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日本の入学が9月でないのはなぜ?導入のメリット・デメリット

      2020/05/02

日本では、4月入学ですよね。

しかし、世界を見てみると9月入学の国が多いようです。

入学が9月になることで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

今回は日本の入学はなぜ9月ではなく4月なのか、またそれに伴うメリット・デメリットについて調べてみました。

 


日本の入学が9月ではないのはなぜ?

江戸時代や明治時代初期のころ、子どもたちは家の仕事をする大切な労働力だったことや勉強の進み具合がそれぞれ異なったため、全員が一斉に入学したり進級したりすることはありませんでした。


 

しかし、明治11年(1878年)に日本で最初の国立大学(現在の東京大学)ができると、西洋に倣(なら)って9月に全員が一斉に入学、一斉に進級したほうが良いということになり、9月が始まりで8月が終わりの「学校年度」が出来ました。

 

しかし、明治19年(1886年)になると「会計年度」というものが教育現場にも取り入れられるようになりました。

「会計年度」とは、日本の主産業である稲作を基準としたもので、4月が始まりで3月が終わりです。

 


 

会計年度がなぜ4月~3月なのかというと、この頃、政府の税金収入源はお米でしたが、秋にお米を収穫して、そのお米を現金に換えてから納税するため時間がかかり、一年の始まりを1月にするには納税が間に合わず、4月にするとタイミングが良かったのです。

また、この頃世界一の経済力を誇っていたイギリスの会計年度が4月で、日本にとって重要な国だったイギリスに倣って会計年度を4月にしたそうです。

 


 

そして、明治の終わりごろになると、政府は会計年度と学校年度の統一を積極的に指導するようになり、国から補助金をもらっている学校は、学校の運営に必要なお金を調達するには会計年度にあわせないと不便だったこともあり、次々に会計年度にあわせていきました。

昭和になるとほぼすべての学校が4月に始まり3月に終わるようになっていたそうです。


世界の入学は何月?

厳密にいうと、同じ国内でも地域や学校によって異なりますが、おおよそ以下のようになっており、日本のような「入学式」や「始業式」がないところもあります。

1月・・・シンガポール

1月~2月初め・・・ニュージーランド、オーストラリア、ブラジル

3月・・・韓国、ペルー

4月・・・パナマ、日本

5月・・・タイ

6月・・・フィリピン

8月・・・フィンランド

9月・・・アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、トルコ、ベルギー、ロシア、中国、モンゴル、ブルガリア、

10月・・・カンボジア、ナイジェリア


日本の入学を9月にするメリットとは?

令和2年(2020年)4月には、本来でしたら多くの子どもたちが入学や進学をする予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で新学期を始めることができずに臨時休校が続き、各地の知事が「9月に入学式をしてはどうか?」という意見が出ています。

入学式を9月にするメリットは以下のとおりです。

 

●学力が保障される

日本各地の学校で臨時休校が続き、緊急事態宣言が延長されたり、宣言解除が地域によって異なった場合、学校の再開時期も統一されないということになり、学習の進み具合や学力の偏りが懸念されます。

しかし、すべての学校を9月スタートにすることで、地域差をなくすことができます。

 

 

●中止になった学校行事などを行える

新型コロナウイルスの影響で入学だけではなく、修学旅行や体育祭、部活の大会など、子どもたちにとって一生の思い出になるイベントが中止や延期になっています。

9月スタートにすることで、それらの学校行事を行うことができる可能性があります。

 

 

●留学しやすくなる

世界では、9月に入学式をする国が多く、9月スタートは国際標準・世界標準ともいわれています。

そのため、日本から海外へ、海外から日本へ留学する際、待機期間ができてしまうという問題がありました。

日本も9月スタートにすれば、留学しやすくなり、海外からも優秀な学生が集まり、日本の大学のレベルアップにつながるともいわれています。

 

 

●入試の時期に雪が降らない

4月スタートの現在、入試は冬に行われているため、雪の影響で交通機関が乱れることによって受験トラブルが起こっていますが、9月スタートになれば入試が春から夏に行われることになり、天候に左右されづらくなります。

 

 

●入試の時期に感染症の心配が減る

冬はインフルエンザや風邪など、感染症にかかりやすくなっているため、受験生やその保護者たちは普段以上に気を付けていますし、どれだけ気を付けても感染症にかかってしまうこともあります。

しかし、9月スタートにして入試を春から夏に行えば、感染症の心配が減ることになります。


日本の入学式を9月にするデメリットとは?

入学式を9月にすると、メリットばかりではなくデメリットもあり、反対意見もでています。

 

●就職の際、混乱が生じる

日本では4月が年度初めであり、4月入社が一般的に定着しています。

それにあわせて学生も企業も準備をしているため、9月入学、8月卒業となると調整が必要になり混乱が生じるといわれています。

 

 

●教育現場が混乱するのではないか

「9月スタートにしてはどうか」という意見が出たのは、令和2年(2020年)4月末のことですから、同年9月に入学式をするとしたら準備期間は4か月しかありません。

授業や学校行事のスケジュールはもちろん、受験対策や就職対策など、さまざまな準備が間に合わず教育現場が混乱するかもしれません。

 

 

●習慣が変わることへの心配

入学式は桜のシーズンであり、春は別れと出会いの季節だというイメージが強く、3月に終わって4月に始まることは、多くの人の習慣になっています。

その習慣を変えることに対して国民の理解が得られるかどうかという声があります。

 

 

●学費や生活費、家賃などの心配

学校によって4月の入学前に一年分の学費を納めている場合、9月スタートになることでその間の学費を学生側が負担するのか、学校側が負担するのかなど問題もあります。

また、実家から離れている子どもたちの生活費や家賃も、9月スタートになる場合は当初の予定より半年分多くかかることになり、経済的負担がかかるという問題があります。

 

 

明治時代の日本は、9月に入学式が行われていたのですね!

しかし、現在の日本人は4月に入学式というのが当たり前ですし、桜の季節は出会いと別れの季節だというイメージも強いです。

新型コロナウイルスの影響で入学式を9月にすれば良いのでは?という意見が出ていますが、メリットとデメリットがありますので慎重に検討して決めないといけません。

子どもたちが、少しでも早く安心して勉強や遊びができるようになると良いですね。

 

関連:新年度・年度初めはなぜ4月なの?

 



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