
ドラマや映画などで「お百度参り」の場面を見たことはありますか?
お百度参りとは、どういうものなのでしょうか?
お百度参りのやり方や効果や、人に言うとどうなるのかなどについて解説します。
お百度参りとは?
読み方は「おひゃくどまいり」です。
一般的には「お百度参り」ですが、
- 正式名称は「百度参り(ひゃくどまいり)」
- 略して「お百度(おひゃくど)」
ということもあります。

お百度参りとは、神社やお寺で願い事を叶えてもらうために百度(100回)お参りをすることです。
日本に古くからある民間信仰のひとつで、真心を込めて何度もお参りを繰り返すことで神仏に願いが届き、成就するといわれています。
お百度参りを「呪い」だと勘違いする人もいますが、神仏への願掛けであり、誰かを不幸にするための呪いとは無関係です。
お百度参りの由来や歴史とは?
お百度参りの由来は「百日詣で(ひゃくにちもうで)」です。
百日詣でとは、氏神様(自分が住む地域を守る神社)や、有名な神社・お寺に百日間毎日お参りをすることです。
しかし、百日間毎日続けることが困難だったり、願いを叶えるまで百日も待てない場合もあるため、いつしか簡略化され、一日に百度お参りするようになりました。
その結果、
- 一日に百度お参りをする
- 百日間毎日一度お参りをする
の2種類のやり方があります。
「百日詣で」が「お百度参り」と呼ばれるようになった時期ははっきりしていません。
ただし、鎌倉時代(1185年~1333年)の歴史書「吾妻鏡(あづまかがみ)」には、『鶴岡八幡宮に「百度参り」をした』という記述があります。
吾妻鏡は1180年~1266年までの出来事をまとめた書物なので、鎌倉時代初期にはすでに「お百度参り」を呼ばれていたと考えられています。

江戸時代(1603年~1868年)になると、お百度参りは庶民の間で広まり、病気平癒や恋愛成就、商売繁盛など日常の願いを叶えるために盛んに行われていたようです。
明治時代(1868年~1912年)になると、西洋文化の導入や生活様式の変化によって神社やお寺に行く機会が減り、お百度参りをする人も減りました。
昭和(1926年~1989年)の戦時中には、戦地へ赴いた家族の無事を祈るためにお百度参りをする人が増え、このころから「お百度参りは切実な願いをするもの」として広まったといわれています。
お百度参りの効果は?
お百度参りをすると以下の効果があるといわれています。
- 真心を込めて参拝を繰り返すことで、神仏に願いが届く
- ひたむきな信仰心を示し、願いを聞き届けてもらえる
- 雑念を捨て一心に祈ることで、自分自身と向き合える
そのため、病気平癒、恋愛成就、合格祈願、安産祈願など、「どうしても叶えたい願い」についてお百度参りを行うことで、祈りが通じ、願いが叶うといわれています。
お百度参りのやり方
お百度参りの一般的なやり方を説明します。
神社やお寺によってやり方が異なることもありますので、お百度参りを行う際には確認してから行いましょう。
すでに説明したとおり、お百度参りには以下の2種類のやり方があります。
- 一日に百度お参りをする
- 百日間毎日一度お参りをする
どちらを選んでも効果は同じといわれています。
それは、お百度参りの本質が「真心を捧げる」ということであり、どちらの方法を選んでもその価値に優劣はないと考えられているからです。
準備編
お百度参りで事前に準備することは以下の通りです。
1. どちらのお参り方法か決める
一日に百度お参りするのか、百日間毎日一度お参りをするのかを決めます。
願いを叶えるまで百日も待てない・遠方の神社やお寺にお参りをする場合などは、一日に百度お参りをすると良いでしょう。
願いを叶えるまで百日かかっても良い・家の近くの神社やお寺に行くのなら、百日間毎日一度お参りをしても良いでしょう。
2. 何回お参りするか決める
具体的な数の百回という意味のほかに「数が多いという意味の百」と解釈することもあり、神社やお寺によっては「自分が決めた回数お参りすれば良い」としていることもあります。
そのため、お百度参りを始める前に自分が何回お参りをするのか決めておきましょう。
以下のパターンのいずれかになります。
- 「百日間毎日お参りをする」
- 「決めた日数毎日お参りをする」
- 「一日で百回お参りする」
- 「一日で決めた回数お参りする」
3. 参拝する神社やお寺を決める
お百度参りは、氏神様や古くから「願いが叶う」と多くの人に信じられている、有名な神社やお寺に行くのが一般的です。
本来、お百度参りを行う場所について、「願い事の内容による区別」というものはありません。
しかし、ご自身の願いに合わせた「ご利益」がある 神社やお寺を選んで、お参りをする方も多くいらっしゃいます。
お百度参りで有名な神社やお寺は以下のとおりです。
●石切劔箭神社(大阪府東大阪市)

