「松竹梅」といえば、お祝いの席で使われたり、お料理のランキングで使われていたり縁起のいいイメージがありますよね。
お祝いの席なら、結婚披露宴の会場が松の間、竹の間、梅の間となっていたり、各テーブルに松竹梅の名前が付けられていたりしますし、お料理のランクなら、松、竹、梅で、お値段や内容が異なっていますね。
では、その順番の由来や意味などはご存知ですか?
また、続きや逆の順番があるのでしょうか?
今回は、松竹梅についてわかりやすく解説します。
松竹梅の順番の由来と意味とは?
松竹梅は、中国の「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」が由来だといわれています。
「歳寒三友」とは画題(がだい・絵のテーマ)のひとつで「寒い季節に友とすべき三つのもの」という意味があります。
松と竹は冬でも緑を保ち、梅は寒い季節に開花することから「歳寒三友」と呼ばれるようになったそうです。
松竹梅のほかにも「梅、水仙、竹」が「歳寒三友」と呼ばれることもあります。
「歳寒三友」が日本に伝わったのは平安時代(794年~1185年)といわれています。
伝わってきた当初は中国と同じく画題としての考え方で「松、竹、梅」には特に順番はありませんでした。
しかし、次第に吉祥(きっしょう・おめでたいことの兆し)の象徴となっていき、江戸時代(1603年~1868年)になってから、吉祥の象徴となった時代の順番で「松竹梅」と呼ばれるようになったといわれています。
松
平安時代(794年~1185年)に象徴となった。
松は一年中枯れることがない常緑樹で、日本では古くから神聖なものと考えられており、「長寿や不老不死の象徴」とされています。
竹
室町時代(1336年~1573年)に象徴となった。
竹は一年中枯れることがない常緑樹で、次々と新芽を出して広がることから「子孫繁栄の象徴」とされています。
梅
江戸時代(1603年~1868年)に象徴となった。
梅は苔が生えるほどの樹齢となっても、ほかの花より先に、気高い香りをともなって花を咲かせることから「気高さや長寿の象徴」とされています。
そして、もともと松竹梅に優劣や上下はなかったのですが、江戸時代に「松竹梅」という順番が決まってから、江戸の寿司屋や蕎麦屋が料理を提供する時に、等級や格付けとして用いられるようになったといわれています。
寿司や蕎麦のメニューを「特上」や「並」と呼ぶよりも「松竹梅」で表現した方が美しいことや、「特上」や「上」なら堂々と注文できますが、「並」と注文するのが恥ずかしいので「松=特上」「竹=上」「梅=並」というふうに使うようになったといわれています。
松竹梅には逆の順番もある?
「松竹梅」の格付けが一般的になり「松」が「特上」ということがわかっているのなら、「並」とわかっている「梅」を注文しづらくなってしまいますよね。
そのため、「梅=特上」「竹=上」「松=並」と逆にしているお店や、店主のユーモアで逆にしているお店もあるようです。
また、料理を提供するお店では「ご飯の量とおかずの大きさ」で松竹梅をわけているお店や、量ではなく質(産地や鮮度など)で「松竹梅」をランキングしているお店もあるそうです。
松竹梅には続きがあるの?
画題としての「歳寒三友」が由来なので、「松竹梅」に続きはありません。
しかし、結婚披露宴の各テーブルに名前を付ける時は「松、竹、梅、福、禄、寿、鶴、亀、雪、月、花、金、銀、宝、錦、祝、美・・・」とおめでたい言葉が続きますので、これを「松竹梅の続きだ」と勘違いしてしまう人がいるようです。
上記の漢字を、ひとかたまりの単語としてみてみましょう。
松竹梅 | 吉祥の象徴です。 |
福禄寿(ふくろくじゅ) | 七福神のひとりで、福徳、人徳、長寿の神様とされています。 |
鶴と亀 | 長寿の象徴です。 |
雪月花(せつげつか) | 雪と月と花のことで、自然美の代表的なものです。 |
このあと、「金、銀、宝、錦、祝、美、桐、桃、葵、蘭、楓、桜・・・」と続いていくのが一般的ですが、いずれもおめでたい言葉、美しい言葉です。
結婚披露宴のテーブルでは「松竹梅・・・」以外にも「パンジー、ガーベラ、ローズ、コスモス、アマリリス・・・」や「藤、椿、桜、菫・・・」のように花の名前を用いたり、「ガーネット、アメジスト、アクアマリン、ダイヤモンド・・・」のように宝石の名前を用いるなどさまざまです。
「松竹梅」も含め、いずれの場合も順番に優劣はなく、おめでたい席にふさわしい言葉を連ねただけなのですね。
英語で何て言うの?
松竹梅を三つのランキングとして考えた場合、同じような意味になる英語表現はないようです。
英語圏では、お店や場所によってランキングの呼び方が異なります。
例えば、
●premium(特上)・special(上)・regular(並)
●AAA(特上)・AA(上)・A(並)
●level3(特上)・level2(上)・level1(並)
のようになります。
松竹梅を直訳すると「pine, bamboo and plum」となりますが、英語圏の人にこれだけで松竹梅の内容を伝えるのは難しいようです。
松竹梅にはもともと順位がなかったのですね。
「特上」や「並」ではなく、「松」や「梅」と表現した江戸時代の人々はとても粋だったと思いませんか?
松竹梅の順番は、お店によって異なる場合もあるので、お料理を注文する前にはお店の人に聞いてみるといいですね!
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