神社や寺院にお参りするとき、みなさんはお賽銭(さいせん)をいくら入れますか?
5円玉や10円玉などの硬貨を賽銭箱へ入れる人が多いようですが、中には「この願いは絶対に聞き届けていただきたいから!」と気合いを込めて1000円札やそれ以上の紙幣を入れる人もいるようです。
お賽銭はいくらがいいのでしょうか?
縁起のいい金額や悪い金額があるのでしょうか?
また、そもそもお賽銭にはどのような意味があるのでしょうか?
今回は、お賽銭についてわかりやすく解説します。
お賽銭の意味とは?
お賽銭とは、本来は神様や仏様に日ごろの感謝の気持ちを伝えるために奉納する金銭のことです。
しかし、いつからか願い事を叶えてもらうため、願いが叶ったときの御礼の気持ちを伝えるためにお賽銭を奉納する人の方が増えているようです。
お賽銭の「賽(さい)」には「神様や仏様から受けた福に感謝して祀(まつ)る」という意味があります。
また、「銭(せん)」は「お金」という意味ですが、お金が納められるようになったのは近代になってからといわれています。
日本で貨幣が出回り始めたのは室町時代(1336年~1573年)ごろといわれており、それ以前はお金ではなく、金や銀、お米、海や山の幸などが奉納されていました。
このころは白い紙にお米などを包んで奉納するものを「おひねり」と呼び、その名残で現在もお米や農作物などを奉納する人がいます
そして庶民にも貨幣が出回ると、神社や寺院にお賽銭が納められるようになり、自然発生的に賽銭箱が置かれるようになったといわれています。
お賽銭はいくらがいいの?
お賽銭は、祈願成就のお礼で奉納するお金です。
以前参拝したときの願い事がかなったことに対するお礼なので、大きな願い事がかなったのならそれなりの大金を、小さな願い事なら相応の金額を・・・と考えるのが一般的ですが、金額は特に決まりがありません。
そのとき自分が納めたいと思う金額を奉納しましょう。
一番大切なのは、神様や仏様への感謝の気持ちです。
縁起のいい金額とは?
お賽銭を奉納するとき、多くの人は語呂合わせで金額を決めているようです。
語呂合わせで特に有名なのは「5円玉=ご縁がありますように」ですが、ほかにもいろいろあります。
●10円(5円玉2枚)=重ね重ねご縁がありますように
●15円(5円玉3枚)=十分ご縁がありますように
●20円(5円玉4枚)=よいご縁がありますように
●25円(5円玉5枚)=二重にご縁がありますように
●40円(5円玉8枚)=末広がりにご縁がありますように
●50円(5円玉10枚)=五重のご縁がありますように
●55円(5円玉11枚)=いつでもご縁がありますように
●105円(5円玉21枚)=十分にご縁がありますように
●125円(5円玉25枚)=十二分にご縁がありますように
●485円(5円玉97枚)=四方八方からご縁がありますように
他にも・・・
21円や31円など、割り切れない数字のお賽銭は、夫婦円満や恋愛継続のお願いをするときに良い
1万円は「万円」をひっくり返すと「円万=円満」ということで万事円満に収まる
と考えられています。
さすがに、5円玉97枚を賽銭箱へ入れている人を見かけたらびっくりしてしまいそうですが・・・これは、すべて5円玉でなければいけないということはないそうです。
複数の硬貨を組み合わせて、良い語呂合わせの金額にするといいようですよ。
縁起の悪い金額・硬貨とは?
しかし、お賽銭に使ってはいけない硬貨もあります。
それは、10円玉や500円玉を使ってはいけないそうです。
●10円玉=10=とお=とおえん=遠縁=縁を遠ざける
●500円玉=これ以上大きな硬貨(効果)がない
という意味になるそうです。
複数の硬貨を使う場合も10円玉と500円玉は避けたほうが良いそうです。
しかし、
●10円玉=重縁(じゅうえん)=ご縁が重なる
という考え方もあり、お賽銭を入れる人の気持ち次第ともいわれています。
また、65円、75円、85円のお賽銭も避けた方がいいようです。
●65円=ろくなご縁がない
●75円=なんのご縁もない
●85円=やっぱりご縁がない
このように、語呂合わせでお賽銭を決める人は多いのですが、大切なのは金額ではなく神様や仏様に対する感謝の気持ちです。
小銭の預け入れが有料に!
