民の間に広まったのは江戸時代(1603年~1868年)中期ごろといわれており、お酒やお弁当を持って紅葉狩りに行き、美しい景色を眺めながらお酒や食事を楽しんだそうです。
現在、お花見と呼ばれている春の桜を愛でる催しも、以前は「桜狩り」と呼ばれていた時期もあるそうです。
なぜ葉っぱが赤くなるの?
紅葉の葉が赤く色づく原因は、葉の中に含まれる色素「アントシアニン」によるものです。
アントシアニンは春から夏にかけての気温が高い時期は葉の中には存在しません。
気温が高い夏の間は「クロロフィル」という成分によって光合成を行っているため、葉は緑色をしています。
しかし、秋になり気温が下がったり、太陽の光が弱まったりすると光合成で作られた糖が葉から枝へ運ばれなくなってしまい、糖はそのまま葉にとどまります。
そして、光合成によって作られたタンパク質が、葉にとどまった糖と化学反応を起こしてアントシアニンを作り、葉が赤く色づくのです。
紅葉(こうよう)に必要な条件は3つあります。
① 夜間の急激な冷え込み(昼夜の温度差)
夜間急激に冷え込み、最低気温が8℃を下回ると紅葉が始まり、最低気温が5、6℃になると一気に色づきます。
昼間と夜の気温差が15℃あると紅葉が美しくなるといわれています。
糖は太陽の光を浴びている日中に作られて、気温が高いうちはエネルギーとして次々に消費されます。
しかし、夜の気温が下がって寒さが厳しくなると、糖の消費は鈍くなり、朝になっても糖が多く残ってタンパク質と化学反応を起こしてアントシアニンが作られ、葉が赤くなっていきます。
② 適度な湿度
乾燥しすぎると葉が枯れてしまうので、適度な湿度が必要です。
③ 夏から秋にかけての日照時間
夏から秋にかけて日照時間が長いと紅葉がより鮮やかになるといわれています。
光合成によって糖やタンパク質が作られますが、日照時間が短いと十分な光合成ができず、その結果アントシアニンも十分に作られないため、赤く色づかなくなってしまうのです。
このように紅葉するための条件があるため、いつから紅葉が始まるのかはその年によって異なります。
紅葉(もみじ)と楓(かえで)の違いとは?
紅葉(もみじ)の他に「楓(かえで)」という言葉もありますよね。
どのような違いがあるのでしょうか?
まず、植物学的な分類では、「紅葉(もみじ)」と「楓(かえで)」を区別する定義はありません。
どちらもカエデ科カエデ属の植物であり、どちらも「カエデ」と呼びます。
しかし、園芸や盆栽の世界では明確に区別されており、葉の切れ込みの数や切れ込み具合によって呼び分けられています。
おおまかには、葉の切れ込みが深く多いものは「もみじ」、切れ込みが浅く少ないものは「かえで」と呼ばれています。
「もみじ」と「かえで」を区別するのは日本ならではの表現ですが、英語でも通常「maple」と表記されるカエデも、イロハモミジのように切れ込みの深いものの事は特に「Japanese maple」と表記されるようです。
「紅葉(もみじ)」の語源は、ベニバナなどの染料を揉(も)み出す「揉み出づ(もみいづ)」だといわれています
秋になり「紅葉(もみじ)」の葉が赤や黄色に染まっていく様子が、染料を揉み出して布を染める様子に似ているので「揉み出づ」を略して「もみつ」や「もみづ」というようになったと考えられています。
その後、「もみつ」や「もみづ」が名詞化して「もみち」となり、「もみち→もみぢ→もみじ」に変化したといわれています。
一方、「かえで」の語源は蛙(かえる)が関係しているようです。
「かえで」は、葉の形が蛙の手に似ていることから「蛙手(かへるて)」と呼ばれており、それが変化して「かへるで→かえんで→かえで」と呼ばれるようになったといわれています。
紅葉狩りには何をする?
すでに説明したように、紅葉狩りは山や野に紅葉を見に出かけること、色づいた紅葉を見て楽しむことを意味しています。
しかし、「紅葉狩り」という言葉から、何かを狩ったり、獲ったりすることを想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。
何かを狩ったり、獲ったりすることはなく、紅葉を見ることが「紅葉狩り」です。
紅葉を見るついでに、
・ハイキングをする
・ピクニックをする
・サイクリングをする
・散歩をする
・ドライブをする
・温泉に行く
・登山をする
など、「紅葉狩りをしながら何かをする」という人は多いようですね。
紅葉狩りの食べ物は何?
紅葉狩りの食べ物は特に決まっていません。
紅葉シーズンに旬を迎える食材を使ってお弁当を作って持って行ったり、紅葉狩りの途中で旬の食材を使って料理をするお店に立ち寄ると良いですね。
紅葉シーズンに旬を迎えるのは・・・
・新そば
・栗
・サンマ
・サツマイモ
・松茸(まつたけ)
・梨
・柿
・ぶどう
・銀杏(ぎんなん)
などなど
紅葉が綺麗な県はどこ?
紅葉が綺麗な県といえば、京都府、次いで栃木県だといわれています。
紅葉名所ランキングでも京都府と栃木県は上位に入っており、「日本三大紅葉名所」にも選ばれています。
「日本三大紅葉名所」は以下のとおりです。
京都府京都市の嵐山
嵐山は四季折々の美しさをみせる京都屈指の名勝で、紅葉シーズンも多くの観光客で賑わいます。
栃木県日光市の日光エリア
日光エリアには、日光いろは坂や中禅寺湖、日光東照宮など全国的に有名な紅葉スポットがあります。
大分県中津市の耶馬渓
川の水により侵食されてできたといわれる渓谷で、奇岩と紅葉を楽しむことができます。
紅葉名所ランキング!
日本各地に紅葉スポットがありますが、そのなかでも名所と呼ばれる場所をランキングしてみました!
いずれの場所も、毎年多くの観光客で賑わいます。
1位:栃木県日光市 日光いろは坂
2位:東京都港区 明治神宮外苑いちょう並木
3位:京都府京都市 嵐山
4位:和歌山県高野町 高野山
5位:群馬県利根郡 谷川岳
6位:滋賀県高島市 メタセコイア並木
7位:山形県山形市 蔵王温泉
8位:北海道上川郡 大雪山
9位:山梨県南都留郡 河口湖畔
10位:福島県福島市 磐梯吾妻スカイライン
「紅葉」は英語でなんという?
「紅葉(こうよう)」は英語でいくつかの表現があります。
・autumn leaves
・autumn colors
・autumn foliage
・fall leaves
・fall colors
・fall foliage
英語圏で「紅葉狩り」をする習慣はありませんので、ぴったりの英単語はありません。
英語で「紅葉狩り」を表現するなら、viewing(見る)やtour(ツアー、見学、視察など)を使い、以下のようになります。
・autumn foliage viewing(紅葉を見に行く)
・fall foliage viewing(紅葉を見に行く)
・autumn leaf viewing(紅葉を見に行く)
・autumn foliage tour(紅葉を見に行くツアー)
・fall foliage tour(紅葉を見に行くツアー)
・leaf peeping(紅葉を見に行く)
様々な条件が重なる事によって見られる美しい紅葉。
秋になり、朝晩の寒暖差などで体調を崩しやすくなる季節でもありますがこの急激な温度変化こそが美しい紅葉に必要なものなのですね。
秋が深まり紅葉が見られるようになると、季節は次第に冬へと移っていきます。
冬の訪れを感じながら、美しい紅葉を楽しみましょう!
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