私たちは日常生活の中で数えきれないほど多くの言葉を使っていますよね。
それらの言葉にはそれぞれ語源や由来があり、中には面白い語源や由来の言葉もたくさんあります。
今回は、語源や由来が面白い言葉をいくつかご紹介します!
【日本語】語源や由来が面白い言葉
ありがとう
意味:感謝の気持ちを表す言葉です。
語源や由来:
漢字で「有難う」と書きます。
もともとは仏教用語の「有り難し(ありがたし)」という言葉が変化したものです。
「有ることが難しい=滅多にない」という意味があり、仏に感謝する気持ちを表す言葉です。
その後、滅多にない貴重な出来事に対しての感謝の言葉になり、いつしか一般的なお礼の言葉となりました。
おめでとう
意味:おめでたいときの挨拶です。
語源や由来:
「おめでとう」は「めでたい」が変化したものです。
「めでたい」は、「愛づ(めず)」の連用形の「めで」+「甚し(いたし)」が「めでいたし」となり、それが短縮されたものです。
愛づは、褒める、慈しむ、讃える、賞賛するなどの意味があります。
甚しは、甚だしい(はなはだしい)、とても、大いになどの意味があります。
「めでたい」は大いに褒めるや、大いに讃えるなどの意味になります。
「めでたい」の連用形「めでたく」が変化して「めでとう」、さらに丁寧語の「お」をつけて「おめでとう」となりました。
漢字で「御目出度う」や「御芽出度う」と書きますが、どちらも当て字です。
「目(芽)が出ることが喜ばしい」という意味の当て字が使われています。
おはよう
意味:朝の挨拶です。
語源や由来:
歌舞伎が由来といわれています。
歌舞伎役者は着付けや化粧に時間がかかるため、公演が始まるよりもずっと前から劇場に入って準備をします。
そのため、裏方さんたちが歌舞伎役者にねぎらいの意味を込めて「お早いお着きでございます」や「お早くからご苦労様です」と挨拶するようになり、いつしか「おはようございます」になったそうです。
「おはようございます」の略が「おはよう」です。
こんにちは
意味:昼の挨拶です。
語源や由来:
もともとは「今日(こんにち)は、ご機嫌いかがですか」や「今日(こんにち)は、いいお天気ですね」というふうに、少し長い挨拶の言葉でした。
それが次第に略されて「こんにちは」だけになったという説があります。
ほかに、明治時代の教科書に「今日は」の後が省略されて「こんにちは」と書かれたことで広まったという説があります。
こんばんは
意味:夜の挨拶です。
語源や由来:
もともとは「今晩(こんばん)は、月が綺麗ですね」や「今晩(こんばん)は、少し冷えますね」というふうに、少し長い挨拶の言葉でした。
それが次第に省略されて「こんばんば」になったそうです。
いただきます
意味:
食事をはじめるときの挨拶です。
野菜や肉、魚など食材となったすべての命に感謝する意味があります。
また、食事を作ってくれた人、野菜を作ってくれた人、肉や魚を食材にしてくれた人、配膳してくれた人など、その食事に携わったすべての人へ感謝する意味があります。
語源や由来:
「いただく」から派生した言葉です。
もともと「いただく」には「物を頭の上に載せる」という意味がありました
そして、神様にお供えしたものを食べるときに、食べ物を頭の上に掲げてから受け取ることから「(食べ物を)いただく」という意味で使うようになり、「食べる」や「もらう」の謙譲語として使われるようになりました。
食事をはじめるときの挨拶として「いただきます」と言うようになったのがいつなのか定かではありませんが、定着したのは昭和になってからといわれています。
ごちそうさま
意味:
食事を終えたときの挨拶です。
語源や由来:
漢字で「御馳走様」と書きます。
「馳走」は走り回るという意味があります。
現在のようにスーパーや冷蔵庫がない時代、食材を揃えるのはとても大変なことでした。
そんな中、食事で誰かをもてなす時には馬に乗って走り回って食材を用意することから「馳走」という言葉ができました。
やがて丁寧語の「御」をつけて「御馳走」となり、もてなしのための贅沢な料理を指すようになりました。
その後、大変な思いをして食事を準備してくれた人への感謝を込めて「様」が付き、食事を終えたときに「御馳走様」や「御馳走様でした」と挨拶するようになりました。
