10月 11月

【2020年】神嘗祭と新嘗祭の違いとは?その意味と歴史について



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秋に行われる宮中祭祀(きゅうちゅうさいし・神事の中心である天皇陛下が国家と国民の安寧と繁栄を祈って、神や祖先を祭ること)の中に、「神嘗祭」「新嘗祭」というものがあります。

この字面が大変良く似た2つのお祭りは、日本人にとってもっとも馴染みの深い食べ物であるお米に関係する行事のようですが、それぞれ一体どのようなものなので、いつ行われるのでしょうか?

今回は、「神嘗祭」と「新嘗祭」の意味や歴史について調べてみたいと思います。

 


神嘗祭とは?

読み方は「かんなめさい」で、「かんなめのまつり」「かんにえのまつり」とも読みます。

 

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「新嘗祭」とは五穀豊穣の感謝祭にあたります。

「神嘗祭」の「嘗」には食べ物でもてなすという意味があり、その年の最初に収穫した稲穂である「初穂(はつほ)」を伊勢神宮に祀られている天照大御神(あまてらすおおみかみ)にお供えし、五穀豊穣に感謝するお祭りです。

神嘗祭は、日本神話で天照大御神が天上の神々が暮らす高天原(たかまがはら・たかまのはら)で初穂を食されたことに由来し、伊勢神宮では毎年10月17日に神嘗祭が執り行われています。

 

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これに合わせて伊勢市内で神嘗奉祝祭が行われ、全国各地のお祭りや伝統芸能が奉納されされ、収穫の喜びと五穀豊穣の感謝を分かち合います。

日本各地の有名なお祭りを一度に見ることができますよ。

外部リンク:伊勢神宮 神嘗奉祝祭

 

神嘗祭は西暦721年に始まった行事とされ、もともとは旧暦の9月17日に行われていましたが明治5年(1872年)に旧暦から新暦に変わった時、日付をそのまま引き継いで9月17日に実施されるようになりました。

しかし、旧暦と新暦では1か月ほどのズレがあるため、9月17日では稲穂の成長が不十分の時期ということもあり、明治12年(1879年)に月遅れの10月17日に変更されたのです。

 

 


 

神嘗祭では、「一期一振(いちごひとふり)」という鎌倉時代(1185年~1333年)の名工粟田口吉光(あわたぐちよしみつ)によって作られた日本刀を見ることができます。

一期一振は、「御由緒物(ごゆいしょぶつ)」と呼ばれ、日本国の天皇に皇位とともに受け継がれる由緒ある宝物のことであり、三種の神器も御由緒物のひとつです。

普段は非公開ですが神嘗祭の時に一般公開され、催し物に使用されます。

 

粟田口吉光が生涯に一振(ひとふり)だけ作った太刀だから「一期一振」と名付けられたという説や、数本作った太刀の中で最高の出来だったから「一期一振」と名付けられたという説があります。

「一期一振」は、豊臣秀吉や徳川家康など有名な人々に所有され、幕末には皇室に献上され、現在に至ります。

 

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新嘗祭とは?

読み方は「にいなめさい」で、「しんじょうさい」「にいなめのまつり」とも読みます。

「新嘗祭」は五穀豊穣の収穫祭にあたります。

新嘗の「新」は新穀(初穂)を、「嘗」は食べ物でもてなすことを意味し、天照大御神はじめ天神地祇(てんじんちぎ・すべての神々)に初穂をお供えして天皇陛下自らも初穂を召し上がり、神様の恵みによって初穂を得たことを感謝するお祭りです。

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新嘗祭は起源がいつなのか特定されていませんが、日本書紀によると「飛鳥時代の皇極天皇(こうぎょくてんのう・在位642-645)の時代に始まった」と伝えられており、万葉集には新嘗祭にまつわる和歌もいくつか存在します。

新嘗際は毎年11月23日に行われる宮中祭祀で、宮中恒例祭典の中でも最も重要なものとされています。

宮中恒例祭典とは、元日に行われる四方拝(しほうはい)をはじめ、春分の日、秋分の日に行われる春季・秋季皇霊祭(こうれいさい)、6月30日と12月31日に行われる大祓(おおはらい)など20件ほどあり、毎年執り行われる宮中祭祀のことをいいます。

 

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もともと「新嘗祭」は、旧暦の11月の2回目の「卯(う)の日」に行われていました。

「卯の日」というのは、毎年の十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)と同じように、日にちにも十二支が割り当てられており、その「卯」に当たる日のことで、カレンダーによっては、「大安」などの記述と共に書き込んであります。

明治時代になり新暦(太陽暦)が導入されたときにそのまま旧暦の日付を使うと「新嘗祭」は翌年1月になってしまい「今年の収穫に感謝する日」の意義にそぐわなくなってしまうので、新暦の11月の2回目の「卯の日」に行うこととし、これがたまたま11月23日に当たったので、それ以降この日で行われるようになりました。

 


 

新嘗祭では天皇陛下が天照大御神はじめ天神地祇に初穂をお供えになり、感謝の祈りをされたあとに初穂をお召し上がりになります。

日本神話では、天皇は天照大御神の子孫ですので天皇自らが食すことで新たな力を得、翌年の豊穣を約束するものとされてきたといいます。

 

第二次世界大戦後、GHQによって国家神道の色が強い「新嘗祭」という祭日を排除し別の名前の祝日にするよう提案があり、天皇の国事行為という要素を取り除き改めて祝日にしたのが「勤労感謝の日」です。

 

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2020年はいつ?

神嘗祭は2020年10月17日(土)です。

新嘗祭は2020年11月23日(月)です。

 

神嘗祭と新嘗祭の違いとは?

どちらも五穀豊穣を感謝するお祭りで、内容が同じように見えますが違いもあります。

神嘗祭、新嘗祭を要約すると以下のようになります。

 

神嘗祭

毎年10月17日に執り行われ、伊勢神宮においてその年に収穫した新穀を奉納する儀式であり収穫された初穂を天照大御神にお供えし、五穀豊穣を感謝します。

 

新嘗祭

毎年11月23日に宮中三殿の神嘉殿(しんかでん)で執り行われます。新嘗祭では収穫された初穂を天照大御神はじめ天神地祇にお供えし、五穀豊穣を感謝したあと天皇陛下も初穂を召し上がります。

 

宮中三殿とは、皇居内にある神道の神を祀る、賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)の総称です。宮中三殿に付属して構内に神嘉殿があります。



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宮中三殿


 「勤労感謝の日」には「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」という意味があります。

新嘗祭から勤労感謝の日へと変更されましたが、呼び名は変わっても「収穫を祝い感謝する」という本来の意味は変わらないのではないでしょうか。

神嘗祭も新嘗祭も、宮中行事、神事であることから、われわれ一般人にはあまり馴染みのない行事のように思ってしまいますが、古来より日本では稲作が生活の基本になっていましたので、日本各地で初穂の収穫を祝い感謝する「収穫祭」や神社では「秋季大祭」が行われています。収穫を祝い感謝する気持ちは日本人の心の中に根付いているものなのでしょう。

初穂(新米)をいただくときは、古来より続く伝統ある行事に思い出してみてはいかがでしょうか。

 

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