すでにご紹介した通りお賽銭は5円玉などの硬貨で奉納することが多いです。
これまで、ゆうちょ銀行では硬貨を預け入れする際、手数料無料だったのですが、令和4年(2022年)1月17日から一定の枚数ごとに手数料がかかるようになってしまいました。
そのため、お賽銭として多くの硬貨が集まる神社やお寺では頭を悩ませているようです。
ちなみに、ゆうちょ銀行・郵便局では原則、両替はしていません。
「両替商」ではないからです。
また、もともと他の銀行では両替も預け入れも手数料がかっていたので、今までは手数料無料のゆうちょ銀行に小銭を預け入れていたようです。
有料化した理由は、硬貨を数える機械の維持コスト、硬貨の輸送や保管コスト、窓口業務の負担軽減などです。
手数料は以下の通りです。
●ATMの場合(1回の預け入れで100枚まで)
1枚~25枚=110円
26枚~50枚=220円
51枚~100枚=330円
●窓口の場合
1枚~50枚=無料
51枚~100枚=550円
101枚~500枚=825円
501枚~1000枚=1100円
以降500枚ごとに550円加算
金額ではなく硬貨の枚数で手数料が決まりので、たとえば、ATMで1円玉を25枚預けると手数料が110円、窓口で1円玉を100枚預けると手数料が550円かかり赤字になってしまいます。
窓口では50枚までは無料なのですが、お賽銭は枚数も多いで、窓口で50枚ずつ、何度も預け入れるということは現実的ではありません。
この対策として、お賽銭やお守り、お札などを電子マネーで決済できるようにした神社やお寺もあるそうです。
使える電子マネーは神社やお寺によって異なります。
賽銭箱や、授与所などにQRコードを掲示して決済できるようにしているところが多く、お賽銭の金額を1円単位で参拝者が決めることができます。
また、逆に、紙幣を硬貨に変える際にも手数料が必要なので、今まで商店などでは、お釣りに硬貨が必要なので銀行で手数料を払って両替していました。
そこで、大量の硬貨が集まる神社やお寺と、大量の硬貨が欲しい商店が、お互いに手数料なしで両替する「コインチェンジ」という新たな取り組みを始め、地域住民がお互いに協力して乗り越えようとしています。
神社やお寺が硬貨の扱いに困っていることは確かですが、「電子マネーじゃないとダメ!」とか「小銭は控えて!」と呼びかけているわけではありませんので、今まで通り気にせず硬貨で奉納して大丈夫です!
お賽銭の金額にも、いろいろな語呂合わせがあることがわかりましたね。
ただし、一番大切なのは、神様や仏様への感謝の気持ちですので、金額は深く考えなくていいです。
多くの人が「お願い事をするからお賽銭を・・・」と思っているようですが、本来は日ごろの感謝の気持ちを伝えるためのものだったということがわかりましたね。
また、お賽銭には「神社やお寺を維持するために働いている人たちのためのもの」という考え方もあるそうです。
神様や仏様に仕え、私たちが安心してお参りに行けるようにしてくださっている人たちにも、感謝の気持ちを忘れずにいたいものですね。
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コメント
コメント一覧 (1件)
ご利益とは?
どういう方にあるのでしょうか?
私の考えは、賽銭の金額ではなく、1年中、人として、いかに正しい生き方をしたかということしかないと思います。
年始だけお参りしてもご利益のある人は、世のため人のためを意識することなく
実行している人にあるのではないでしょうか?
裏を返すと年始だけお参りしても、人の道に反することなく1年1年を過ごし、常に生きていることに感謝しているひとではないでしょうか?