できものを治してくれる「腫れ物の神様」として有名で、腫瘍、がんなど病気平癒のご利益があり、難病や悪縁を断ち切るといわれています。
また、神社の名前の「石切劔箭(いしきりつるぎや)」には「強固な岩をも切り裂き貫くほどの力がある」という意味があり、ご祭神(ごさいじん・祀られている神様)の力が強大なことを表しています。
そのため、腫瘍やがんの手術を控えている人やその家族、悪縁を断ち切りたい人などがお百度参りをします。
神社が「お百度紐」を準備していて、お百度参りをする人を支える仕組みが整えられていることで、全国的に有名です。
「お百度紐」は、境内にある授与所か崇敬会館で入手することができ、金額は「お気持ち」を賽銭箱に入れます。
外部リンク:お百度参りについて|石切劔箭神社
●成田山深川不動堂(東京都江東区)

厄除けで有名な成田山新勝寺の東京別院です。
成田山深川不動堂は厄除けや病気平癒の祈願のためにお百度参りをする人が多いです。
境内に「お百度石」と「お百度不動尊」があり、この間を100回往復するのが成田山深川不動堂のお百度参りの作法となっています。
また、稲荷社務所(御札場)では回数を数えるための紙の束が貸し出されていて、お百度参りをする人を支える仕組みが整えられており、全国的に有名です。
外部リンク:お百度参り|成田山深川不動堂
●一畑山薬師寺(島根県出雲市)