いってきます
意味:
自分が外出するときの挨拶です。
語源や由来:
漢字で「行って来ます」と書きます。
「どこかへ行きますが、必ず帰って来ます」という言葉が省略されて「行って来ます」になりました。
昔は遠方へ行くことや旅をすることは命がけだったため、帰ってくるのを待っている人に「遠方へ行きますが、必ず帰って来ます」という約束をしました。
いってらっしゃい
意味:
誰かが外出するときに送り出す側の挨拶です。
語源や由来:
「行っていらっしゃい」が省略されて「いってらっしゃい」になりました。
「いってきます(遠方へ行きますが、必ず帰って来ます)」と外出する人に対し、送り出す側は「遠方へ行って、無事に帰っていらっしゃい」という意味を込めて「いってらっしゃい」と言うようになったといわれています。
さようなら
意味:
別れの挨拶です。
語源や由来:
接続語の「さようならば」が由来です。
「さようならば」は、「それならば」「それでは」という意味です。
「さようならば(それならば)、また後日」や「さようならば(それでは)、お元気で」という少し長い挨拶の言葉が省略されて「さようならば」だけが残り、それがさらに省略され「さようなら」となりました。
漢字で「然様なら」や「左様なら」と書きます。
おもしろい
意味:
興味をひかれる、思わず笑いたくなる様子、愉快、楽しいことなどの意味があります。
語源や由来:
漢字で「面白い」と書きます。
「面」は、顔のことです。
「白い」は、明るくなること、明るくはっきりしている様子です。
もともと「面白い」とは、表情が明るくなることや目の前が明るくなった状態を表していましたが、次第に明るい感情全般を表すようになり、多くの意味を持つようになりました。
好き
意味:
心が惹かれること、気に入ることです。
語源や由来:
「好」という漢字は「女」と「子」で構成されています。
これは、「女(母親)が子どもを抱いている姿」「母親が子どもをお世話している姿」「母親が子どもをかわいがる姿」が漢字になっているといわれています。
母親と子どもの姿から「美しい」「喜ばしい」ことを連想できることから、「好」は「良好であること」という意味でした。
それがいつしか「良いと思うこと」となり、心が惹かれることや気に入ることなどの意味になりました。
嫌い
意味:
いやだと思うこと、いやがることです。
語源や由来:
「嫌」という漢字は「女」と「兼」で構成されています。
「兼」は、2本の稲を手に持つ様子が漢字になっており、「2つ以上のものを合わせる」や「かけもちすること」などの意味があります。
このことから「嫌」は、「女の心が2つにまたがっていて安らかではない」という意味を持つようになり、いやだと思うこと、いやがることという意味になりました。
東
意味:
方角のひとつで、太陽が昇る方角です。
語源や由来:
日(太陽)に向かうということで「日向かし(ひむかし)」が「ひがし」になったという説があります。
ほかに、日が昇る方向から吹いてくる風のことを「日向風(ひむがし)」と言っていたのが「ひがし」になったという説もあります。
「東」という漢字が当てられたのは、両端を縛った袋から来ているといわれ方角とは関係ありません。
しかし、方角を表す「ひがし」の漢字が定まっていなかった時代に、発音が同じだった「東」という漢字を仮に当てていたのがいつしか定着したといわれています。
西
意味:
方角のひとつで、太陽が沈む方角です。
語源や由来:
「日(太陽)が沈む=日が去る(ひがさる)」という意味の「日、去にし方(ひ、いにしかた)」が省略されて「にし」になったという説があります。
「西」という漢字、鳥の巣の形が由来といわれています。
そして、太陽が沈むころに鳥が巣へ帰ることから、「西」という漢字が当てられたそうです。
南
意味:
方角のひとつで、太陽が昇る方角に向かって右の方角です。
語源や由来:
由来の詳細は不明ですが以下のように諸説あります。
・「皆が見る方向=皆見(みなみ)」という説
・「海が見える方向=海の見(みのみ)」という説
また、古くから太陽は神として信仰されており、太陽が最も高くなる時に人々は祈りを捧げていました。
