日本にはさまざまな気象現象がありますが「梅雨」もそのひとつです。
「梅雨」はなぜ「梅」という漢字を使うのでしょうか?
また、「梅雨」と書いてなぜ「つゆ」と読むのでしょう?
今回は、そんな梅雨の疑問について解説します。
また、梅雨の別名も合わせてご紹介します。
梅雨とは?
読み方は「つゆ」「ばいう」です。
東アジアの広範囲でみられる気象現象で、春から夏にかけて起こります。
日本の梅雨は、気象庁が「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が現れる現象、またはその期間」と定義しています。
「晩春」は5月、「夏は」6・7・8月なので、5月~8月にかけて雨や曇りの日が現れる現象、またはその期間を「梅雨」と呼んでいます。
梅雨はなぜ「梅」という漢字を使うの?
「梅雨」という言葉は、中国から伝わったといわれていますが具体的にいつ伝わったのかは不明です。
中国にも日本と同じように梅雨があり、最初は「黴雨」と書いていたそうです。
雨が続く時期なので黴(かび)が生えやすいことから「黴雨」という言葉が生まれました。
中国では「メイユイ」と読むそうです。
しかし、「黴雨」は意味や漢字の見た目が良くないので、「梅雨」と書くようになったといわれています。
「梅」という漢字を使うようになった由来は以下のような説があります。
●梅の実が旬を迎えるころに雨が降り始める時期だからという説
●中国の揚子江周辺では梅の実が熟す時期だからという説
なぜ「つゆ」と読むの?
中国から日本に「梅雨」と「黴雨」の両方が伝わりました。
現在日本では「梅雨」という漢字を使うのが一般的ですが、「黴雨」という漢字も辞書に載っています。
中国では「梅雨」「黴雨」どちらも「メイユイ」と読みますが、日本では最初は「ばいう」と読んでいました。
「つゆ」と読むようになったのは江戸時代(1608年~1868年)になってからといわれています。
由来は以下の通り諸説あります。
「露けし」が由来という説
露けし(つゆけし)とは、「露に濡れて湿っぽい」「じめじめしている」という意味があります。
梅雨は雨が多く湿っぽい、じめじめしていることから「露けし」から「つゆ」をとって「梅雨(つゆ)」と読むようになったという説があります。
「露」が由来という説
梅雨の時期は雨がたくさん降り、木々に露(つゆ)がつくことから「梅雨(つゆ)」と読むようになったという説
「潰ゆ」が由来という説
「潰ゆ(ついゆ)」とは、「潰れる」「崩れる」などの意味があります。
梅雨の季節は、梅が熟して潰れたり、崩れる時期なので「ついゆ」→「つゆ」になったという説
「費ゆ」が由来という説
「費ゆ(ついゆ)」とは、「無駄になる」「ダメになる」という意味があります。
雨が多く湿度も高い梅雨の季節は、食べ物が腐りやすくなったり、衣類が痛んでダメになったりしてしまうことから「ついゆ」→「つゆ」になったという説
梅雨の別名
「梅雨」には多くの別名がありますのでいくつかご紹介します。
五月雨(さみだれ)
旧暦5月ごろに降り続く長雨、梅雨のことです。
詳しくはこちらをご覧ください。
関連:「五月雨」の読み方と意味とは?いつ頃に使う言葉?「五月雨式」「五月雨戦術」の意味と使い方
黄梅雨(きつゆ・きづゆ)・黄梅の雨(こうばいのあめ)
梅の実が黄色く熟してくる頃に降る雨のことです。
青梅雨(あおつゆ)
木々の青さを鮮やかに色濃く見せる雨のことです。
水取雨(みずとりあめ)・田植雨(たうえあめ)
田植えには水が欠かせないことから、田植えの頃に降る雨のことです。
麦雨(ばくう)
麦の穂が育って実る頃に降る雨のことです。
梅霖(ばいりん)
霖(りん・ながあめ)は、長々と降り続く雨という意味があります。
梅霖とは、梅の実が熟す頃に長々と降り続く雨のことです。
なぜ「梅」という漢字を使うようになったのか、なぜ「つゆ」と読むのか、諸説あり明確な理由はわかっていないのですね。
諸説ありますが、どの説も梅雨の季節を表す言葉が当てられています。
梅雨の別名は、梅の実だけでなく麦や田植えなど私たちの生活にとても身近なものが関係していて、名前を考えた昔の人たちの感性の素晴らしさを感じませんか?
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