「目のお薬師様」として全国的に信仰されています。
平安時代から続く1100年以上の歴史をもつお寺で、薬師信仰の総本山です。
お薬師様とは薬師如来のことで、病気を治す仏として有名です。
薬師本堂を時計回りに100周するのが一畑山薬師寺のお百度参りのお作法となっています。
公式サイトでもお百度参りのことが詳細に説明されており、全国的に有名です。
外部リンク:お百度 | 一畑薬師(総本山一畑寺)
これらの寺社は、病気平癒の祈願のために、お百度参りをする人が多いですが、それ以外のさまざまな願い事でお参りしても差し支えありません。
4. お参りの回数を数えるための物を準備する
百回もお参りをしていると、途中で回数がわからなくなってしまいます。
お参りの度にカウントできるよう、小石や紙縒り(こより)、竹串などを準備します。
神社やお寺によっては、 専用の「数え札」や「お百度紐」が 用意されている場所もあります。
お百度参りのルール
お百度参りには以下のルールがあります。
1. 声を出してはいけない
お百度参りをしている最中は、願い事に集中し、祈ることにだけ気持ちを向けるために声を出してはいけないといわれています。
願い事も声に出さず、心の中で唱えるようにします。
携帯電話の電源は必ず切るなどして、集中できる環境を作りましょう。
2. 白装束や裸足でなくても良い
古くからの正式なやり方は白装束と裸足でした。
現在は安全面に配慮した格好が推奨されており、神社やお寺を参拝する際の普段通りの服装や、百回お参りを繰り返すために動きやすい服装などで行います。
また、裸足だと石やガラスなどを踏んで怪我をすることもあるので靴を履いて行いましょう。
3. 時間帯に決まりはない
ご自身の都合や、体調に合わせて無理のない時間を選んで大丈夫です。
しかし、神社やお寺によっては参拝時間が決まっていることもありますので、そのような場合は時間を守ってください。
百日間のお参りは途切れてはいけない
百日間毎日お参りをすると決めた場合、途中で途切れてはいけません。
自分で決めたお参りの回数も、途中で途切れてはいけません。
途切れた場合は、また一日目からやり直しとなります。
百日間はおよそ三カ月間です。毎日お参りに行けるかどうか、事前にしっかり考えておきましょう。
4. 願いが叶ったらお礼参りをする
お百度参りをして願いが叶ったら、その神社やお寺にお礼参りをしましょう。
願いが叶ったらなるべく早く、感謝の気持ちを込めて参拝します。
実践編
準備とルールの確認が済んだら、神社やお寺にお参りに行きましょう。
境内の入り口から本殿(神社)または本堂(お寺)まで行って祈願をして、境内の入り口に戻ってくるのを1回とカウントとします。
お百度参りのスタート地点は、神社やお寺の境内の入り口で、神社なら鳥居、お寺なら山門が境内の入り口になります。
- 一日に百度お参りをする場合は、一日のうちに100回繰り返します。
- 百日間毎日お参りをする場合は、毎日1回行い、百日間繰り返します。
お賽銭の金額は特に決まりがありません。
●一日に百回お参りをする場合
最初のお参りの時に入れ2回目以降は入れないようにするか、1回目~99回目は入れずに最後(100回目)に入れます。
●百日間毎日お参りをする場合
初日のお参りの時に入れ2日目以降は入れないようにするか、1日目~99日目は入れずに最後(100日目)に入れます。
お賽銭の回数ではなく、お賽銭を入れる時に心を込めることが重要です。
しかし、お賽銭の小銭を100枚準備しておいて、お参りの度にお賽銭を入れて数をカウントする人もいます。
神社の参拝方法
①神社の内と外の世界を区別するための鳥居の前で一礼して境内に入ります。
②鳥居をくぐりますが、真ん中は神様の通り道なので、左右、どちらかに寄ってくぐりましょう。
③手水舎(てみずしゃ)で、手を清めて口をすすぎます。
④本殿に進み、賽銭箱にお賽銭を入れます。
⑤軽く会釈をしてから、鈴があれば振り鳴らします。
⑥「二礼二拍手一礼」の拝礼をします。 最初に二回深いお礼をし、そのあと二回柏手を打ち、最後に一礼します。
⑦お願いをするタイミングに決まりはありませんが、二拍手が終わって両手を合わせているときにするのが一般的です。
⑧本殿から下がります。
⑨鳥居の前で一礼して境内から出ます。(鳥居の外に出る)
百日間毎日お参りをする場合は、①~⑨を毎日1回行います。
※お賽銭は初日または最終日に入れます。
一日に百回お参りする場合は、
⑩回数をカウントするための小石などを置く
小石やこより、竹串などで回数を数える場合、置き場所は
- 鳥居の横
- 参道の端
- 神社が準備している百度石や箱

お百度石
など、他の参拝客の邪魔にならないような場所を選びましょう。
わからない場合は、神社の人に「どこに置けば良いのか」確認するといいでしょう。
一日に百度お参りをする場合、これで一回目のお参りが終わりです。
二回目以降は手水舎やお賽銭などを省略し、以下のように行います。
二回目以降
①鳥居の前で一礼して鳥居をくぐり境内に入ります。
②本殿に進み、軽く会釈をしてから、鈴があれば振り鳴らします。
③「二礼二拍手一礼」の拝礼をします。
④本殿から下がります。
⑤鳥居の前で一礼して境内から出ます。
⑥回数をカウントするための小石などを置く(百度目は省略)
お寺の参拝方法
① お寺の入り口にある山門(仁王門)で合掌をし一礼して境内に入ります。神社同様、中央は通りません。その後も中央は避けて通ります。
② 手水舎で手を清めて口をすすぎます。
③自由に撞(つ)いて良い鐘がある場合は、このタイミングで鐘を撞きます。
鐘を撞くのは、「これからお参りさせていただきます」という仏様への挨拶の意味があります。
鐘を撞くときの作法は
(1)鐘の前で合掌し一礼します。
(2)鐘を撞きます
(3)合掌し一礼します。
お寺によっては参拝者が鐘を撞くことができない場合もあるので、確認をしてから撞くようにしましょう。
④常香炉(じょうこうろ)または香閣(こうかく)があれば線香の煙を体に浴びます。
煙を浴びるのは体を清めるためですが、一般的に体の悪いところが良くなるといわれています。
⑤ロウソクをお供えします。
・備え付けの種火や持参したライターなどで、自分でロウソクに火をつけます。
・ロウソクは、燭台(しょくだい)の奥の上段から供えます。ルールではありませんが、他の参拝客がやけどをしないようにという配慮です。
⑥線香をお供えします。

