お客さんの前で、身振り手振りのみでひとりで何役も演じ、扇子や手拭いでさまざまな小道具を表現する「落語」。
たったひとりでほとんどその場を動かずにお客さんを惹きつける技術は、独特なものですよね。
今回は、日本の伝統芸能のひとつである、落語の起源や歴史、語源についてわかりやすく解説します。
また、寄席との違いとはなんでしょうか?
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落語の語源・由来は何?
落語は、日本の伝統芸能であり、演芸のひとつです。
演芸とは、落語だけではなく、手品や漫談、漫才、講談、パントマイムなどさまざまなものを指します。
「落語」とは、落ちのある「落とし噺(おとしばなし)」から生まれた言葉だといわれています。
「落とし噺」を略して「話」または「噺(はなし)」といいます。
また、落語を演じる人のことを「落語家」や「噺家(はなしか)」と呼びます。
「落ち」とは、物語の結末のことを指し、笑い話だけではなく怪談などの結末のことも「落ち」といいます。
落語の起源や歴史とは?
落語の起源は諸説あるようですが、一般的には江戸時代(1603年~1868年)初期に人前で辻噺(つじばなし・道端で笑い話などをしてお金を得ること)をしたのが始まりとされています。
笑い話や落とし噺を集めた本の元祖は、京都誓願寺の安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)という浄土宗の僧侶が1623年に、京都所司代の板倉重宗(いたくらしげむね)に語った話を元に作られたという「醒酔笑(せいすいしょう)」です。
醒酔笑に収録された話をもとに、現在も演じられている話が生まれていることから、安楽庵策伝は「落語の祖」ともいわれています。
江戸時代後期になると、庶民の娯楽としての江戸落語が盛んになり、明治時代(1868年~1912年)、大正時代(1912年~1926年)には三遊亭圓朝が近代落語を完成させました。

安楽庵策伝
戦後、ラジオやテレビなどのメディアが落語の普及に寄与し、現在よく知られる名人たちが輩出されてました。
平成5年(1993年)には、古今亭菊千代と三遊亭歌る多が落語四百年の歴史の中で初の「女真打(おんなしんうち・真打とは落語家の身分のひとつで、最も高いもの)」(古今亭菊千代・三遊亭歌る多)が誕生しました。
平成7年(1995年)に五代目林家小さん、平成8年(1996年)には三代目桂米朝が人間国宝に選ばれています。
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寄席との違いとは?
寄席(よせ)とは、大勢の人を寄せて(集めて)演芸を興業する小屋のことです。
江戸時代に町民文化とともに発展し、当初は「寄席場(よせば)」と呼ばれていましたが、後に「寄席」と呼ばれるようになりました。
寄席では落語や落語以外の演芸(手品や漫談、漫才、講談、パントマイム等)が行われますが、落語以外の園芸は「色物(いろもの)」と呼ばれ、落語と区別されます。

日本の伝統芸能の落語を一度見に行ってみてはいかがでしょうか?
初めての落語は、どういうものなのかわからなかったり、周りが気になったりと不安かもしれませんが、一度足を運んでみるとたくさんのお客さんが笑っていて、自分もいつのまにか話に引き込まれて笑っていることでしょう。
寄席では落語以外の演芸もたくさんありますので、初めての方は寄席に行ってみるといいかもしれませんね。
そのうち好きな落語家さんが現れたら、その落語家さんの独演会などに足を運ぶと、落語の魅力にますます引き込まれて行きますよ。
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