日本で流通している硬貨は1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類です。
しかし、6種類の中でなぜ5円と50円の2種類だけ穴が空いているのでしょうか?
また、5円玉だけ漢数字の五が使われているのをご存知でしたか?
今回はそれらの理由について解説します。
5円玉に穴があいている理由とは?
日本で5円硬貨が初めて作られたのは、昭和23年(1948年)です。
当時の5円玉は、穴なしで直径22mm、銅と亜鉛の合金である黄銅で作られていました。
また、同じ年に1円硬貨も誕生したのですが、その当時の1円玉は穴なしで直径20mm、5円玉と同じ黄銅で作られていました。
このように1円玉と5円玉は大きさと色が似ているのでを混同しやすく、視覚障がい者にもわかりづらかったのです。
そのため、昭和24年(1945年)に穴が空いたデザインの5円玉が発行されました。
5円玉にデザインされている絵柄はそれぞれ意味を持っています。
稲は農業、真ん中の穴の周りにあるギザギザの模様は工業の歯車を表しています。
また、発行年が記載されている面(裏面)の植物の芽は林業を表しています。
昭和24年(1949年)から現在まで基本的なデザインは変更されていませんが、昭和34年(1959年)に、書体が楷書体からゴシック体へ、「日本國」が「日本国」へと変更され、現在に至ります。
50円玉に穴があいている理由
50円硬貨は昭和30年(1955年)に初めて発行されました。
直径25mmのニッケルを100%使用したニッケル貨で、当時は穴が開いていませんでした。
その後、昭和32年(1957年)に当時の100円玉が発行されました。
しかし、大きさや色が50円玉とよく似ており、100円玉と50円玉の判別しずらかったそうです。
そこで判別しやすくするため、昭和34年(1959年)に、50円玉は穴あきのデザインに変更されたのです。
貨幣のデザインは造幣局の職員が作る場合が多いのですが、一般の人から図案を公募することもあり、このときの50円玉は公募で選ばれました。
その後、昭和42年(1967年)に現在のデザインと素材に変更されています。
サイズは小さくなり、デザインは現在と同様、菊の花ですが配置が変わりました。
素材もニッケル100%だったのが、銅75%、ニッケル25%に変更されました。
素材の変更にはいくつか理由があります。
100円玉が昭和32年(1957年)から発行されたことにより、ニッケルの原料である銀地金が不足したため、50円玉は銅を多く配合した銅白貨としました。
また、ニッケルのみで作られた硬貨は自動販売機で使用した時に故障を引き起こす可能性が出てきたため、銅の配合を多くしたといわれています。
5円玉・50円玉に共通する穴があけられた理由とは?
その他の共通する理由として、材料のコストカットが挙げられます。
穴をあけることによって5円玉1枚につき約5%、50円玉1枚につき約4%の節約ができるといわれています。
二つ目の理由は偽造防止です。
穴をあける、硬貨の周囲にギザギザの溝を掘る、細かな模様をつけることは、硬貨を判別しやすくするためだけでなく、製造する時の技術的な難易度があがるので偽造硬貨を製造しにくくなるのです。
5円玉だけ漢字の五が使われているのはなぜ?
5円玉以外の硬貨は、「1」「10」「50」「100」「500」とアラビア数字で書かれています。
しかし、5円玉だけは漢数字の「五」が使われています。
この理由は、昭和24年(1949年)から現在に至るまで5円玉の基本的なデザインが変更されていないためです。
硬貨の数字は、アラビア数字と漢数字、どちらにしなければならないという決まりはありません。
たまたま最初のデザインが漢数字だったため、現在もそのまま使われているのですね。
なぜ穴が開いているのか、また、漢数字が使われているのか、その理由がわかりましたね。
5円玉は70年もの間、基本的なデザインが変わっていないのですが、デザインを変更によって混乱が予想されるので、現時点では変更の予定はないそうです。
5円玉や50円玉のように穴が開いた硬貨は世界的に珍しいので、お土産に持ち帰る外国人観光客もいらっしゃるようですよ。
特に、5円玉は漢数字なので日本というイメージが強く、金色でピカピカしていているので人気が高いそうです。
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