1月 天皇・皇室

【2023年】天皇陛下の正月祭祀「四方拝」の意味とは?やり方や呪文とは?

天皇陛下のお仕事の中に、宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)というものがあります。

宮中祭祀は、天皇陛下が国家と国民の安泰と繁栄を祈ることを目的に行われており、「四方拝」はその中でも最も重要なものといわれています。

「四方拝」は元旦に行われるものなのですが、どのようなものなのでしょうか?

「四方拝」についてわかりやすく解説します。

 

スポンサーリンク


「四方拝」の意味、やり方とは?

「四方拝」の読み方は「しほうはい」です。

元旦に行われる行事であることからもわかるように新年の季語でもあります。

関連:【俳句の作り方】初心者でも簡単!俳句を作る手順と作り方のコツ

 

宇多天皇

宇多天皇


「四方拝」は平安時代(794年~1185年)初期に始まり、宇多天皇(うだてんのう・第59代天皇、在位887年~897年)の時代に定着したといわれています。

一般公開されておらず詳細は不明ですが、以下のように執り行われるそうです。

 

元旦の早朝5時30分、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)をまとった天皇陛下が、宮中三殿に付随する神嘉殿(しんかでん)の南庭に設けられた御座(ぎょざ)で、伊勢神宮、山陵(天皇陵:天皇の墓所)および天地四方の神々をおがみ、その年の災いを祓い、五穀豊穣を祈願します。



神嘉殿(赤四角)


※「黄櫨染御袍」とは、平安時代から用いられている天皇陛下のみが着ることが許される装束のことです。

※「宮中三殿」とは、皇居内にある神道の神を祀る、賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)のことです。

※「御座」とは、身分の高い人の席のことで、「ござ」「おざ」とも読みます。

※「天地四方」とは、天と地、東西南北のことで、私たちが住んでいる世界の空間全体のことを指します。

 

天皇陛下がおがむ神々、天皇陵は次のとおりです。

●伊勢神宮(内宮・外宮)
●天神地祇(てんじんちぎ・すべての神々)
●神武天皇陵
●先帝三代の陵(みささぎ・天皇皇后の墓所のこと。今上天皇の場合、明治天皇、大正天皇、昭和天皇の陵)
●武蔵国一宮(むさしのくにいちのみや・氷川神社)
●山城国一宮(やましろのくにいちのみや・賀茂別雷神社と賀茂御祖神社)
●石清水八幡宮
●熱田神宮
●常陸国一宮(ひたちのくにいちのみや・鹿島神宮)
●下総国一宮(しもうさのくにいちのみや・香取神宮)

 

「四方拝」の呪文とは?

そして、御座に着座された天皇陛下は、北に向かい属星(ぞくしょう)を7回唱え、再拝(さいはい・深く拝む動作を二回繰り返すこと)した後、呪文を唱えるといわれてます。

「属星」とは、北斗七星の7つの星のことで、人の運命を支配するといわれています。

それぞれの属星には十二支が対応しており、関係は次の通りになっています。

No属星十二支
貪狼星
(どんろうせい)
子年
巨門星
(こもんせい)
丑年・亥年
禄存星
(ろくそんせい)
寅年・戌年
文曲星
(ぶんきょく)
卯年・酉年
廉貞星
(れんていせい)
辰年・申年
武曲星
(ぶきょくせい)
巳年・未年
破軍星
(はぐんせい)
午年

例えば、子年の属星は貪狼星、亥年の属星は巨門星となります。

 

四方拝では、その年の属星(2023年なら卯年なので文曲星)を唱える、または、天皇陛下の生まれ年の属星(陛下は子年なので貪狼星)を唱えるといわれていますが、どちらなのか公表されていません。

 

また、呪文は宮中の儀式などを記した平安時代の書物「江家次第(ごうけしだい)」によると次の通りです。

賊寇之中過度我身(ぞくこうしちゅうかどがしん)
毒魔之中過度我身(どくましちゅうかどがしん)
毒氣之中過度我身(どくけしちゅうかどがしん)
危厄之中過度我身(きやくしちゅうかどがしん)
五急六害之中過度我身(ごきゅうろくがいしちゅうかどがしん)
五兵六舌之中過度我身(ごへいろくぜつしちゅうかどがしん)
厭魅之中過度我身(えんみしちゅうかどがしん)
萬病除癒、所欲随心、急急如律令(まんびょうじょゆ しょよくずいしん きゅうきゅうにょりつりょう)

 

呪文に何度も出てくる「中過度我身」の意味は

「中過」は「中を過ぎよ」
「度」は「必ず」
「我身」は「我が身を」

となります。

つまり、「中過度我身」は「我が身を必ず通してください」という意味になります。

 

要約すると「この世で起こるさまざまな困難は我が身を通してください、すべて自分の身が引き受けますから国民を守ってください」という意味になります。

天皇陛下が自らを捧げ、神々へ国家国民の安泰を願っているといわれています。

 

四方拝はこのように執り行われているといわれていますが、詳細は公表されていません。

また、平安時代から現在まで変わらず続いているといわれていたり、明治時代以降は属星と呪文が排除されたともいわれています。

 

スポンサーリンク


英語で何て言う?

「四方拝」は英語では表現すると次のようになります。

『Prayer to the Four Quarters』

Prayer=祈り、祈祷、祈りの言葉など

Four Quarters=四方

 


 

四方拝は5時30分から始まりますが、天皇陛下はそれよりもっと早い時間から準備をなさっているのですね。

元日の日の出は東京だと6時50分ごろですから、四方拝は、初日の出よりも早い時間に行われているのです。

四方拝を終えた天皇陛下はゆっくりとなさっているのかな?と思いたいところですが、元日は新年祝賀の儀が行われ、翌日には一般参賀も行われます。

お正月はゆっくりと・・・という私たちには想像もできないほど、お忙しくなさっているのですね。

 

関連:宮中祭祀の歴史と意味とは?宮中祭祀一覧と内容

関連:【2023年はいつ?】神嘗祭と新嘗祭の違いとは?その意味と歴史について

関連:天皇陛下の名前と苗字とは?仕事は国民のために祈ること?

 

スポンサーリンク



スポンサーリンク



-1月, 天皇・皇室