
仏教は大きく「大乗仏教」と「小乗仏教」という二つの流派に分けられるのをご存知ですか?
日本には浄土真宗や日蓮宗などさまざまな宗派がありますが、どちらなのでしょうか?
「大乗仏教」と「小乗仏教」とはどのような違いや、それぞれどの国で信仰されているかについて、わかりやすく解説します。
「大乗仏教」とは?
読み方は「だいじょうぶっきょう」です。
「大乗」とはサンスクリット語で「マハーヤーナ(Mahāyāna)」といい、「大きな乗り物」という意味があります。

ここでの「乗り物」とは、今私たちがいる煩悩や迷いに満ちた世界である「此岸(しがん)」から、煩悩や悩みの海を渡って辿り着く悟りの世界である「彼岸(ひがん)」へと人々を運ぶ乗り物のことです。
大乗仏教は、「一人でも多くの衆生(しゅじょう・すべての生きとし生けるもの)」を悟りへ導き、苦しみから救うことを目的としています。
つまり、「自分の救い」だけでなく「他者を救うこと」に重きを置くのが特徴です。
「小乗仏教」とは?
読み方は「しょうじょうぶっきょう」です。
「小乗」とはサンスクリット語で「ヒーナヤーナ(Hīnayāna)」といい、「小さな乗り物」という意味があります。
「乗り物」の意味は「大乗仏教」と同じです。
衆生の救済を目的とする大乗仏教に対し、小乗仏教は個人の救済を目的としており、その乗り物は小さいという軽蔑の意味が込められています。
そのため、現在は「上座部仏教(じょうざぶぶっきょう・テーラワーダ)」と呼ぶのが一般的です。
上座部仏教は、個人の修行によって悟り(涅槃)に達することを目的とし、釈迦の原初的な教えや戒律を厳格に守るのが特徴です。
つまり、他者の救済ではなく「自分自身の解脱」を目指すところに大乗との違いがあります。
「大乗仏教」と「小乗仏教」の歴史とは?
仏教はインドの仏陀(ブッダ・目覚めた人という意味、本名はゴータマ・シッダールタ)の教えに由来する宗教です。
仏陀は、日本では「お釈迦さま」や「釈迦如来(しゃかにょらい)」とも呼ばれています。

仏教の起源は諸説ありますが、紀元前5世紀ごろだと考えられています。
当時のインドでは、生まれながらに決められた身分制度であるカースト制度が厳しく、身分が低い家に生まれた子は、どんな努力をしても高い身分にはなれませんでした。
仏陀は、シャカ族の王子として生まれ大事に育てられますが、次第に「この世は苦しみに満ちている」と感じるようになり、29歳の時に出家(しゅっけ・俗世の生活を捨て、修行の道に入ること)し、王族としての生活を捨てます。
出家したあと、自らの体を痛めつける「苦行(くぎょう)」によって悟りを得ようとしますが、心の中の迷いは消えませんでした。
そして、「苦行だけでは真の悟りには至れない」と気づき、苦行をやめ、瞑想に専念します。
やがて菩提樹の下で瞑想を続けているうちに、「なぜ私たちは苦しむのか」「苦しみをなくすにはどう生きればいいのか」がはっきりわかりました。
この気づきそのものが、仏教でいう悟りです。
35歳で悟りを開いた仏陀は、80歳で亡くなるまで、自らの悟りの内容と、それに至るための道を説き続けました。
この「悟りの内容と修行の道」が、後に弟子たちによってまとめられ、仏教と呼ばれる教えとなっていきます。

仏陀の教えは、仏陀の死後に弟子たちによって広められていきますが、年月が経つにつれて教えの内容に齟齬(そご・ものごとが食い違うこと、意図したとおりに進まないこと)が生じてしまいました。
そして、仏陀が亡くなって100年ほど経過すると、それまでの決まり事や伝統を守ろうとする保守的な人々と、状況によって決まり事を変えようとする進歩的な人々に分かれ、数多くの宗派が生まれました。
そんな中、進歩的な人々の中から「大乗仏教」と呼ばれる一派が誕生しました。
そして、大乗仏教の人々から見た保守的な人々のことを「小乗仏教」と呼ぶようになったのです。
「大乗仏教」と「小乗仏教」の違いとは?
「大乗仏教」は、「自利利他(じりりた)」の考え方が特徴です。
自利利他とは、
- 「自分が幸せになれば他人も幸せになる」
- 「他人のために教えを守り、他人のためになることは自分のためにもなる」
- 「自分だけではなくあらゆる人を救済する」
という考え方です。
また、大乗仏教では「菩薩(ぼさつ)」という概念を取り入れました。
菩薩とは「悟りを目指しながら、周りの人を助けようとする人」のことで、 修行者でなくても誰でも菩薩になれると考えています。

「小乗仏教(上座部仏教)」は、それまでの決まり事や戒律を厳格に守り、「自分自身が修行して悟りを開く」ことを第一に考える教えです。
修行を積んだ人だけが救われる、という立場です。
大乗仏教の「みんなを救う」という考えは、厳しい修行を重視してきた人たちから反感を買いました。
しかし、「誰でも救われる」という教えが多くの人々の心に響き、広い地域に広まっていったのです。
日本は「大乗仏教」と「小乗仏教」どちら?
飛鳥時代(552年)に日本に伝来したのは「大乗仏教」です。
そして、その後、長い年月をかけてさまざまな宗派に分かれました。
浄土真宗、日蓮宗、天台宗、真言宗、禅宗(臨済宗・曹洞宗)など、日本に存在する主要な宗派はすべて大乗仏教の一派です。
「大乗仏教」と「小乗仏教」の国はどこ?
「大乗仏教」の国と「小乗仏教」の国は以下の通りです。
大乗仏教の国
- 日本
- ネパール
- ベトナム
- ブータン
- 中国
- 韓国・北朝鮮(朝鮮半島)
など
小乗仏教(上座部仏教)の国
- ミャンマー
- タイ
- スリランカ
- カンボジア
- ラオス
など

仏陀は、自分の教えを書物にまとめず口伝で伝えました。そのため弟子たちがそれぞれの理解で教えを整理・記録し、人々に広めていったのです。
しかし、長い年月を経て解釈の違いが生じ、さまざまな宗派へと分かれていきました。
「大乗仏教」と「小乗仏教」はどちらも同じ仏教の流れですが、「みんなを救う教え」と「自分の悟りを目指す教え」という方向性の違いがあります。
もともと同じ教えだったものの内容が異なるというのは不思議なことですが、時の経過とともに生まれた違いだと考えると、納得できるかもしれませんね。
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コメント
コメント一覧 (2件)
今まで大乗仏教、小乗仏教の違いが今一つ解らないところがありましたが日本
文化研究ブログを読み、すっきりと理解できました。
コメントありがとうございます。お役に立てて幸いです。