太陽に向かって祈りを捧げることになるので、南の方角を向くことになります。
そして、古くから神様のことを「み」と言い、神に祈ることを「神祈みし方(みのみしかた)」と言っていたのが変化して「みなみ」になったという説。
他にも神に祈る意味の「神祈む(みなむ)」が「みなみ」になったという説
などがあります。
「南」という漢字は、南方の民族が使っていた鐘(かね)状の楽器を木の枝に掛けた形から来ており、「南」という漢字が当てられたといわれています。
ほかにも、「南」という漢字は、草木を暖かい納屋に入れて栽培する様子を表しているという説もあり、「南」は「囲まれて暖かい」という意味から、「暖気を取り込む方角=南の方角」となった説があります。
北
意味:
方角のひとつで、太陽が昇る方角に向かって左の方角です。
語源や由来:
神様がいる方向(神に祈りを捧げる方向)=南なので、その反対側は「不浄な方角=穢し(きたなし)=きた」となったという説。
「堅塩(かたしお)=きたし=きた」になったという説。
堅塩とは、まだ精製していない固まった塩のことです。その塩の中には土も残っており、その様子が雪まじりの北の大地を連想するのではないかといわれています。
「北」という漢字は2人の人が 背を向けている形から来ています。人が「南」に向いている時、背を向けている方角なので「北」という漢字が当てらたようです。
春
意味:
四季のひとつです。一般的に、3月、4月、5月を指します。
関連:四季(春夏秋冬)の期間はいつからいつまで?季節の区切り方とは?
語源や由来:
春になって草木の芽が膨らみ始めるという意味の「草木の芽が張る」の「張る」が転じて「春」になったという説が有力です。
ほかにも
雪が解けて春が来て土地を新しく切り開いて、田畑・道などをつくるという意味の「墾る(はる)」が由来という説。
氷が解けて水が「張る(はる)」が由来という説。
空が「晴る(はる)」が由来という説
などがあります。
「春」という漢字は、「太陽(日)」と「並び生えた草(艸)」と「髪を束ねた幼児(屯)」から構成されています。
「髪を束ねた幼児」は「多くのものを束ねる、群がる」という意味があることから、草が太陽の光を浴びて群らがり並び生える状態を表しています。
ほかに、「木」の間から「日(太陽)」が昇ってくる様子を表しているという説もあります。
夏
意味:
四季のひとつです。一般的に、6月、7月、8月を指します。
語源や由来:
気温が高く「暑い(あつい)」が由来という説。
太陽などの「熱(ねつ)」が由来という説。
作物が「生る(なる)」が由来という説があります。
「夏」という漢字は、お面をつけた人が足をずらしながら踊る様子を表しています。
これは、夏祭りや盆踊りなど、人々が踊る様子を表しているといわれています。
秋
意味:
四季のひとつです。一般的に、9月、10月、11月を指します。
語源や由来:
多くの穀物や果物が実り「飽きる」ほどに食べ物がある、が由来という説。
夕方になっても空が「明らか(あきらか)」が由来という説。
紅葉などで木々の葉が「赤(あか)」くなっていくのが由来という説
などがあります。
「秋」という漢字は、「のぎへん」と「火」で構成されています。
「のぎへん」は、秋になって収穫した穀物を表しています。
「火」は、穀物を天日干しして乾かすことを表しています。
冬
意味:
四季のひとつです。一般的に、12月、1月、2月を指します。
語源や由来:
寒くて体が「震える(ふるえる)」が由来という説
気温が下がって「冷ゆる(ひゆる)」が由来という説
雪が「降る(ふる)」が由来という説
寒さが猛威を「振るう(ふるう)」が由来という説
などがあります。
「冬」という漢字は、糸の端(はし)を結んだ形を表しており、物の端という意味があります。
このことから「一年の終わりの季節である冬」を表すようになりました。
オタク
意味:
ある分野に非常に詳しかったり、特定の趣味に非常に没頭している人のことです。
語源や由来:
「御宅(おたく)」は、もともと「あなたの御宅はどこですか=あなたの家はどこですか」のように相手の家や家庭を指すときに用いられていました。
1950年代になると「あなた」や「きみ」という意味で「お宅」が使われるようになりました。
