姉妹という言葉にはもちろん、「女のきょうだい」という意味があります。
「姉妹都市」
「姉妹店」
「姉妹校」
「姉妹車」
などに姉妹が用いられていますが、でも、なぜ兄弟ではなく姉妹なのか不思議に思ったことはありませんか?
今回はその理由について解説します。
姉妹都市が姉妹の理由
一番初めに姉妹都市という言葉を使ったのは、第34代アメリカ大統領のアイゼンハワー氏だといわれています。
1956年(昭和31年)に「市民と市民のプログラム」を提唱し、国家の間で摩擦は市民レベルで相互理解を深めることで衝突は回避できるという理念のもと、姉妹都市の間では様々な交流が行われてきました。
米英語表記でも姉妹都市はsister cityです。
その流れを汲んで日本語でも姉妹都市と呼ぶようになったのではないかと言われています。
cityが女性名詞だったため
ではなぜ、「兄弟都市(brother city)」ではなく「姉妹都市(sister city)」だったのでしょうか?
フランス語・イタリア語・スペイン語などラテン語由来の言語の名詞は男性名詞か女性名詞に分けられています。
名詞の性がどちらかによって、名詞の前に付く冠詞(英語であればtheやa/anなど)が異なるなど、文章が変化するので名詞の性は重要です。
日本語同様、英語にも名詞に性はありませんが、英語のもとになっているのはラテン語です。
現在でも英語の語源をたどると、ラテン語に由来しているものが大半で、文法にも多くの影響が残っています。
例えば、代表的な女性名詞である
ship(船)
country(国)
moon(月)
などは、「she(彼女)」と呼ばれることが多いです(男女平等が意識される近年ではitに置き換えられることも多くなってきたようです)。
このようにラテン語でcityは女性名詞なので兄弟ではなく姉妹にしたのではないかと言われています。
同じ名詞でも言語によって性別は異なります。
例えばロシアの場合、都市という名詞は男性名詞であったため、姉妹都市とは言わず「兄弟都市」と呼ばれています。
また、名詞に性がない言語を母国語とする国では「双子都市」と呼んでいる国もあります。
日本ではあえて姉妹と呼ばないこともある
姉妹都市は日本語の別の言い方で友好都市、親善都市と呼ばれることがあります。
英語で書くとsisterは姉(old sister)、妹(young sister)両方の意味で使用できますが、漢字表記だとはっきりと年上年下の上下関係がわかります。
上下関係を作らないために漢字を使う国同士では友好都市・親善都市と呼ばれています。
姉妹店や姉妹校の場合は?
姉妹都市はアメリカ大統領の発案であることがわかりましたが、姉妹店や姉妹校の場合はどうなのでしょうか?
実は姉妹店や姉妹校という言葉がいつから使われているのか、外国が起源なのかは定かではありません。
しかし、昔から女性は子どもを産み育てるため、繁栄や発展の象徴とされています。
そのため、お店や学校の繁栄や発展を願って姉妹を付けたのではないかという説があります。
他にも日本語に多大な影響を与えた漢文では、何かを例える時に男性・女性を使っています。
漢文の文法では人に関する例えには男性の父や兄弟などを使い、物に関する例えには女性の母や姉妹などを使います。
「母国」や「処女作」などは女性を用いて例えていますよね。
このように、お店や学校は物なので女性に例えられているという説もあります。
「姉妹都市」や「姉妹店」に姉妹が使われている理由がわかりましたね。
普段何気なく使っている言葉も掘り下げてみると、意外な発見があります。
また、日本人にはあまりなじみのない女性名詞・男性名詞という言葉の概念が、外国語では名詞や文法に大きな影響を与えているようですね。
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