家庭でも手軽に作れる「南蛮漬け」、宮崎県名物の「チキン南蛮」、そば屋さんでお馴染みの「鴨南蛮」。
食材も調理方法も異りますが、すべて「南蛮」が入ります。
これらの料理に共通する「南蛮」にはどのような意味があるのでしょうか?
南蛮漬けやチキン南蛮、鴨南蛮の「南蛮」の意味とは?
もともと「南蛮」とは、中国大陸を統治した朝廷が異民族に対して用いた蔑称で、日本でも同じ意味で用いられていました。
しかし、16世紀~17世紀ごろの「南蛮貿易(なんばんぼうえき)」が始まってからは、ヨーロッパや東南アジア、スペイン、ポルトガルの人や外国のものを指す言葉となりました。
料理に名付けられた「南蛮」の意味は以下のとおりです。
南蛮漬け
魚や肉などを油で揚げ、ネギや玉ねぎ、唐辛子と一緒に甘酢漬けにした料理のことです。
ネギや玉ねぎ、唐辛子入りの甘酢のことを「南蛮酢」と呼びます。
「南蛮」は、ポルトガルやスペインのことを指し、それらの国から伝わってきた調理法が当時の日本にはなかった新しい調理法だったことから、「南蛮漬け」と名付けられたようです。
チキン南蛮
宮崎県発祥の鶏肉料理です。
鶏肉に小麦粉を振り、卵液を絡めたものを油で揚げ、「南蛮酢」に浸した料理のことです。
上からタルタルソースをかけたものが有名ですが、タルタルソースが無くても上記の調理法であればチキン南蛮と呼びます。
南蛮酢に漬けるので「チキン南蛮」と名付けられたそうです。
鴨南蛮
鴨肉とネギが入った温かいそばのことです。
鴨肉以外に、鶏肉を使用することもあり、一般的には「かしわ南蛮」や「鶏南蛮」と呼びますが、「鴨南蛮」と呼ぶこともあります。
また、ただ単に鴨南蛮といえば、そばのことを指しますが、そばとうどん両方を提供するお店では、「鴨南蛮うどん」と「鴨南蛮そば」と表記して区別することもあります。
鴨南蛮の「南蛮」は「ネギ」のことを指します。
江戸時代(1603年~1868年)に来日した南蛮人(主にヨーロッパ、東南アジア、スペイン、ポルトガルなどの人)が健康保持のためにネギを好んで食べていたことが由来しています。
鴨南蛮の場合の「南蛮」は南蛮酢ではなくネギのことを言うのですね!
英語で何て言う?
英語圏には南蛮漬け、チキン南蛮、鴨南蛮がありませんので、説明すると以下のようになります。
南蛮漬け
●Fried fish or meat, marinated
(揚げた魚や肉のマリネ)
チキン南蛮
●Fried chicken with vinegar and tartar sauce.
(酢やタルタルソース付きの揚げた鶏肉)
●Marinated fried chicken with tartar sauce.
(タルタルソース付きのマリネされた揚げた鶏肉)
鴨南蛮
●Noodles with duck meat and welsh onions.
(鴨肉とネギが乗った麺類)
「南蛮」とは、ポルトガルやスペインなどの外国のことだったのですね。
それまでの日本にはなかった料理に、「外国から伝わってきたもの」という意味を込めて名付けたのですね。
チキン南蛮発祥の地とされる宮崎県延岡市では「チキン南蛮」を使って町おこしなどが行われているそうですよ。
発祥の地のチキン南蛮、是非食べてみたいですね!
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