そうめんやひやむぎにピンクや緑色の麺が入っていると彩りがあって涼しげですよね。
子どもの頃、色つきの麺を兄弟と取り合った思い出がある方も多いのではないでしょうか?
しかし、なぜそうめんやひやむぎに色のついた麺が入っているのでしょうか。
今回はその理由を調べてみました。
Contents/目次
そもそも「そうめん」と「ひやむぎ」はどうちがうの?
一見して似ているそうめんとひやむぎですが、違いは何でしょうか。
手作業で生産する手延(てのべ)製麺と、機械で生産する機械製麺とではその基準が異なりますが、材料は両方とも水と塩と小麦粉が基本です。
手作業で生産する手延製麺の場合
手作業で生産する手延製麺の場合、そうめんとひやむぎは作り方で区別されます。
手延べそうめんは、材料を練り、乾燥を防ぐため植物油やでんぷんを塗りながら、ねじり合わせて引き延ばし、細く仕上げたものです。
一方、手延べのひやむぎの作り方は、材料を練り麺棒などで広げた生地を細く切ったものです。
ちなみに手延うどんの材料も小麦粉・塩・水です。作り方はひやむぎの作り方と生地を切るまでは全く同じです。
1697年の「本朝食鑑」という書物にはうどんは寒い時期に温めて食べるもの、ひやむぎは暑い時期に冷やして食べるもの、と書かれており、当時、すでに、ひやむぎとうどんは、作り方は一緒ですが、食べ方が違う別の食材ととらえられていたようです。
また、麺の太さは、ひやむぎは冷やして食べるため次第に細く、うどんは温めて食べるため次第に太くなっていったといわれています。
機械で製麺した場合
機械で製麺した場合は麺の太さで区別されます。
JAS規格(日本農林規格)により麺の太さによってひやむぎ・そうめんを明確に定義されています。
そうめん・・・麺の太さが直径1.3mm未満
ひやむぎ・・・麺の太さが直径1.3mm以上1.7mm未満
さらに、麺の太さが直径1.7mm以上になるとうどんです。
ちなみに手延べの場合、機械のように麺の太さが一定にならないので麺の太さでひやむぎ・そうめんを区別することはありません。
そうめんやひやむぎにピンクや緑色の麺が入っている理由とは?
それではなぜそうめんやひやむぎにピンクや緑色の麺が入っているのでしょう?
昔は手作りのそうめん・ひやむぎ・うどんを店先に並べて売っていましたが、3つとも真っ白でぱっと見ではお店の人が区別しづらく、それが原因で取り違えてしまうこともありました。
そこで3種類の麺のうち、中間の太さのひやむぎのみピンクや緑の色がついた麺を入れて、ひと目で判別できるようにしたのです。
こうすることで取り違えを防いだのですね。
この時はそうめんに色つきの麺は入っていなかったようです。
1980年代後半まで関東を中心にひやむぎには色つきの麺を入れている商品が多かったようですが、1990年代後半から徐々に減っていきました。
その理由として麺を作る工場の機械化がすすみ、商品管理も容易に行われるようになったため、そうめん・ひやむぎ・うどんを取り違えることがなくなったので色つきの麺を入れる必要はなくなったのです。
現在ではそうめんとひやむぎを区別するという実用的な意味はなくなったものの、色つきの麺が入っていることで涼しげで、見た目にも彩りがある、また子どもが喜ぶとの理由でひやむぎだけでなくそうめんにも色つき麺を入れているのです。

夏にそうめんやひやむぎを食べる時、色つきの麺が入っていると真っ白の中に彩があるので見た目もきれいで食欲もわきますよね。
以前は実用的な意味を持っていたというのは初耳でした。また、手延べの場合太さではそうめんとひやむぎの区別がつかないので、食べる際にそうめんなのかひやむぎなのか確認してみてくださいね。
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