・香炉(こうろ)がある場合は線香をお供えします。
・備え付けの種火や自分のロウソクからお線香に火をつけます。
・お線香についた火は手であおいで消します。仏教では人の息は穢れ(けがれ)ていると考えるため、息を吹きかけて消してはいけません。
・お線香は、真ん中から外側へ供えます。ルールではありませんが、他の参拝客がやけどをしないようにという配慮です。
⑤と⑥に共通すること
・他の人から火をもらう「もらい火」は、他人の業ももらってしまうといわれているので、備え付けの種火を使うか、ライターなどを持参しましょう。
・ロウソクやお線香は自宅から持参しても良いですし、お寺で購入しても良いです。ない場合は、省略しても良いです。
⑦本堂で一礼します。
⑧賽銭箱にお賽銭を入れます。
⑨鰐口を鳴らします。鰐口(わにぐち)とは、本堂の軒先に吊るされた仏具で、お参りに来たことを仏様にお知らせするものです。

鰐口
⑩姿勢を正し、目を閉じて、静かに胸の前で合掌します。数珠を持っている場合はこのときに手にかけましょう。
⑪お願い事をします。
⑫合掌をしたまま一礼して本堂から下がります。
⑬山門で合掌をしたまま一礼して境内から出ます。
百日間毎日お参りをする場合は、①から⑬を毎日1回行います。
※お賽銭は初日または最終日に入れます。
一日に百回お参りする場合は、
⑭回数をカウントするための小石などを置く
小石やこより、竹串などで回数を数える場合、置き場所は
- 山門の横
- 参道の端
- お寺が準備している百度石や箱
など、他の参拝客の邪魔にならないような場所を選びましょう。
わからない場合は、お寺の人に「どこに置けば良いのか」確認するといいでしょう。
一日に百度お参りをする場合、これで一回目のお参りが終わりです。
二回目以降は梵鐘や線香などを省略し、以下のように行います。
お寺の参拝方法 二回目以降
①お寺の入り口にある山門(仁王門)で合掌をし一礼して境内に入ります。中央は通りません。その後も中央は避けて通ります。
②本堂で一礼します。
③鰐口を鳴らします。
④姿勢を正し、目を閉じて、静かに胸の前で合掌します。数珠を持っている場合はこのときに手にかけましょう。
⑤お願い事をします。
⑥合掌をしたまま一礼して本堂から下がります。
⑦山門で合掌をしたまま一礼して境内から出ます。
⑧回数をカウントするための小石などを置く(百回目は省略)
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願い事を人に言うとどうなる?
お百度参りに限らず、日本では「願い事を人に言ってはいけない」という言い伝えがあります。
それは、以下のようにいろいろな理由があります。
- 願い事は神仏と自分だけの神聖なやりとりだから
- 願い事を否定されると迷いが生じてしまうから
- 人に話すことで満足してしまい、願い事を叶えようとする真剣さが失われてしまうから
お百度参りのことを人に言ってはいけないという決まりはありませんが、誰かに話すことで迷いが生じたり、願い事を叶えようとする真剣さが失われてしまうようであれば、誰にも言わずに最後までやり遂げたほうが良いでしょう。

お百度参りがどういうものかわかりましたね。
ドラマや映画などでは、病気になった家族のためにお百度参りをしたり、戦争に行った家族が無事に戻ってくるようお百度参りをするシーンが描かれています。
こうした姿からもわかるように、お百度参りは、ただ願い事をする行為ではなく、「どうしても叶えたい」という切実な思いを、自らの行動で神仏に伝える祈りだったのでしょう。
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