歴代の天皇陛下のことを「昭和天皇」「大正天皇」「明治天皇」のように言いますが、今上天皇のことを「令和天皇」とは言いませんし、上皇陛下のことを「平成天皇」とは言いません。
なぜ「平成天皇」や「令和天皇」とは言わないのでしょうか?
今回は天皇陛下の呼び方についてわかりやすく解説します。
「平成天皇」「令和天皇」とは言わないのはなぜ?
まず、「今上天皇(きんじょうてんのう)」とは、今現在、在位されている天皇陛下のことをいいます。
令和の現在は第126代天皇・徳仁(なるひと)陛下のことをいいます。
「上皇陛下(じょうこうへいか)」とは、退位特例法によって平成31年(2019年)4月30日に退位した、第125代天皇・明仁(あきひと)陛下の称号です。
「昭和天皇」は昭和時代に天皇だった第124代天皇のことを指します。
それだったら、平成の時代に天皇だった上皇陛下は「平成天皇」、令和の時代に天皇である今上天皇は「令和天皇」というのではないか?という疑問を抱く人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「平成天皇」と「令和天皇」とはいいません。
それは、「昭和天皇」や「大正天皇」のように「(元号)天皇」という呼び方は「諡(おくりな)」だからです。
諡とは、「諡号(しごう)」とも言い、人が亡くなったあとに、生前の徳を称えて贈る称号のことで、天皇陛下が崩御(ほうぎょ・亡くなること)されるまでは使うことができないのです。
また、諡自体に敬意が込めらているので「昭和天皇陛下」や「大正天皇陛下」のように「陛下」という称号はつけません。
諡で呼ばれるようになったのはいつから?
「(元号)天皇」という諡で呼ばれるようになったのは、一世一元(いっせいいちげん)と決められた明治時代以降です。
一世一元とは、慶応4年(1868年)に明治元年に改元したときに定められたもので、ひとりの天皇にひとつの元号ということです。
ですので「明治天皇」「大正天皇」「昭和天皇」は、それぞれ明治時代、大正時代、昭和時代の天皇の諡です。
明治時代以前は、ひとりの天皇の時代に元号が複数回変わることもあり、諡に元号は用いられておらず、縁のある人物の名前や、縁のある土地や建物などの名前が用いられることがあったようです。
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「平成天皇」や「令和天皇」とは言わない理由がわかりましたね。
今上天皇が即位されたあと、上皇陛下のことを「平成天皇」と呼んで怒られた人もいるかもしれません。
上皇陛下はご存命なのですから、そのような呼び方はしてはならないのですが「平成という時代が終わったから」と勘違いした人がいたかもしれませんね。
生前退位は約200年ぶりのことでしたから、時代が終われば「平成天皇」と呼ぶと勘違いしてしまっても仕方なかったかもしれません。
しかし、間違っていたことに気づいた後は、正しくお呼びしましょうね。
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