似たような色で「赤」と「紅」がありますが、違いをご存知でしょうか?
毎年大晦日に放送される「紅白歌合戦」は、「紅組」と「白組」というチーム分けですが、なぜ「赤」ではなく「紅」なのでしょう?
身近なものですと、小学校や中学校の運動会では「赤組」でしたか?それとも「紅組」でしたか?
今回は「赤」と「紅」の違いをわかりやすく解説します。
「赤」と「紅」の違いとは?
「赤」の読み方は「あか」です。
「紅」の読み方は「べに」または「くれない」で、「あか」と読むこともあります。
「あかい色」の種類はとても多いのですが、「赤」と「紅」は厳密には違う色です。
日本の国旗である「日の丸」も、赤色ではなく、「紅(くれない)色」と指定されており、紅色は博愛と活力を意味しています。(白色は神聖と純潔を意味します)
紅色はキク科の紅花の汁で染めた鮮やかな赤色のことを指します。
下に赤色と紅色を隣同士に並べてみましたが、その違いがわかりますね。
しかし、「紅白」と使う場合は、特に色を「紅」を指定しているわけではなく、赤色全般を指します。
それでは、なぜ「赤白」ではなく「紅白」なの?という疑問が生まれますが、以下のように理由は諸説あります。
●漢字の意味が理由という説
「赤」は「赤裸々(せきらら)」や「赤貧(せきひん)」という言葉に用いられるように、「何もつけていない」「むき出し」「まる裸」「とても貧しい」などの悪い意味、マイナスイメージを持つので、「赤」を避けて「紅」と書くようになったという説。
●中国が由来という説
漢字が中国から伝わってきたときに「あかい色」を意味する場合は、「紅」が常用されていたという説。
運動会は赤組?紅組?
運動会や紅白歌合戦の紅白のチーム分け、野球やサッカーの紅白戦のように、2チームに分ける場合は「紅」と「白」と分けますよね。
しかし、これはすでに説明した通り、「紅白」とした場合、「紅」という色を指定しているわけではなく、あか色全般を指しています。
そのため、あかい色であれば、「紅組」でも「赤組」でも問題ありませんし、「紅組」ではなく「赤組」とする学校や団体もあります。
また、「紅組」は一般的に「あかぐみ」と読みます。
紅白の意味とは?
「紅白」には大きく2つの意味があります。
① 2つのチームを分ける意味
紅白歌合戦や紅白戦のように、対抗する2つのチームの事を表しています。
2つのチームを紅白で分けるのは、平安時代末期の1180年~1185年にかけて起こった「源平合戦(げんぺいがっせん)」という説が有力です。
源平合戦は源氏と平家の権力争いで、その際に敵と味方を区別するため、貴族の平家は朝廷の象徴である「錦の御旗」と同じ配色の「赤地に金丸の旗」を用い、武士の源氏は「白地に赤丸の旗」を用いたといわれています。
このことから紅白歌合戦や運動会のように対抗する2組を区別するために紅白が定着したといわれています。
② おめでたいことを意味する
「紅白まんじゅう」や、おめでたい席で用いられる「紅白幕」など「紅白」は伝統的に祝い事や縁起が良い事に使われる色で、おめでたいことを意味しています。
「紅白」が、縁起が良い事やおめでたい意味で使われるようになった理由は諸説あります。
●ハレの日の食べ物が赤飯と餅だったからという説
日本人は古来より「ハレ」と「ケ」を意識して生活していました。
「ハレ」はお正月や七五三、冠婚葬祭やお祭など特別な日・非日常のことで、「ケ」は日常・普段の生活のことです。
この「ハレ」の日の食べ物として赤飯を炊き、餅を振舞う習慣があり「赤飯と白い餅」から「紅白はめでたい」という概念を持つようになったといわれています。
●中国からの輸入品が由来という説
室町時代(1336年~1573年)、中国からの輸入品の箱には、中国側が輸出用と他の品を区別するために赤と白の縄が縛り付けられていました。
日本側はこの縄を贈答に使用する習慣だと誤解し、日本国内で贈答品に赤と白の紐をかけるようになりました。
これが水引きの起源になり、「紅白」が縁起が良いものに結びついたそうです。
「赤」と「紅」の違いがわかりましたね。
普段の生活で「紅」という漢字はあまり見聞きしませんが、実は「紅はるか」「紅あずま」「紅まさり」「紅こまち」「紅天使」「紅さつま」など、さつまいもの品種名によく使われています。
理由は定かではありませんが、さつまいもの皮の色が「赤」よりは「紅」に近いからといわれています。
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