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八咫烏(やたがらす)が三本足の理由とは?

      2019/09/01

「八咫烏」は、日本サッカー協会(Japan Football Association 略称:JFA)のシンボルマークになっており、日本代表のユニフォームにデザインされているので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

そんな八咫烏を見て、「三本足なのはなぜ?」という疑問を抱きませんでしたか?

今回は、八咫烏が三本足の理由について調べてみました。

 


八咫烏とは?

八咫烏の読み方は「やたがらす」です。

八咫烏は、古事記(こじき・712年)や日本書紀(にほんしょき・720年)などの日本神話に登場する伝説上のカラスです。

日本神話では、神武東征(じんむとうせい)の際に、八咫烏が神武天皇(じんむてんのう)を道案内したと書かれています。

神武東征は、神倭伊波札毘古(かむやまといわれびこ・後の神武天皇)が苦難を乗り越え大和(やまと・現在の奈良県周辺)を征服し、天下を平定し、橿原神宮(かしはらじんぐう・現在の奈良県)で神武天皇に即位したというお話です。

 


 

神武東征の神話の概要は以下の通りです。

 

日向(ひゅうが・現在の宮崎県)に住んでいた神倭伊波札毘古は、天下を平定するためにふさわしい場所は大和であると考え、兄の五瀬(いつせ)らとともに、大和征服に向かいました。

 

日向を出発した、神倭伊波札毘古は、安芸(あき・現在の広島県)、吉備(きび・現在の岡山県周辺)を経て、浪速(なにわ・現在の大阪府)へ到着します。

しかし、浪速の港には敵である那賀須泥毘古(ながすねびこ)が軍を率いて彼らを待ち構えており、五瀬が敵の矢で重傷を負ってしまい、撤退を余儀なくされました。

 

彼らは「太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)の子孫であるにも関わらず、西(日向・日が沈む方角)から、東(大和・日が昇る方角)へ向かい、大和を征服しようとしたので、太陽に戦いを挑んだ形になってしまった。それならば、東から西に向かうルートなら、太陽を背にすることになる。」と考え、回り道をして熊野(くまの・現在の和歌山県)から大和を目指すことにしました。

 

熊野に到着する前に兄の五瀬は命を落としてしまいましたが、神倭伊波札毘古は熊野から大和へ向かいます。

 

しかし途中で、山深い熊野で道に迷ってしまいました。

 


 

その時、天照大御神が八咫烏を遣わし、八咫烏の道案内によって那賀須泥毘古は無事に熊野を越え、大和を征服することができたのです。

 

太陽の神である天照大御神が遣わしたため、八咫烏は太陽の化身であるといわれています。

 

八咫烏は日本サッカー協会のシンボルになっているのは、神武天皇を八咫烏が道案内をしたという話から、「よくボールをゴールに導くように」という願いを込めて選ばれたそうです。

 

八咫烏の八咫の意味とは?

八咫烏の「咫」は「あた」と読み、長さの単位です。

一咫(ひとあた)は約18㎝です。「八咫(やた)」は約144㎝になりますが、「八咫烏は体長が144㎝だ」というわけではなく、「大きい」という意味で使われています。

 


八咫烏が三本足の理由とは?

八咫烏は日本書紀や古事記などの日本神話に登場しますが、実はそこでは八咫烏が三本足のカラスだとは書かれていません。

八咫烏が三本足といわれるようになったのはいつからなのか、なぜ三本足なのかというのは明確ではありませんが、八咫烏が三本足の理由は諸説あります。

 

●中国が由来という説

中国神話に「三足烏(さんそくう)」という、太陽を象徴するカラスが登場します。

日本神話の八咫烏も太陽の化身とされるカラスなので、いつしか中国神話と日本神話が混同し、八咫烏が三本足になったのではないかという説があります。

 

 

●熊野本宮大社の説

和歌山県にある熊野三山のひとつ、熊野本宮大社では主祭神(しゅさいじん・複数祀られている神様の中で主として祀られている神様のこと)である家津美御子神(けつみみこのかみ)の使いであり、導きの神として八咫烏は信仰されています。

 

熊野本宮大社では、八咫烏の三本の足はそれぞれ、天、地、人を表していると考えられています。

天は「天神地祇(てんじんちぎ・すべての神々)」、地は「自然、大地のこと」で、神々と自然と人は、同じ太陽から生まれた兄弟であることを表しているといわれています。

 

 

●熊野三党を表しているという説

熊野三党(くまのさんとう)は、熊野地方で強い勢力を持っていた豪族で、熊野三党によって熊野が栄え、守られたといわれており、八咫烏の三本の足はそれぞれ、榎本氏、宇井氏、藤白鈴木氏を表しているという説があります。

熊野三党の藤白鈴木氏は熊野速玉大社の神職を代々受け継ぎ、神紋(しんもん・神社の紋章のこと)として八咫烏を用いたそうです。

 

 

日本書紀や古事記の中で八咫烏が三本足だとは書かれてはいませんし、三本足の理由も明確になっていないのですね。

真っ黒なカラスには、不気味な印象や嫌なイメージを持っている人も多いと思いますが、八咫烏を信仰している熊野地方では、カラスは神の使いとして大事にされているそうですよ。

 



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