ある分野に非常に詳しかったり、特定の趣味に非常に没頭している人を指す場合に「オタク」が使われるようになったのは1980年代ごろです。
昭和57年(1982年)放送の「超時空要塞マクロス」では、作中で登場人物たちが「お宅」という二人称を使う場面があったことでアニメファンの間で広がったといわれています。また、「超時空要塞マクロス」のスタッフ間でお互いを「お宅」と呼び合っていたともいわれています。
これが一般にも広まり、仲間内でお互いを「おたく」と言うようになったようです。
もともと「おたく」とひらがなで広まりましたが、現在は「オタク」や「ヲタク」という表記もあります。
そして、アニメに詳しい人を「アニメオタク」、アイドルに詳しい人を「アイドルオタク」というように、「鉄道オタク」「SFオタク」「健康オタク」「カメラオタク」などジャンル別に「オタク」を呼び分けるようになっています。
ビビる
意味:
恥ずかしがる、おじけづく、気持ちが萎縮する、気おくれして小さくちぢこまる、怖がって尻込みする。
語源や由来:
諸説あり、
・戦のときに鎧と鎧がぶつかると「ビンビン」と音が鳴り、大軍が動く音を「びびる音」と呼び、敵軍のびびる音におじけづいて逃げたのが語源という説が有名です。
・江戸時代に舞台を前にして芸人たちが尻込みする様子を「びびる」と表現したことが由来という説。
・「びくびくする」が転じたという説。
・大地の振動音や物の振動音を表す「ビビ」が転じたという説
などがありますが詳細は不明です。
平安時代から使われている言葉だといわれていますが、文献などに登場するのは江戸時代になってからです。
マジ
意味:
うそやいいかげんなところがなく真剣であること、本気であることです。
語源や由来:
「真面目」を略したのが「マジ」です。
江戸時代に芸人たちが楽屋で使っていたそうです。今でいう「業界用語」です。
ルビ
意味:
漢字や、一般的な読み方をしない固有名詞などの振り仮名です。
語源や由来:
宝石のルビーが語源です。
19世紀のイギリスでは、活版印刷に使われる文字の大きさに応じて宝石の名前を付けていました。
たとえば
4.5ポイント=ダイヤモンド
5ポイント=パール
5.5ポイント=ルビー
文字の大きさの単位はポイント(pt)で、1ptは約0.35㎜です。
日本では明治時代になってから活版印刷が普及しましたが、振り仮名に使っていた文字の大きさは7号というサイズで、ポイントに換算すると5.25ポイントでした。
5.5ポイントのルビーが最も近かったことから、日本でも7号の文字を「ルビー」と呼ぶようになりました。
その後、「ルビー」が「ルビ」となり、「ルビ=振り仮名」として定着しました。
青二才(あおにさい)
意味:
経験が浅く、年齢が若い男性のことです。そのような男性のことを見下す目的で使ったり、謙遜の気持ちを込めて使います。
語源や由来:
青二才は「青」と「二才」に分けることができます。
「青」は、色を表すだけでなく、成熟していないことを意味する言葉でもあります。
「二才」は、「にせ」とも読み、15歳前後から結婚するまでの若い男性を指す言葉でもあります。
「二才」の由来は諸説あります。
・出世魚(しゅっせうお)が由来という説。
出世魚とは、成長するにつれて呼び名が変わる魚のことです。
たとえば出世魚のボラは、オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド、と名前が変わっていきます。
そして「ボラ」と呼ばれるのが2年目の時であることから「二才魚(にさいぎょ)」や「二才子(にさいこ)」とも呼ばれており、こちが「二才」の語源といわれています。
・新背(にいせ)が由来という説
日本の古語では、夫や兄弟、恋人など親しい男性のことを「背(せ)」と呼んでいました。
そして、青年や、青年団の新人のことを「新背(にいせ)」と呼んでいたのが転じて「にさい」となり、それが「二才」の語源になったといわれています。
黒幕(くろまく)
意味:
政治において、最高権力者を裏で操る人物や、引退後も政治に関して影響力を持つ人物を指します。
また、裏で人を操り悪事を働く人物のことを指すこともあります。
語源や由来:
歌舞伎が由来です。
