短歌と俳句と川柳の違いとルールについて

  • URLをコピーしました!

松尾芭蕉の有名な俳句のひとつに「古池や 蛙飛び込む 水の音」というものがあります。

5文字、7文字、5文字の組み合わせがリズムよく心地良いですね。

5・7・5というと・・・川柳短歌を思い浮かべませんか?

「あれ?そういえばなにが違うんだろう?」という疑問を持った方もいらっしゃると思います。

短歌と俳句と川柳の違いとルールについてわかりやすく解説します!

 

スポンサーリンク
目次

短歌とは?

uta_yomu_woman

 

短歌とは、5・7・5・7・7の31文字(三十一文字)で構成される和歌の一形式です

短歌の形式がいつごろ確立したのかは定かではありませんが、古事記(712年)に短歌の形式が見られ、万葉集(759年)では身分の上下を問わず作品が残されています。

このことから、奈良時代(710年~794年)には貴族階級だけでなく一般庶民の間でも短歌が作られていたと考えられます。

その頃は、

「短歌」
「長歌(ちょうか)」
「旋頭歌(せどうか)」
「仏足石歌(ぶっそくせきか)」
「片歌(かたうた)」

という五七調の(五音と七音を基調とした)歌を全てまとめて「和歌」と呼んでいました。

平安時代に入ると、「短歌」以外の歌の文化が廃れていったことから、「和歌」というと自然と5・7・5・7・7の31文字で構成される「短歌」の形式の歌を指すようになりました。

 

俳句とは?

masaoka_shiki

 

俳句は5・7・5の17文字で構成されており、世界最短の定型詩(文字数や韻律などに規則的な形式を持っている詩)といわれています。

季語(きご・季節を表す言葉)を入れるのが決まりです。

主に文語表現を用います。

 

冒頭で紹介した松尾芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」では、「蛙」が春の季語となります。

 

季語の詳細については以下をご覧ください。

関連:【俳句の季語一覧】小学生向け 春夏秋冬新年 月ごと(1月~12月)の季語

 

俳句は、江戸時代(1603年~1868年)に「俳諧(はいかい)」から派生したものです。

 

俳諧とは、「俳諧連歌(はいかいれんが)」の略です。

室町時代(1336年~1573年)に流行した連歌(れんが・参加者が次々に歌を連ねていく歌)という日本の伝統的な歌に、言葉遊びや面白さ、日常にあふれている言葉などを用い、遊戯性を高めたものことをいいます。

 

俳諧では、

5・75の発句(ほっく)
7・7の脇句(わきく)

を交互に複数人で連ねて読んで、ひとつの歌にします。

そして、俳諧の発句の芸術性を高め、発句だけで独立した作品として成立させたのが松尾芭蕉(まつおばしょう・1644年~1694年)です。

 

明治時代(1868年~1912年)に、正岡子規(まさおかしき・1867年~1902年)が、近代文学として俳句を成立させました。

近代文学とは、明治維新後に西洋文化が取り入れられていく中で成立、発達した文学のことです。

正岡子規は写生(しゃせい)の手法を確立させ、風景や物をよく観察して57517文字で表現しました。

そして、「俳諧」の「俳」と、「発句」の「句」の字を取って、名称を「俳句」にしました。

このことから、正岡子規は「近代俳句の父」と呼ばれています。

 

スポンサーリンク

川柳とは?

nigaoe_kobayashiissa

 

川柳は5・7・5の17文字で構成された定型詩です。

主に口語表現が用いられます。

江戸時代に、俳諧などの優劣を判定する点者(てんじゃ)だった柄井川柳(からいせんりゅう・1718年~1790年)が呉陵軒可有(ごりょうけんあるべし・生年不明~1788年。俳諧作者)とともに「排風柳多留(はいふうやなぎだる)」という句集を刊行しました。

誹風柳多留は、柄井川柳や呉陵軒可有が選んだ川柳を掲載しており、江戸時代から幕末までほぼ毎年刊行されていました。

この句集はとても人気があり、これ以降、俳句の決まりを取り入れず5・7・5で構成されたものを「川柳」と呼ぶことが定着したといわれています。

川柳は俳句と同じく俳諧から派生したものですが、季語をいれなければならないという決まりはなく、字余りや駄洒落も見られ、規律にとらわれない言葉遊びの要素も少なくありません

 

それぞれの違いやルールについて

それぞれの違いやルールについて解説します。

構成の違い

短歌は「5・7・5・7・7」

俳句と川柳は「5・7・5」

で構成されています

 

しかし、5・7・5の構成にとらわれない「自由律俳句」というものもあります。

自由律俳句は「俳句とは認めない」という立場の人たちが存在します。

 

題材の違い

次に題材の違いがあります。

それそれの題材については「絶対にこうしなければならない」という決まりがあるわけではありませが、それぞれ以下のような題材が多いようです。

短歌は、家族や恋人への感情を歌ったものが多く、自分の身のまわりのことを題材としたものが中心となっています。

俳句は、季語を入れるのが決まりであるように、季節や自然を題材にしたものが中心となっています。

川柳は、話し言葉で表現されることが多く、「サラリーマン川柳」や「シルバー川柳」など、誰にでもわかりやすいものや社会風刺を題材にしたものが中心となっています。

 

季語を入れるかどうか

春

「季語を入れる」というルールがあるのは俳句だけです。

短歌と川柳にはこの決まりはありません。

しかし、季語を入れない「無季俳句」というものも近年増えています。

この無季俳句を「俳句とは認めない」という立場の人たちも存在します。

 

ここで「無季俳句」と「川柳」の違いは何かという疑問が生じますが、すでに述べたとおり、川柳の特徴は風刺や滑稽であり、それに対して、俳句は季節や自然に対する観賞を主題としています

しかし、明確に区別する定義はなく、作者もしくは読者がこれは俳句だと思えば俳句、これは川柳だと思えば川柳になるようです

 

tegami_woman

 

それぞれの違いはわかりましたか?

 

とても単純に見分ける方法は、

「短歌は31文字」

「俳句は季語が必要」

「川柳はわりと自由」

となるのでしょうか。

 

短歌は文字数が多いので見分けがつきやすいですが、俳句と川柳は文字数が同じなうえに自由律俳句や無季俳句などがあるため、明確に区別することは無理なのかもしれませんね。

短い文章で、決まりを守りながらなにかを表現するのはとても難しそうですが、が、まずは、わりと自由な川柳を作ってみるといいかもしれませんね。

 

関連:【俳句の作り方】初心者でも簡単!俳句を作る手順と作り方のコツ

関連:短歌・和歌のルール、決まり、修辞法とは?短歌と和歌の違いと歴史

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次