歌舞伎では、夜の場面を表現したり、場面転換をする時などに舞台を黒い幕で覆い隠したり、シーンには不要な部分を隠したりします。
このように、黒い幕を操作することで歌舞伎の進行に大きく関わっていくことから、表に出ず裏で影響力を行使する人物のことを「黒幕」と呼ぶようになりました。
ちやほや
意味:
相手の機嫌をとったり、おだてたりして甘やかすことです。
語源や由来:
平安時代ごろ使われていた「花や蝶や」という言葉が語源といわれています。
江戸時代に「花や蝶や」が、「蝶や花や」や「蝶よ花よ」に変化し、略されて「ちやほや」になったといわれています。
「花も蝶も美しく、慈しむべきものだ」ということから、親が子ども(特に女の子)を「大切にする」「慈しむ」などという意味で使われていました。
それがいつしか「ちやほや」に変化し、「相手の機嫌をとったり、おだてたりして甘やかすこと」という意味で使われるようになりました。
「蝶よ花よ」という言葉は現在も残っており、
「蝶よ花よと育てた一人娘が結婚する」
「小さいころは蝶よ花よと育ててくれた両親に感謝しています」
という風に「子どもを大切にかわいがる、慈しむ」という意味で使われています。
いかさま
意味:
いかにも本当らしく見せかけること、いかにも本物らしいという意味です。
ごまかすことや、インチキ、嘘つきなどの意味もあります。
語源や由来:
語源は諸説あります。
・漢字で「如何様(いかさま)」と書き、「如何様(いかよう)にも見える」が「間違いない・その通り」に転じ、さらに「本物のように見せかけること」に転じたという説。
・イカスミが語源と言う説
江戸時代に、借用書や証文など大切な書類をイカ墨で書く人がいました。
イカ墨で書く文字は時間が経つと消えてしまい、借金などの証拠が残らなかったそうです。
「イカ墨」が転じてインチキをする人を「いかさま」と呼ぶようになったといわれています。
一か八か
意味:
結果の予想がつかないことを、運を天にまかせて思い切ってやってみるという意味です。
語源や由来:
江戸時代の賭博用語が語源といわれています。
サイコロを使った「丁半賭博(ちょうはんとばく)」では、サイコロの偶数を「丁(ちょう)」、奇数を「半(はん)」といいます。
この「丁」と「半」の上の部分が「一」と「八」に見えることから、「一か八か」という言葉が生まれたといわれています。
また、「一か罰か」が転じて「一か八か」になったという説もあります。
「一か罰か」は、「ぴんころがし」というサイコロの賭け事からきています。
「ぴんころがし」は、「一(ピン)」の目が出たら勝ちで、それ以外の目は負けというルールです。
罰には「良くないこと」という意味があり、「罰・良くないこと=一以外の数字」となり、「一か罰か」は「一で勝つか、一以外で負けるか」ということになります。
八百長(やおちょう)
意味:
前もって勝敗を打ち合わせておき、真剣に勝負しているように見せかけることです。
ほかに、前もってしめし合わせておきながら何もなかったかのように振舞う、という意味もあります。
語源や由来:
明治時代の八百屋の店主が由来といわれています。
八百屋の店主は長兵衛(ちょうべえ)という名前で、通称「八百長(やおちょう)」といわれていました。
長兵衛は囲碁の才能があり、大相撲の年寄(としより)の機嫌を取るために囲碁の勝負が一勝一敗になるよう手加減したことが由来といわれています。
年寄とは、相撲の力士を引退した後に、弟子の育成に当たる人のことです。
四六時中(しろくじちゅう)
意味:
一日中ずっと、いつでもずっとという意味です。
語源や由来:
江戸時代まで日本の時刻は、日の出から日の入りまでを「昼」、日の入りから日の出までを「夜」と考えていました。
そして、「昼」と「夜」をそれぞれ6等分して、1日を12の時間に分けていたのです。
このことから「12=2×6=二六時」となり、「二六時中」は「一日」という意味で使うようになりました。
明治時代になると西洋に合わせて日本でも24時間で数えるようになり、「24=4×6=四六時」となり「四六時中」となったそうです。
江戸時代までの時間についての詳細は以下をご覧ください。
関連:丑三つ時とは何時から何時まで?幽霊が出るといわれているのはなぜ?
ろくでなし
意味:
役に立たない人や怠け者のことです。
語源や由来:
漢字で「陸でなし」と書きます。
「陸」は、「平なこと」「水平なこと」を表し、性格や物事がまっすぐなことを意味します。
「陸」に打ち消しの「でなし」が付くことで「陸」を否定することとなり、「陸でなし=性格や物事がまっすぐではない=役に立たない人や怠け者」となりました。
漢字で「碌でなし」とも書きますが、こちらは当て字です。
案山子(かかし)
意味:
畑や田んぼに設置して、作物を荒らす鳥や獣を防ぐための人形です。
語源や由来:
昔、焼くと嫌な匂いを発する植物や魚の頭や人の髪の毛などを焼いて、畑や田んぼの作物を狙う鳥や獣を追い払うことを「嗅がし(かがし)」と言っていました。
そして「嗅がし」がいつしか「かかし」となり、案山子という漢字が当てられたといわれています。
「案山子」という漢字の「案山」は、山の中にある低い土地を指す言葉です。
山の中にある低い土地=人が耕作する畑や田んぼのことで、そこにある小さな人形なので「子」が付け加えられて「案山子」になったそうです。
打合せ
意味:
前もって相談することです。
語源や由来:
日本の古典音楽である「雅楽(ががく)」が由来といわれています。
雅楽では、管楽器のことを「吹物(ふきもの)」、弦楽器のことを「弾物(ひきもの)」、打楽器のことを「打物(うちもの)」といいます。
演奏をする前、まず打物だけで集まって楽器を鳴らしながらリズムや演奏速度などを合わせることを「打合せ」といいました。
これが転じて「前もって相談すること」を「打合せ」というようになりました。
誤魔化す(ごまかす)
意味:
本心を見やぶられないように話をそらしたり、でまかせを言ったりすること。
都合の悪いことを隠したり、相手に分からないようにすること。
人の不利益になるようなことをしながら、気づかれないように取り繕うこと。
質問などについてまともに答えないで、うやむやにすること。
などの意味があります。
語源や由来:
江戸時代の「胡麻胴乱(ごまどうらん)」が語源といわれています。
胡麻胴乱とは、胡麻と小麦粉を混ぜて焼いたお菓子です。
胡麻胴乱は、見た目はふっくらと膨らんでいますが中は空洞になっています。
ことから、外見は立派でも中身が伴わないものを「胡麻菓子(ごまがし)」と呼ぶようになり、それが転じて「ごまかす」になったそうです。
漢字で「誤魔化す」や「胡麻化す」と書きますが、当て字です。
さくら
意味:
お店やイベント主催者に雇われて、商品の売れ行きが良い雰囲気を作ったり、イベントを盛り上げたりする、一般の客の中に紛れ込んだ偽物の客のことです。
語源や由来:
江戸時代の芝居小屋の隠語が由来といわれています。
江戸時代、タダで芝居を見せてもらうかわりに役者に声をかけて芝居を盛り上げる役割の人がいました。
桜の花見をするのはタダであることや、「桜がパッと咲いてサッと散ること」にかけて、その場限りの盛り上げ役のことを「さくら」と呼ぶようになりました。
漢字で「偽客(さくら)」と書きますが、当て字です。
図星(ずぼし)
意味:
目当てのところ、急所、指摘や思惑が当たること、見込んだところ、などの意味があります。
語源や由来:
弓道の的のことを「星的(ほしまと)」といい、的の中心にある黒い点を「図星(または「星」)」
矢を射る時、この図星を狙うことから「図星=狙いどころ、急所」となり、指摘や思惑が当たる事という意味でも使われるようになりました。
油を売る
意味:
仕事を怠けてむだ話をすること、仕事の途中で時間をつぶして怠けることです。
語源や由来:
江戸時代、油を入れた樽(たる)をかついで売り歩く「油売り」がいました。
客が持参した入れ物に油を注ぐ際、油売りは客と世間話したことから、仕事をしていないということで、いつしか「油を売る=怠けること」という意味になったそうです。
大根役者(だいこんやくしゃ)
意味:
演技力のない役者、演技が下手な役者のことです。
語源や由来:
諸説あります。
・大根はどのような調理をしても「食あたり」することは滅多にありません。役者が評価され人気が出ることを「あたる」ということから、評価されないことを「あたらない=食あたりしない=大根役者」と言うようになったという説。
・演技が下手なので馬の前脚や後脚を演じる役者のことを、馬の脚が大根を連想させることから「大根役者」と言うようになったという説。
・演目の配役から外すことを「おろす」と言い、「おろす」が「大根おろし」を連想させることから、配役から外されるような演技が下手な役者を「大根役者」と言うようになったという説。
おやつ
意味:
本来は午後の間食のことですが、現在は時間帯に関わらず間食のことを「おやつ」といいます。
語源や由来:
江戸時代に間食をしていた時間帯が由来です。
江戸時代、人々は朝と夜の1日2食でした。
そのため、朝ごはんから6時間~7時間経過するとお腹が空いてしまうので、その後も仕事を頑張るために間食をしていました。
その間食の時間が、14時~16時ごろで、当時は「未の刻(ひつじのこく)」です。
未の刻は「昼八つ(ひるやつ)」とも呼ばれていることから「昼八つ」が「おやつ」に変化したそうです。
江戸時代までの時間についての詳細は以下をご覧ください。
丑三つ時とは何時から何時まで?幽霊が出るといわれているのはなぜ? (jpnculture.net)
サバを読む
意味:
自分に都合が良いように数をごまかすことです。
語源や由来:
「サバを読む」とは「サバの数を数える」ということです。
諸説あります。
・サバは他の魚より傷みやすく、今のように冷蔵庫がない時代に早くサバを売る必要があり、急ぐあまりに数え間違えてしまったり、おおざっぱに数えていたことが由来という説。
・多くの利益を得るために、たくさんのサバをまとめて売る時にわざと数を多く言ってサバの数をごまかしたことが由来という説。
・魚市場で小魚を早口で数えることを「魚市読(いさばよみ)」と言っていたのが由来という説。
ごり押し
意味:
強引に自分の要求などを押し通すことです。
語源や由来:
川魚の「ゴリ」が由来といわれています。
「ゴリ」とは、ハゼの形をした淡水魚の通称です。
ゴリは川底の石などにへばりつくように生息しています。
そのため、ワラの束を川底につけ押し付けながら網の中にゴリを追い込んで捕まえます。
その様子から、強引に押し通すことを「ごり押し」というようになったそうです。
語源や由来が面白い言葉をご紹介しました。
なにげなく使っていた言葉にもそれぞれ語源や由来があるので、とても興味深いですね。
新しく生まれる言葉もありますし、いつの間にか意味が変化している言葉もあります。
最近生まれた新しい言葉も、遠い将来の人々が「こんな語源や由来があったんだね」と興味深く思ってくれるかもしれませんね!
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